ONKYO integra A-8172015-10-01

これまでのオーディオ歴を振り返るうちに、
いくつか思い出したことがある。
初めてのアンプはA-755ではなくA-766だったようだ。
そして、比較的早い時期にA-755mk2に代えている。
「オーディオの足跡」の写真をみているうち、思い出した。
ブラックラインのある機種と、ない機種、双方とも確かに使っていた。
そして2台めのアンプ出力は60W(30w+30w)だったのも確かだ。
たぶんだが店頭で聞いたとき、
mk2の音がはっきりしたと感じ、代えたのだろう。

このころ(1970年代から1990年)はオーディオ全盛期で、
ほんとに日進月歩、
新しい機種が出るたび性能が飛躍的に上がっている時期だった。
右肩上がりに給与が上がり、
みんなが豊かになっていく時期だったことも手伝い、
次々出る新しい機種に、友人たちみんなも焦るように買い換えていた。

A-755mk2からA-817に代えたのは、おそらく1981年か2年。
A-817はマイナーチェンジを頻繁にした機種で、
DとかXがつく兄弟が、ほぼ毎年のように発表されていた。
オリジナルは1980年発売だったから、
買ったころは旧機種となり大幅値下げしていて、
半額に近い値で購入したはずだ。
購入店は、今は倒産して無くなってしまった和光電気だった。。
買い代えたのはA-755mk2の鳴らす音に不満があったのではなく、
A-817が安売りしていて、半ば衝動買いしたというのが理由が半分。
あと半分は、当時のアンプは今のように筐体がしっかりとしていず、
ダイアルもスイッチも今のもののようにはしっかりしていなくて、
各部が緩みだしていたことにある。
ボリューム・ダイアルを回せばバリ音が出る、
トーンスイッチなどが接触不良を起こし、動作が安定しない。
そういう症状が出始めていた。
はじめのうちこそ、オーディオのベテランに聞いて、
バリ音対策は、ボリュームつまみを押し付けるようゴリゴリ回し、
錆を落とすようにしたり、フロントパネルを外し端子の清掃したりして、
延命に務めたものの、限界を感じたのが理由だった。

で、買い替えたら、ONKYOの温かみのある音色はそのままに、
すっきりくっきりした音になっていて驚いた。
作りもしっかりしていた。すべてのダイアル・スイッチ操作で、
質感のある使い出に変わったのを覚えている。
A-817にはMCポジションも用意されており、
40年以上のオーディオ履歴の中で、
初めてにして、最後のMCカートリッジ体験もした。
確かサテンのMCカートリッジだったと思う。
上新電機で6000円くらいで投げ売りしていて、思わず買った。
最初から使い捨てのつもりで買ったと記憶している。
なんせMCは、自分では針交換できない機種がほとんどだった。
本体が6000円で針交換が1万では、割が合わない。

使っての感想は、あまり上等なものとは感じなかった。
もっぱらハードバップや新主流派のJAZZ を聞いていたころあいで、
繊細な表現がある音楽なんて聞いていない時期だったから、
SHURE M44/Gの方が押し出し感がある分良いと思ったし、
スピーカーもスピーカーだけに、それも仕方なかったのだろう。
今ならまた違う感想を持つのだろうが、
MMで十分と思っていることと、
つかっているアンプにはMCポジションがないか、
バックパネル操作なので、なかなか使う気になれない。

退職したら、PM-16を他のものに買い代えるなりし、
使ってみるのもいいかなと思っている。

テクニクス SL-P72015-10-02

1980年ごろにコンパクトディスクが発表されて、
オーディオ機器はデジタルへと舵を切った。

初めてCDを聞いたときは、本当に驚いた。
スクラッチ・ノイズのないきれいな音、
音の立ち上がりの強さ、頭出しが簡単。
いいことづくめのように思えた。
いつかはCDがレコードを圧倒するだろう。
これはプレイヤーを買わなければ。そう思わせた。

が、最初の世代のプレイヤーはトラブルをよく耳にしていたし、そのうえ高価。また、ソフトも多くなくて、乗換に躊躇した。第1世代のやや混乱していた状況が落ち着きを見せたころ、第2世代プレイヤーが各社から出され、ソフトの数も増えてきた。そろそろ買い時が近付いてきたと考え始めた。ただ、実売で10万円を切る機種が少ない点がネックだった。

そんな時発売されたのがSL-P7だ。
販売価格が11万円と実売は10万を切る。他の大柄な機種とは異なり、ジャッケットサイズで邪魔にならない大きさということで購入した。1983年か1984年のことだ。

買ってから2年位の間は、ダラー・ブランドのアルバムほか10数枚しか買わなかった。なんでかというと、買ったSL-P7、こいつが僕のこれまで使った様々な機器の中で最悪の個体だった点にある。

購入して半年もたたないうちに故障、修理に出して帰ってきたと思ったら、一月ももたずに、また故障。修理に出すたび1か月は帰ってこない。買ってから2年ほどの間、まともに使えなかったのだ。
最初は、購入店を通じて修理に出したが、このやり取りが、ほんとにつかれた。一度など苦情の症状は見られないと返ってきた。家で使えば、やっぱりまともに動かない。再度修理。回転部が悪かったと修理されて返ってきたものの、やはり音飛び。修理に出すたび梱包して持っていくのだが、説明書のとおり輸送ねじなどもしっかり止めておく。すると、輸送ねじを外さずに使ったお客様の使用に問題があるなどと因縁をつけてくる。販売店がじゃないよ。サービスセンターがだ。こういう不毛を3回か4回か、もっとか、繰り返した。さすがに販売店を通じたやり取りではらちが明かないと見切りをつけ、テクニクスの修理センターにじかに持ち込もうとしたら、相談窓口はセンターの場所を教えない。お客様の直接持ち込みはお断りしています。だと。販売店に直談判して、場所を聞き出し、持ち込むことになった。販売店は、経緯をサービスセンターに、僕の前で説明し、連絡してくれたのである。販売店は誠意ある対応だった。

持ち込んだ時の対応も、大トラブルだと、僕は思っていたが、あちらさんにしてみれば大したことはないようで、謝罪をされたこともなかった。このセンター持ち込みも、記憶では2回以上行っている。普通、これだけトラブルが続いたら交換が筋だろう。そう、水を向けても無視。結局、まともに動くようになるまで2年近くかかったのだ。修理に行ったり来たりを繰り返しているうちに、安くていい製品がどんどん出てきて、早く買ったのに恩恵を受けられないばかりか、早まった買い物をしたものだと後悔がいっぱい。新しいものに買い替える余裕もなく、動くようになってからも、使うたびにセンターとのやり取りを思い出して腹が立つやら、情けなくなるやら、精神衛生に悪いこと、この上なし。

最後に修理されてきてからは故障もなく、トレイの開け閉めが出来なくなるまでの7-8年使って、SONY CDP-333ESJ(勘違いであった。本当はKENWOOD DP-8020だった。)に買い替えた。

機器としての感想は、音質・操作性云々ではなく、初期のトラブルがあまりもひどくて最悪。修理完了後も、普通に鳴って、普通に使えただけ。むしろ、CDはプレイヤーごとの差が出る度合いは分かりにくい。あとあとMELIDIIANなどのことも書くのでそちらで。

テクニクス製品は、このやり取り以降、買うことをやめた。あまりにも人を小ばかにする会社だと思っている。と、これは余談。

SL-P7が使えるようになってからは、徐々にLPの購入が減り、1988年ごろにはCDが購入ソフトの主流を占めるようになった。それでも、LPは買い続けてきた。操作性はCDが優れてはいるが、音を聞く儀式めいためんどくささは捨てがたいし、CDって、言うほど良いソフトじゃない。アナログディスクのほうが、音としては好ましいと思っている。

ただ、メンテナンスに神経をとがらせないでいい
楽さという魔力があるため、
レコード盤をまわして聞くことは極端に少なくなっていった。

BOSE 501Z2015-10-03

BOSEのスピーカーに注目したのは
京都のジャズ喫茶で901を耳にしてからだ。
比較的小ぶりなスピーカーなのに、
豊かな低音、つややかな中高域を持っている。
とても気持ちのいい音が出るスピーカーに驚かされた。

当時のジャズ喫茶は、Tannoyの同軸、JBLの4343や4344、
ALTEC A-7にA-5といった大ぶりなスピーカーが多くて、
いい音だと思っても、いい値段がするばかりか、
フロア型のスピーカーを家庭で鳴らすなんて考えられなかった。

知り合いなどA-7をj自室に入れたら、
寝る場所がなくなったと嘆いていた。
もちろんジャズ喫茶で鳴らすような音でも聞けない。
この手のスピーカーはパワーを入れてやらないと、
まともに鳴りやしないのだ。
でもいい音にあこがれる。無理を調子で突っ走ってしまうのが、
オーディオ好きになったものの性なのだ。

そういうなかで901(たぶん901Ⅳ)には、
びっくりしてしまった。
30cmユニットを搭載したブックシェルフ程度の大きさで、
その大きさをはるかに超えた豊かな低音、
のびやかな高域、音場感。
10cmな程度のユニットだけで構成されているとは信じられなかった。
価格も4343など定番スピーカーより安かったからなおさらだ。
圧倒するエネルギー感では定番スピーカーがいいが、
関節音を主体とした聞き場所を選ばないことが強く印象に残った。

BOSEのスピーカーでは301MM も印象に残っている。20cmウーハーに6cmほどのツイーターという構成で、
ウーハーに対してツイーターが45度ほど傾いていて、
ツイーター前面に音の方向をコントロールするフィンがあり、
聞き手の環境により適宜調整するようになっていた。

301MM は出入りしていたレコードショップが導入したので
その調整をいろいろ試すのにも立ち会っている。
調整次第で、パーソナルにも、パブリックにもできる、
本当に特異なスピーカーだと感心した。

901と同じく、一つ一つの音を追求していくという方向ではなく、
音楽総体を楽しむという方向で造られていると感じた。
20cmとも思えない豊かな低音感もあった。
高域にも自然感があった。

この二つのスピーカー体験で、
アパート住まいの身の上では、
JBLもTannnoyも宝の持ち腐れ。
BOSEなら、結構いけるのじゃないかと考えた。
BOSE欲しいなと思い続けていた。

この当時、BOSEは意欲的なスピーカーを続けざまに発表している。
101はすでにあった。501もすでに発表していた。
101では低温が弱いし、501はいまいちピンと来なかったりで、
1980年代半ばは、いいのがないかと、物色していた。

そんな時に登場したのが501Xだった。
501Xは501Zと、ほぼ同じ構成で、ベースボックスが木製だった。
また、ベースボックスも利きを制御できるようになっていたと思う。
かなり購入に前向きになっていたが、
ポーズのアンプが推薦されていた記憶がある。
また、ベースボックスが制御する点で
(後のスーパーウーハーとは仕様が違う)、
バランスを崩してしまうえのじゃないかとの疑念があり、
購入をためらっていた。

次いで発表されたのが501Zだ。
1988年に発表され、発表年か、その翌年に購入した。
確か10万きれで買ったはずだ。
値引き率が低かったので、発表直後に買ったのかもしれない。

ベースボックスは単体では制御できなくなり、
アンプ側のコントローラに任せられた。
このことで、どのアンプとも組み合わせても
高域と低域が自然なつながりを保ち、
再生できるようになったのではないかと思った。
16cmユニットが二つ収められていて、
クロスオーバーが低域側で複数に分けられていたようにも思う。
あと、ベースボックスは木製から樹脂製に改められ、
デザイン的にもかっこよくなっていた。
中・高域を受け持つキューブスピーカーも
キャビネットは樹脂製になっている。
6cm程度のユニットを1個搭載したものが4つあり、
バラバラでも、上下連結で使うこともできた。
関節音用、直接音用の切り替えスイッチがつけられている。
設置の自由度が、半端ない。
壁掛けブラケットなど、オプションも豊富で、
僕はキューブ用卓上スタンドを購入している。
使うときはしっかりとした接続版が用意されていて、
ねじできっちり止めて使えた。

仕様は、再生周波数が30Hzから20000Hz、
能率の記載はないが、90dbは超してると思われる。
初めて音出しした時、その低音に驚いたし、
6cmスピーカーが奏でる中高域とは感じられない響きに大満足した。
セッティングをいろいろ変えてみたが、
その多彩な変化が楽しくて仕方なかった。

最後に行きついたのは直接音に設定し、
下側のキューブを聞く位置に15度傾け、
上部キューブを30度外側に振るセッティング。
キューブからの距離は1.5mほど、
ベースボックスは中央に縦置きでおいた。
アパート暮らしでは、ボリュームを9時よりあげられはしない。
このセッティングが、戸建てに越すまでの基本となった。

501Zを購入してから、BL-3、SC-101とも出番がなくなった。

Nakamichi 681ZX2015-10-04

いつ頃のことだったろうか。
1985年か、1986年か、あいまいな記憶しかないが、
カセットデッキが相次いで壊れた。
まずCT-9が、回転ムラを起こした。
モーターなのか、それても動力伝達部なのか、
原因はわからない。
キャブスタンプあたりのゴム部品もへたりが見られる。
修理するとしたら新しいのが買えそうだ。
次いでKD-4も、突然出力が死んだ。内蔵スピーカーもならない。
入力は生きているようだったが、再生ができない。
こちらも修理するには高額になると見込まれる。

友人と互いのソフトをダビングして融通しあっていたが、
それができなくなった。
詫びを伝えると、仕方ないね、って。

ところが次の帰阪時に車からいきなり 680ZXを出し
貸したるといい置いて行ってくれたのだ。

Nakamichiのデッキは、オーディオファンにとって垂涎もの。
群を抜く音質の良さを誇っていた。
たいていは5-6万といった価格帯の製品がおおいなか、
20万円もする、性能も高いが、価格はもっと高い。
僕のような普通の給料取りには、ちょっと手が出ない製品だった。

特性はメタルテープを使えば22kHzまで記録できる。
それもテープの特性に応じてバイアスを調整したりもできたので、
カタログ上だけのものでない。
実際発売後数年たっているのに、
その音質は、他メーカーの最新機を凌駕するものだった。
3ヘッド構成なんてNakamichiでは当たり前、
とにかく物量はてんこ盛りだった。

実際、使ってみて、レコードの音と、録音したテープを聴き比べれば、
うっかりしていると違いが判らないほどだった。

機構の安定性、耐久性も高く、681ZXは1995年まで現役だった。
友人宅で働いていた期間を合わせると約15年間、
5000本ほど録音している。
この間、ただ一度の故障もしなかった。
最後は、カセットトレイのヒンジ部というのか、
そこの部品摩耗で開け閉めができなくなり廃棄することになった。
その時でも、他の機構については不具合はなかった。

Nakamichiのカセットデッキは名器ぞろいだった。

この友人からの貸し出し品には、
SONY TC-D5M 通称デンスケもある。
このころになると既に野外コンサートでも録音は不可となっていて、
また、ドルビーもCの時代になっていたのに、
Bしか搭載していなかったため、681ZXと比べ音質の不利もあり、
ほとんど使用する機会がなかった。
さらに、このころにはウォークマンが一世風靡しており、
携帯録音機としてレコーディングウォークマン、
その類似品が各社から出されていたこともあり、
小型化されたとはいえ、1.5キロのデンスケを持ち出しもしなかった。
わずかに仕事の都合で何度か使ったくらいである。

681ZXは廃棄したが、デンスケは家においてある。
動くかな。長期間放置しているから、動かないだろうな。

CEC ST-9302015-10-06

確か1990年か1991年ごろ、
長年使い続けたMR-611からCEC ST-930に変更した。
まだプレイヤーとしては動いていたが、
あちこちガタが出始めてきたこともあるが、
そろそろ買い代えないとアナログ・プレイヤーは、
Lカセットのように生産されなくなるかもしれないと恐れたからだ。

実のところ、良いプレイヤーと、良いカートリッジがあれば、
そして、それらを適切に使いこなしたなら、
CDよりアナログ・ディスクのほうが好ましい音を紡ぐ。
ダイナミックレンジでは、CDに利があるというが、
これもカッティング技術や、録音技術も、
1970年代から80年代にかけて向上したから、相当に接近している、トータルに見ればアナログの音のほうが良いと思っていた。
アナログでは無信号時にトレース音がするというが、
だから、ずっと雑音を聞き続けているのだとの指摘もあるが、
そもそも実演ならすでに雑音がないということはない。
そのことを考えれば、曲間ノイズが多少あるくらいで、
なにが不都合だろう。
トレース音が出るのは、針が音溝に接触している以上、宿命だ。
でも、プレイヤーを正しく扱い、盤を適切に扱えば、
かなり大きな音で聴いていても気にならないレベルになる。
アナログディスクは、デジタルに負けていなかったと思う。
ディスクの保守管理についてもCDだって気を使う点で変わりない。

なのに急速にとってかわられてしまった。
オーディオ産業界の、売らんかなという姿勢もあったろうが、
本当のところは、再生機器としてCDプレイヤーが、
金があろうと、なかろうと、大して差がでなかったこと。
それから、設置や調整に特別な知識も、神経を使う必要もなく、
何も考えずに、ポンとおいて使っても、鳴る。
それらが大きい原因だろう。

ともあれ、プレイヤーを買い代えることにした。
ダイレクトドライブはモーター制御などで、
かなり無理をしているのではないかと疑っていたので、
(実はDDの制御技術はBDにも使用されていた。)
買い代えにあたってはベルトドライブにしようと思っていた。
日本のメーカーはダイレクトドライブ機が全盛で、
ベルトドライブを主力として作っていたメーカーはほとんどない。
一部ハイエンドモデルで、ベルトドライブかその亜種が出てはいたが、
到底普通の給料取りが手を出せるような代物ではなかった。

そうすると極端に選択肢がなくなってしまうのだ。
トーレンスなどの海外製品か
30万も40万もする高価なものしかない。
ただ、CECだけが頑固にベルトドライブにこだわり続けていた。

ST-930は1988年か89年に発表された製品だ。
CPが高いCECの中にあって10万円を超す価格設定をした、
意欲的かつ高性能なモデルだった。
ワウフラッターなどでもDDの同価格帯のものとそん色のない。
2Kgのターンテーブルを採用していたが、
回転が安定するのも1回転もいらない。
シャシも2重構造になっていて、
モーターが取り付けられている下部と
ターンテーブルの乗る上部が、
それぞれにインシュレーターを持っていて、
共振を極めて少なくするように設計されていた。
電源はコントロールボックスとして別な筐体ににされ、
とにかくさまざまな影響を抑えるようになっていた。
おまけに78回転までかかるのだ。
S字トーンアーム付きモデルを選んだのだが、
それまで使っていたプレイヤーと比べて2段も3段も上質に感じた。

このプレイヤーで初めて聴いたとき、
今まで何を聞いていたのだろうと思うほど、
トレース音はほんとに気にならなくなったし、
床からの振動などもシャットアウトできていて、
音の輪郭がはっきりし、情報量が増えたのかと思ったのだ。

このプレイヤーにつけたカートリッジはSHURE M-95ED。
おとなし目の音が必要なときはAT150Ea/G。
S-3100導入時に、SHURE V15typeⅤxMRを足した。

ST-930は、本当によくできたプレイヤーだ。
25年たつ今も、元気に動いている。
インシュレーターなどはへたって来ているのだろうが、
全く感じさせない。
新たに買ったDP1300mk2より、
新品字なら、すべてで勝っているように思う。
25年経った今でもそん色なく働いている。

もし、いまST-930を発売するなら、
価格は30万円を超えることになろう。
搭載されているアームはJERCO製CSS9012なのだが、
それだけ単品で9万円になっている。
中古市場でも3万程度の値がついている。
ターンテーブル全体を、新しく設計して発売したとするなら、
40-50万になったとしても不思議ではない。

いいプレイヤーが安価で替えたころが懐かしい。

KENWOOD DP-80202015-10-08

SL-P7が、トレイの開閉が不確実になってきて、
(立ち上げ直後は開かない。気温が低いと開かない、閉まらない。)
おまけに購入当初のトラブルと同じ症状が出てきた。
いい加減、負の記憶のあるSL-P7を使うのに、嫌気もさしている。
修理するにしても多分数万とられる。
なら、新しいのを買ったほうがましというものだ。

その当時はハイビット化競争を各社していて、
再生能力は飛躍的に進歩していく途次にあった。
たいてい何を選んでもそん色ない。
で、日本橋に物色しに行くと、
高評価を得ていた本器が、
確か4万円台で売られていた。おおよそ半額という印象が残っている。
悪夢のSL-P7と売買するのだと、即買いしてしまった。

DP-8020を持ち帰ったその日に、
すぐSL-P7を外し、セットに接続、音出しした瞬間、
精神に悪影響を与えるSL-P7を、金がなくて買い代えるのを躊躇し、
我慢して使っていた自分に猛烈に腹が立ったと覚えている。

たいていは壊れていても、
直して使うという人がいれば譲渡していたし、
廃棄するにしても、そのまま生前の姿のまますてていたが、
このSL-P7だけは、叩き壊して捨ててやった。
いまだにTechnicsだけは、絶対に許してやらんのだ。
松下電器伝説、なんぼのもんじゃい。

DP-8020の再生音だけれど、
同じディスクが情報量が一気に増えたように感じた。
低音から高音までベールを取り払った感じ。
10年間で、こんなに練れたのかと感服した。

アパート暮らしのころは大音量で聴くことはなかったので、
いまいちよくわからない部分もあったが、
戸建に変わってから、そのバランスの良さに驚いた。
何度かメインシステムにつないだこともあるが、
メインのMELIDIANと比べて、全体のバランスや音場感はよかった。
音楽的にどちらがいいかと聞かれれば迷いながらも、
価格差も考えれば、DP-8020は捨てがたいものがあった。

2013年まで元気に働き続けて、ついにご臨終されました。
トレイ開閉のベルト交換をすれば、まだ使えたかもしれないけれど、
トレイ部の外側に油が湧出しだすなど、、
各部のシールも劣化してきたようなので、
廃品回収に渡しました。部品撮りしたいとのこと。
まさか、ちょこちょこと直して売るなんてことしてへんやろうな。

戸建てに住む2015-10-10

長らくアパートを転々として暮らしていた。
1992年に家を新築する計画があり、
1993年から戸建住まいをすることになった。
そのころ使っていた道具は、
プレイヤーがCEC ST-930
CDプレイヤーがKENWOOD DP-8020
アンプがONKYO integra A-817
スピーカーがBOSE 501ZとDENON SC-101
デッキがNakamichi 681ZX
CORAL BL-3はSC-101と時々差し替えて鳴らす程度になっていた。

戸建に住み替えることになり、
最初に考え、実行に移したのがシステムの刷新だった。

まず最初に、憧れだった、JBLサウンドの入手。
候補としてはControl 12SR と4312を挙げた。
それをドライブさせるアンプもいるなとなった。
オーディオラックもしっかりしたものがいる。
予算としては30万が限界。
安ければ、安いほどありがたい。
4312Aは届かないかと悩んでいたら、4312Bが発売された。
定価が20万円弱と、価格も1割近く下がった。
Control 12SRはサウンドは迫力があるが、
SR用スピーカーということで、ややナローレンジなところと、
家庭用スピーカーとするには取り扱いが難しいだろう。
価格的にも折り合いがつきそうにないことから、見送った。
4312Aも、実売で18万で厳しかった。
だから4312Bが出たのは渡りに船だった。
アンプには、Marantz PM-80aを選択した。
雑誌か何かで、4312Bにあうアンプの一つとして挙げられていた。
ラックはWAKATSUKI AV330を選んだ。
家屋の竣工に合わせ、4312BとPM-80aを納入してもらい、
従来のスピーカーは501Zだけを残し、
BL-3とSC-101は同僚宅に引き取られていった。
買値はアンプとスピーカーにラックをあわせて26-7万円だった。
少し余裕があったので、
メーター1500円程度のスピーカーケーブルを使うことにした。

1994年4月には親と住居を交換した。

アパート暮らしの間は、泣く泣くLP本隊は実家で保管し、
LPは200枚程度をピックアップし、50枚単位で入れ替えていた。
CDも最後のころは500枚程度をアパートに置き、
主力は実家保管となっていた。
住居の交換で全ディスクをいつでも使える環境になったので、
1995年になって、38cmウーハーの音を手に入れたくなり、
思い切ってS-3100の購入を決めた。
スピーカーの格に合わせて、
アンプとCDプレイヤーをも買い足すことにした。
アンプはMcintosh MA-6800、CDプレイヤーはMERIDIAN 508。
このころにVPI HW-16.5も買っている。
これらの総額は約200万円だったと思う。

そうすると4312Bは浮いてしまう。
PM80aとセットで、デッキを置いて行ってくれた友人に譲渡。

この直後に耳が壊れるのだから、笑えてしまう話ではある。

さらに1995年の暮れ、交換した住居を取り壊し、
新築することになった。
その計画で、D-15程度の防音室を作ることにした。
防音ドア、2重サッシ、内張りボードも2重張り、
そのうえで防音シートを壁に張り巡らすようにした。
床補強も通常の倍ピッチで行い、
システム重量に耐えられるようにしつつ、
床鳴りを抑るよう、フローリング下にコルクマットを挟んだ。
6000枚収容のソフトラックも造り付けた。
これらの費用は、家屋本体価格を15%あげることになった。

完成後は、さらにスピーカーベース、大型ラックを買い足し、
また、配線類もすべて一新した。
以前のラックはサブシステム用にしつつ、
サブ・システム用にPM-16を購入し、
1997年、現行システムが完成した。

が、1996年以降のこれらは意地たけでしたような気がする。
S-3100を購入した2か月後、突発性難聴のため、
耳が壊れてしまっていたのだから。

JBL 4312B2015-10-11

20年以上オーディオから離れていたから、
再び、ちゃんと聞こうしたら、やっぱり足りないものばかり。
あれがない。これがない。
で、物色に出かけるのだが、なんか時代が変わってしまっていて、
昔の知識だけじゃ『?』ばかりが生まれてくる。

ハイレゾなんてのが一番よくわからん。
CDの音をオーバーサンプリングすれば、どうしてよい音になるねん。
D級アンプ。なんじゃ、そりゃ?
レコードをWAVファイル化しようと思っても、
なんかやり方変わったんか?
アンプからパソコンに取り込んでいっていいんやろ?  
あーっ、ようわからん!

とりあえずオーディオ歴を振り返りながら考え中なのだ。

さて、現在に続くシステムを構築しだしたの1993年ごろ。
最初の変化は憧れのサウンドの入手。
4312Bは、4312Aがウォルナットだったのを、
ブラック塗装にしたものだ。
同じユニット構成なのだけれど、
出てくる音は微妙に違ったような気がする。
4312から、高域特性が改善されていて、
CDフォーマットを意識してリファインしたものになっていた。
30cmウーハー、13cmスコーカー、3cmドームツイーターの3wayで、
45Hzから20kHz、能率93dという特性だった。

周波数特性だけで見れば、
BOSE 501Zの30Hzという数字にはかなわない、
ところが実際の音の印象でいえば、
501Zより、メリハリの利いた再生音を持っていて、
体感上では、腹に響く、そういう感覚を持ったのを覚えている。
だけれど、ジェゴグの音を再生すると、
やっぱり501Zのほうが低い音を無理なく出していた。
高域側で見るなら、501Zより豊かな感じもしたし、
情報量も多くて、聞き込みたいときには有利だった。
501Zは、聞き流すときには邪魔にならないといった感覚だった。
これまで使っていたスピーカーが軽自動車で、
初めて普通自動車に乗り換えたときの気分になったといえば、
わかってもらえるのではないか。

専用スタンドもセットで買い、セッティングを色々と行いもした。
スピーカーとスタンドの間に硬質なものから、
プチルゴムなどの軟質のものを挟んだり、
壁からの距離、スピーカーの間隔、角度調整、
絨毯の敷き方、カーテンも薄手・厚手と取り換えるなど
スピーカー・ケーブルも取り換えたり、
あれやこれやとセッティングを試した。
スピーカーで、いろいろ遊んだのは4312Bだけだ。

同じスピーカーから出る音が変化していくのは、
話には聞いていてわかっていたつもりだが、
実際に試すと、その変わりようには瞠目した。
いろんなことを試した結果、
好みの音というのと評論家諸氏の良い音とはかい離があること。
高価格=良品質であっても、高価格>低価格とは限らず、
安価でもよくなるものがあるということも実感したし、
高品質が必ずしも好みの音につながるわけではないと実感した。
好みの音を探るのも、オーディオの楽しみに違いない。

造りについては、4312Aを安くしたということで、
エンクロージャーの質感は、安上がりなイメージだったと記憶する。
側面を撫でたときなど、ざらついた覚えがある。
そうした点が、音に違いを感じた理由かもしれない。
見た目の美しさは4312Aに及ばなかった。

ハードバッブや、新主流派あたりを聞く際には、
とても好ましい音を出していた。
だけれど、絶対的な低音再生能力では501Zに利があり、
JBLサウンドを手に入れたものの、
もっと、ずっしりとくる低音が聞きたいと欲目を出させた。

marantz PM-80a2015-10-12

JAZZを聞くようになって、ほうぼうのジャズ喫茶の音を聞きに行った。やまとやや、ブルーノート、インタープレイハチ、
あげていけばどれだけの店になるのやら。
だいたいの店は、JBLで、たまにTANNOY<ALTEC、
えれぼぃを置いていた店も少しだけあったかな。
JAZZ喫茶で聴いたJBLの音を、いつかは自分の家でと、願っていた。

高校生のころは、友人の家でレコードを聞かせてもらうと、
25cmとか、30cmウーハーから出てくる音は、
やはり16㎝フルレンジスピーカーのBL-3には
まねのできない音だと思ってしまう。
BL-3が悪いとは思わないけれど、
低音の質と、ドームツイーターの出す高音は別次元だった。
友人達が使っていたスピーカーは、
DIATONE DS-251mkII、VICTOR SX-7、Pioneer CS-700
あたりだったと思う。

それらのスピーカーであっても、アンプを入れ替えてから行けば、
また違った表現力を得ている。
前の音のほうがよかったね。今度の音はクールやね。
そんな風にして、オーディオ機器って
入口から出口まで、すべてが関連していて、
選び取るのって大変だなと学んでいった。

JBL 4312Bを購入するとき、共電社で買ったと記憶しているが、
試聴室で音出ししてもらった時、
確かにJBLだぜって思ったけれど、
駆動しているアンプは結構上等だった。
候補として挙げていたアンプで鳴らせばどうなるのか知りたかった。

候補として挙げていたのは、
marantz PM80a、ONKYO Integra A-917、SANSUI AU-α607
7万から9万円あたりの中級機。

店員と相談して、僕の好みの音から考えたら、
やはりONKYOという選択はありでしょう。
marantzはA級ドライブができて、ONKYOの音にSANSUIより近い。
PM80aがいいかもしれませんということだった。

そこで両モデルで4312Bを鳴らしてもらった。
それまでのONKYOのアンプと比べると、
音は素直な感じだし、よく鳴っている。
PM80aのほうも分厚い音で鳴っている。
やや華やかに聞こえる。
A級とB級の聞き分けを試したところ、
A級では透明感が増したような気がした。
店員の勧め通りにPM80aを購入することとなった。

家に到着してから、A級にしたり、B級にしたり、
セッティング中に試してみた。
どちらで駆動しようと、ボリューム位置は同じで、
聴感上では音量に差はなかった。
音の立ち上がりはA級のほうが早いが、
聞き流す分には、大差ない。
A級で使えば発熱が大きいというのは事実で、
やけどまではしないものの、
通電中に触れれば、温いというより熱い。
A級では、サックスやボーカルが子音がはっきり聞こえ、
つやっぽく聞こえ、品位が高いと感じるけれど、
聞くことに集中した時に感じる程度で、
劇的に変わったという感じではなかった。
ちなみに12時の位置までボリュームを上げると、
窓ガラスが震えていた。
それ以上にあげると、隣近所から叱られる。

CDで聴くようになってから、寝落ちすることも多かったので、
旧盤をBGM利用で聴くときにはB級で使い、
新盤を、または真剣に聞きたいときだけA級で鳴らすことになった。

integra A-817は、まだ使えていたと思うのだが、
PM80aには501Zもつなげていたから、この後、使用していない。
だけれど、どう処分したのか、記憶にない。
BL-3を譲渡した時に同時に譲渡したのかもしれない。

JBL S31002015-10-14

1995年になって、かねて積み立てていた預金が満期になった。
ディスクの全ても手元にそろった。
幸いにして実家の床は、親の趣味の関係で強化してある。
築30年を超えた家にしては丈夫だ。
そこで、念願の38cmウーハーを手に入れることに決めた。

Project K2 S950077500は、どう頑張っても手が出せない。
エヴェレストも同様。
S5500なら可能性はあるが、アンプまで買うとなると厳しい。
第一30cmウーハーだし。
4344は4wayで鳴らし切るのは難しそうだし、
価格が100万ほどするからちょっとしんどい。
4430ならセットで80万程度だけど、
周波数特性が16kHzどまりと、スペックで見劣りする。
そもそもスタジオモニターを鳴らし切.る自信がないのだもん。
いっそTANNOY System 15はどうかなんて思ったりもした。
でも、やっぱりJBLの38cmが欲しかった。

うじうじ悩み続けていた。
あきらめて30cmのS2600で妥協しようか。
評判の良いスピーカーだけれど、
試聴したら物足りない。気のせいだったのだろうけれどね。
S2600から1年たち発表されたばかりのS3100が、
なんと38cmを搭載している。
2wayだけれど、スペック的に3wayとそん色ない。
周波数特性が30Hz~20000Hz、能率が94dB。
ドライバーも1inchが採用となっている。
セットで64万円ほどと手ごろ感もある。
上を見ればきりがない。
鳴らすために費やせる費用なんて、
しがない月給取りの身の上じゃ、
このスピーカーでも望外というものだろう。
僕にとっちゃ、十二分にハイエンドだわいな。

えいやっと購入した。
試聴すれば迷いまくるから、
もう聴かずに、雑誌と店員の言葉を信じて買った。
先にあげた、どのスピーカーよりおおらかになる。
実際、その通りだった。

家に届いたS3100を、とりあえず鳴らしてみる。
どうせ慣らしの時間がいる。駆動はPM80a+DP-8020だ。
鳴らしながら、アンプ、CDプレイヤーの梱包を解こう。
音出しした瞬間、手が止まる。
このアルバムは、こんなにいろんな音が入っていたのか。
ベースもドラムスもピアノも粒立ちが違う。
すべての楽器が、ちゃんと存在を主張している。
低音の音離れもよい。
軽く吹き上がっているようでも、良寛、質感ともある。
これまでのスピーカーから異次元にある。

ここら辺に置いといてと、何の工夫もせずポンとおいただけの、
リスニングポイントを作りもしていない状況でだ。
スピーカーから出る音だけで圧倒された。
思わず、他の機器は放り出し、
S3100の置き位置の調整に取り掛かった。
説明書に目を通し、スピーカー間の距離を2.5mにし、
壁から30cmほど話して壁に平行におく。
そこで音を聞き、数cmずらしたり、角度を少しつけたりしながら、
良いポイントを探していく。
1時間くらい試行錯誤したはずだ。
時分なりに納得のいくポイントを見つけて、
時分なりの帰順のCDとレコードを聴くことにした。

低音のチェックにはジェゴクが定番。
竹管から出る重低音が再生できている。
地の底から響いてくる重低音が揺さぶる。
ガムランで使用する高音パートの打楽器も歯切れがいい。
ドライバーから出る音は、まだ固いけれど、
音がきれいに分離している。
キングズ・オブ・マリをかけてみる。
ベースの音が、うねりを持って出てくる。
複数台のマリンバは、位置関係が見えるよう。
アタック音の鋭さは、4312Bでは感じられなかったほどに鋭い。
一つ一つの音がはっきり分離している。
僕にとっての最後のアイドル木之内みどりも聞いてみる。
ドラムもベースも軽快に歌う。
ボーカルはさ行の音もきれいに表現する。
つやっぽさが一段上がっている。ぞくぞくする。
価格に納得する色模様だ。

もはや他のスピーカーで聴くことはあるまい。そう思わせた。

スピーカーの追い込みは、このあたりまでにして、
いよいよ他の機材を使えるようにする作業に入った。