今月のわんこ生活2012-04-25

遠藤淑子 秋水社  648円(別)

マンガ家・遠藤淑子は1985年デビューのベテラン。
「スイート・ホーム」の狸の恵ちゃん(実は龍神)の魅力に参ってしまって以来に読む。
絵柄は「スイートホーム」のころの、
いかにも少女マンガしたものとは異なるが、
あのころのものの見方は健在、なのだろうと感じている。

「いぬ」だとか「わんこ」などという文字を書店で見かけると、
反射的に買ってしまう僕であるのに、
既知の作家であり、しかも気に入った作品に出会っていたともなれば、
買わずに済ませられるわけがない。

で、結論は。
犬好きな方へ贈る、しかも問題犬の飼い主にとって、
うれしい贈り物という評価ができる。

いろいろと作品の中では誤情報も含まれてしまっているのだけれど、
(たとえばキシリトールの問題やブドウのことに関して)
飼育本ではないから目をつぶってスルーするべきだろう。

主人公はボーダーのメス・ナナっち。
しっぽブンブンの愛想犬。体力あり余り。
おやつには目がない。人大好き。犬嫌い。喧嘩上等。
飼い主は甘えるべきものと心得ている。

なんだかどこかで聞いたような暴犬である。

どこかで聞いたような犬だと思っていたら、
飼い主もよく知っている。他人とは思えない。

ダメと知りつつナナっちの問題行動を許してしまう遠藤さんへは親近感を感じてしまう。
犬の行動によって怪我をしたりしてもへこたれていないさまは、
まさに「犬の下僕」してますね。
人に言えない、あんな、こんなの失敗の数々をゆるく描いた作品です。

現在2巻まで出ています。