ジョンと暮らした1年半2007-09-15

ジョンが『そらん』を受け入れた日から、
ジョンが我が家で暮らしていくための学習が始まった。
と、いってもしつけや訓練をしたわけではない。

我が家では、犬は原則として自由に室内で過ごしていてよい。
例外は仏間と母の寝室に入ってはいけないだけだ。
そして、トイレはお外でどうぞになっている。
室内にトイレは設置していないのである。

ジョンは、うちに来るまでは外飼いワンコだった。
夜には玄関の中で寝る程度だったという。
つなぎでお世話されていた時期は、完全に外飼いになっていたようだ。
だから、最初は排尿を室内でしてしまった。
また、排便は散歩でするのではなく、敷地内でする習慣がついていた。
日中は駐車場にいることが多かったということで、
いつでも排便できたようで、
日中に室内に入れていると、ジョンの信号を見落とすこともあり、
こちらも数度失敗している。
この習慣の違いを、理解してもらわなければならない。
この修正は結構手間取った。

子犬のしつけと一緒で、朝方はすぐに表に出るよう勧め、
毎食後も勝手口から外に出し、後ろをついて回り、
シーシーとかウンウンと指示し、
狙い通りにできたときは褒めちぎって見せた。
そういう指導の傍らで、ジョンも『そらん』の動きをしっかりと見て、
『そらん』の真似をすればよいと学習していった。
おおよそ1月もたったころには、ジョンが室内で排便・排尿をすることはなくなった。
しかし、尿意や便意を感じたとき、人にそれを伝えるということは、
結局下手なままで、人が気づかないと勝手口まで行って、
排尿することが死ぬまで続いた。場所はいつでも一緒になっていたので、
してもよい場所だと判断したらしい。
排便のほうは、散歩中にしてもよいのだということを2ヶ月くらいで学習したが、
当初は散歩から帰ってきてから、急いで犬走りに行き排便するなどした。

家庭犬の基本技『お手、お座り、伏せなどは学習済みで、待ても最初からできた。
ご飯のときなど、最初は『よし』というまで決して食べなかった。
しかし、いったん食べだすと、人が近くにいるだけでうなるなどの行動があった。
徐々に慣れさせ、最近では食事中に食器を取り上げても不安な顔をしなくなっていたが、
そこまで辿り着くのに1年も掛かってしまった。

『そらん』と一緒に2階に着だしたのは、7日目ごろから、
70日目ごろまでは、ベッドサイドにいたが、
以後、朝までずっとベッド上で僕にくっついて寝るようになった。
夜のトイレは遠いほうで、11時くらいから翌朝10時ごろまで我慢できた。

ジョンのすごいところは、きつく叱らなくとも、
し失敗をしたとき『あーあ』といって始末している人間を見たら、
同じ失敗はほとんどしなかった点だ。
とても聞き分けもよい、学習能力の高いいい犬だった。

ジョンの生前、ジョンに手を上げてしまったのは、ただ一度。
闘病中に、世話をしていたら手を噛んだ。
そのときだけは、棟を軽く蹴ることになった。
かわいそうなことをしたと思っているが、
おかげで以後、少し痛みを感じるときなどは、
ぺろぺろと舐めて知らせるようになった。
対応力の高さも抜群によかった。

成犬を飼うのもまんざら悪くないって感じさせたジョンは、
多少問題があったのかもしれないが、よき家族に育てられていた。
ジョンのような犬を引き取れたのは、特別に運が良かったのだろう。