キッドナッパーズ2019-02-10

門井慶喜  文春文庫  700円

子供の誘拐がテーマになる表題作を含む短編集。
帯には「逆転に次ぐ逆転」と記載されているから読むことにした。
何が逆転なのか、さっぱりわからない。
肩透かしにあった気分になった。

表題作は2003年に発表された著者のデビュー作品で、
これまで単行本に掲載されることなくいたものだそうだ。
門井慶喜の作品は読んだことがない。
書店でも目にとめた記憶がない。
ちょっよsrsべたら、直木賞を取っている。
それほどの作家なのに記憶にない。なんたることか。
よくよく見るとウィッシュリストというか、いずれ読むぞと考えていた
「家康、江戸を立てる」の著者であると気づいた。
結構なキャリアのある人なのに、
これまでひっかそれ」からずにいたのが不思議な気になった。

表題作については発想自体は面白い。
子供が強盗に押しかけ、誘拐の脅迫電話をかけるよう要求する。
その子供は、退社の際に恨みを有している元勤務先の社長の息子。
子供はけがをしている。ネグレクトが疑われる
という感じで進んでいくのだけれど、計算されている臭さが気になる。
80ページ足らずのデビュー作だということでこうなったのかもしれない。
150~200ページくらいの中編にしていれば、
かなりな読みごたえになったのかもしれないと思う。残念。

その他の作品も面白いのは面白いが、
技巧が走り過ぎている気がして、
一気読みするほどのものになっていない。
デビュー直後の作品だということであり、
いろいろと制約があったのかもね。

リアルタイムに出会っていたら、また違った感想になったのだろう。