混物語2019-02-25


西尾維新  講談社  1850円

西尾維新という作家は、どうしても好きになれない。
なのに読んでしまう。
手を出してはいけないとわかっていてもとってしまう。
ソいう中毒性を持っている。

どうしようもない破たんした性格を持つキャラ、
特異な能力を持つキャラ、ぶっ壊れた世界観etc.
調和のある安定した基盤の上で展開される物語を好む故、
受け入れがたい性格であるのに、なぜか読んでいる。
とはいっても、実際に読んでいるのは≪物語シリーズ≫≪君と僕シリーズ≫と
他シリーズの中から数冊といった程度でしかない。
普通の世界で普通の人間が登場する作品が存在しているのかもしれない。
が。本作品集を読む限り怪しいものだと思う。

西尾作品の特徴は言葉遊びの多用。
言葉遊びも単純なダジャレから、アナグラム、てにをはの際からくる当地など多様だ。
これは、そのアイデアで作品を生み出す点で才能だと思うし、
よくできていると感心する。
些細な違いから多くを引き出していく、
現実社会では起きえない、気づかない微細なものから最大を引き出す。
西尾維新の影響はライトノベル界を席巻し続けている。
そのうえで多くの読者が中毒者になってしまった。
ミステリかと聞かれたら、SFかと聞かれたら、青春小説かと聞かれたら、
その他のいずれの利かれ方をしても、僕なら「NO」という。
西尾維新は西尾維新というジャンルと割り切るしかない。

この作品集は、物語シリーズの語り部・暦と
他の西尾作品に登場する女性キャラクターとの邂逅が描かれる。
劇場版アニメ公開時に来場特典の小冊子に収められた作品たちと、
新たに初出3作品を加えたものとなる。
いずれ劣らぬ異常なヒロインである。
なんとか理解できるのが掟上今日子と瞳島眉美で、
その他は道徳とか人情とか正義とか、
そういう価値観から遠く離れてしまっている。

他人には決して薦めたくない。