水壁 高橋克彦2020-09-17

7月に講談社文庫から刊行された2017発表の作品。
「風の陣」「火怨」に置かれる時系列にある。
歴史事実を東北から見つめ再評価する小説。
この後に「炎立つ」が続く。

阿弖流為の刑死から75年、蝦夷は朝廷の圧政に苦しんでいた。
阿弖流為から4代めの天日子は蘇我一族の下にいた。
彼は苦しむ蝦夷たちを救うため立ち上がる。
集まった者たちはいかにして朝廷に立ち向かうのか。

中央に対して戦いを挑み
唯一勝利を得たとされる「元慶の乱」を題材とした
痛快な小説。

が、資料の少ないのが災いしたにか、
臨場感や躍動感がやや不足したやに思えるのだ。
単独で読むのではなく、「風の陣」「火怨」と、
順を踏んで読まないと後悔する羽目になる。
そのように思うのです。