難事件カフェ2020-06-04

戦力外捜査官シリーズが大当たりした似鳥鶏の作品。
個人的には私立高校シリーズが好きです。

2013年に「パティシエの秘密推理」として刊行されたものを
加筆したうえで改題たものと、
その後に書かれた3編をまとめたものが「難事件カフェ2」となる。
著者あとがきによれば、さらなる続編はないとのことだ。
この作品は戦力外捜査官より、さらに軽い。
この人はこういう路線で行くのか。
事件は結構ドロドロしたものがあるのに、
サクサク読めてしまう。

隠れ家的喫茶店プリエールの2代目オーナー惣司季と
元県警刑事にして美男の智という兄弟が、
さまざまな事件に挑む連作短編集となっている。
ミステリというより、洋菓子の作成過程が克明に描かれていて、
そのどれもが“食いてえ”と思わせる、
お料理小説として読んだほうが確かな気がする。

智は、非常に優秀だったようで、
警察を退官しプリエールでパティシエとして働いている。
作る洋菓子はおいしくてルックスもいいから
多くの女性客にモテモテでもある。
季も、智ほどではなくとも長身の美丈夫であり、
淹れる茶もコーヒーも一級品である。
店内は落ち着いた装飾であり時間がたつことを忘れさせる。
落ち着きある心地よさがあふれる店だ。
その存在に気が付く人たちにとって
ひそやかであっても人気店になっている。

智は、辞表を提出したものの、県警本部長に惜しまれ、
長期休暇扱いとされ慰留されている。
なんとか県警に復職させようと、説得役になっているのが直井楓巡査。
プリエールに入り浸り、智を説得し、季を脅している。
そんな直井巡査が、未解決の難事件に智の知恵を借りようと
経営に苦労する季に報奨金のえさをぶら下げ
智を事件に巻き込んでいく。

この3人のやり取りがなんとも弛緩した感じであり、
ユーモアをたたえている。
著者の他の作品に照らせば、
海月千波を鋭くし柳瀬さん要素を足し推理力を除いたのが直ちゃん、
変人でない伊神先輩が智、
かっこよくした葉山君が季といった役回り。

都合7つの事件がこの3人の連携によって解かれるが、
(実際には「2」では別の事件が背景で進行しており8件)
智の安楽椅子探偵ぶりは神の域にある。
【2】では智の退官理由が明らかにされており、
このシリーズが閉じられている。

直ちゃんの感じがとてもいい。だから薦められる。