悲しみは去ったけれど 22006-09-23

温泉に浸かる「ごお」 2003年撮影
8時50分ごろに待合室で待ち始め、診察を待つ。
この間に採尿も行う。「ごお」は何度も、何度も家に帰ろうと訴える。
癲癇発作を起こしたときの検査の結果、リンパ腫の疑がわれ、
前立腺肥大も進んでいたため手術し、入院した経験がある。
それ以後、病院に行くのが嫌になっていたのだ。
不安がる「ごお」を、抱き上げたり伏せさせたりしながら、
診察までの時間を宥めながらすごす。
9時15分に診察開始。症状を説明し、嘔吐物の一部を見せる。
飼い主の希望としては、検査をしたうえで手術が必要かを判断して欲しい。
できれば全身麻酔が怖いので開腹を避けたいという趣旨で話した。

レントゲン、エコー検査、血液検査をして見ますとのことで、
いったん僕は待合室に戻る。すぐに、スタッフが呼びに来る。
採血をしようとしても暴れてできないらしい。
処置室に行くと、「ごお」がおびえた顔をしている。
頭から抱きしめ、耳もとで検査を受けるように言い聞かせる。
頭をなでると興奮が収まる。採血を始めても落ち着いて手を差し出している。
採血が終わり、レントゲンに向かう。行きがけに大人しく受けておいでと伝える。
どうやら僕が「ごお」をおいて帰ってしまうと感じていたらしい。
処置室に素人がいるわけにも行かないので、
落ち着いているのを確認し、待合に戻る。
エコー検査室の用意ができると僕も呼ばれた。
エコー検査を受けながら、「ごお」の頭をゆっくりとなでてやる。
安心しているのか、じっと検査を受けている。

すべての検査が終わり、医師より説明が始まる。
レントゲンでは目だった異物は見えない。
しかし、造影剤を飲ませてのテストでは、
胃から小腸付近にかけ流れが正常でない。
結腸付近でも流れが低下していることがわかった。
まったくとまっているわけでもなく、臓器の捻転などもないようである。
いずれにしても、異物が流れを阻害していることがわかる。
尿検査では出血は認められない。
血液検査からは心臓の機能が低下している兆候、白血球数が高い。
現時点では意識も動きもしっかりとしているので
できれば手術を避けたいという要望を考慮して、様子を見ながら、
午後からの手術を検討する。そういう結論となった。

手術に備えての諸手続きを済ませ、いったん帰ろうとすると、
「ごお」が処置室からこちらに駆け寄ってくるのが見えた。
一緒に帰りたいらしい。僕を見て吠えて呼ぶ。
落ち着くように声をかけ、病院を後にした。
その呼ぶ「ごお」の姿が今も目に焼きついている。

この日は勤務の都合で休むわけにはいかなかった。
何かあれば、連絡をするよう依頼し、出勤する。
1時30分ごろ病院から電話。
診断時には意識がはっきりしていたが、
先ほどから意識の混濁が見られるようになって来たので、手術しますとのこと。
呆然としながらも、承諾。「生きて返して」と訴える。
5時ごろ「手術が無事に終わり、先ほど麻酔から醒めました。」と連絡。
9時ごろ「様態は安定しています。」と連絡があった。
心配していた気持ちが落ち着いていく。

前2回の手術では、見舞いに行ったとき、興奮した「ごお」が暴れ、
縫合箇所から出血させたことを思い出し、
家につれて帰る日まで見舞いに行くのを差し控えると伝える。
様子だけは教えてもらえるよう依頼する。

とても長かった一日が終わろうとしていた。

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