だから動物愛護は… (その1)2020-10-04

エンジェルズ寄付金返還訴訟が最高裁で決着を見て後、
経過で知ったさまざまな活動の闇の部分を知ってしまい、
これら活動から距離をとっていた。

和歌山市のGCF騒動を知り、行政でさえ、
ここまで杜撰なことをするようになったかとあきれ果て、
二つの記事を書いてしまった。もう関わるまいと決意していたのに、だ。
自分からかかわってしまった。
で、この機会だから、かの団体の近況や現在の動物愛護界を
少しおさらいしてみることにした。

まあ、杉本彩氏が愛護団体を結成したことくらいは知っていたし、
かの団体をあれほど賛美していたのに、
いつの間にやら団体礼賛をやめてしまったことなど、
少し卑怯な気もするが、まあ汚点に触れることなどできんわ、と感じ、
ちゃんとした団体で活動されているならいいことなんだろうくらいで整理していた。
その杉本氏が2018年に、
ピースわんこ・ジャパンを激しく非難していると知った。
で、件の団体を少し当たることにした。

ピースわんこ・ジャパンは殺処分ゼロを目指し、広島で広大なシェルターを有し、
広島県の保健所から全頭引き受けを行っているということで、
全国から多くの寄付や会費を集め活動している。
HP記載の事業内容で活動しているならば素晴らしい団体だと思う。
HPには次のように書かれている。
「2018年度は、養育費に約7900万円、
医療費に約1億3400万円かかりました。
このなかには、施設内での繁殖を防ぎ、
保護犬たちを適切に管理するための避妊・去勢手術の費用も含まれます。」
養育費は食糧費が主だろう、一頭あたり年7万か。
うーん、プレミアムフード食っとるな。すごい。
フード支援なども受けてるだろうから、養育費は食費以外なのかな。
畜犬登録費なら新たに入る犬の分だけなので年50万くらいだし、
狂犬病の予防接種と同時に払うスが多いから医療費なのか。
専門スタッフがすごくいるから訓練費とも思えないし、
はてさて何なのかな。各種技能嫌悪訓練費とも思えないし、
やはり主として食費なのだろうな。
医療費は一頭当たり10万強といったところ。
いや年600頭前後は譲渡しているようだから年7万くらいか。
各種ワクチン、フィラリア予防、のみマダニ対策などもあるから、
ちょっと少なめな気もするが、獣医がお抱えなのだろうから十分だろう。
薬剤も原価に近いだろうし。獣医じゃないから儲けいらないもの。
専門スタッフも100人、それ以外にボランティアが多数いるということで、
ほんとに素晴らしい活動をしているのだろうと思わせる。
…思わせるのだが、杉本彩氏のEVAとか
他の団体がこの団体を指弾したのはなぜなのかと疑問を持った。
多くの団体が共同して公開質問状を送り、
それへのピースわんこの回答も出されている。

まあ、読んでびっくりした。

あの団体が当時やっていたことが可愛く思えてくるのである。

けた違いの活動である。良くも悪くも。
万一悪いほうなら、この世は真っ暗闇よと嘆くのである。

HPに記載されている施設は実際に持っているが、
収容頭数は優に1000頭を超える。
全頭譲渡を受けているから800頭以上は毎年受け入れてるようだ。
2020年の当月譲渡数を見れば50頭に満たない。
単純計算では年600頭の譲渡数となる。

2018年度時点で1400頭余りいたらしい。
そのうち避妊・去勢した犬は50頭に満たない。
施設内ではストレスから犬同士のリンチ死が起きていたという。
施設内で、理由はどうあれ100頭以上の出産があった。
狂犬病ワクチン接種させてない犬もいる。
譲渡した犬のしつけ不足からか脱走する例があった。
などなど多数問題が指摘されていた。
それらが公開質問状で投げかけられたが、
その回答を見て驚きのあまりひっくり返ってしまった。
かの団体が批判されたときだってここまでのことはなかったぞ。
質問と回答がかみ合っていないし、ろくな反証もしない。
あまつさえ活動内容と回答の状況では乖離が激しい。
HP記載の活動内容は、自らしていませんと言っているのだ。
引き受けた犬の中にはすでに避妊・去勢施術済みもいるだろうが
あまりに数値が低すぎる。
譲渡数が引受数に届かないのなら、年々飼育頭数増加が進む。
だからほぼ無限に施設拡充を行うことになる。
ならば職員数はどんどん増え人件費も上がり続ける。

HPでは100名のスタッフというがとても常勤正規職員とは言えない。
100人で人件費が2億なら、年俸は200万にしかならない。
一人当たりの月額で17万なら最低賃金でしかない。
そこには訓練士とか獣医師も含まれているようなのに、報酬は低すぎないか。
これではそのほとんどがパートであると宣言しているに過ぎない。
劣悪な環境下であれば、たとえ有償であれ、ボランティア同然じゃないか。

もう一つ驚いたのが、ふるさと納税が交付金として配分されていること。
愛護団体など広島だけでも多数あろうに、
なんでこの団体がこれほど交付されるの。
本来行政が行うべき事業を委託してしまうのはなぜ。
法整備はちゃんとしたの。
疑問というか、釈然としないというか。
税金で民間団体の資産形成をしていいのと大いに嘆いている。
これを許せば公益を挙げていれば個人にだって、
税金が湯水のごとく交付可能になるんじゃないの。
いくら全頭引き出しをしてるとはいえ、
せいぜい年1000頭ほどを引き受ける事業だ。
一頭につき50万円の交付金はいくら何でも。
もし施設等に交付金を充当してよいのなら、
法人の資産形成を励行していることになる。
人件費に充当するならみなし公務員になるんじゃないの。
なんなんだ?これは。

こんなのがあるから和歌山市のような事態が出来するんじゃないか?

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あまりにも長いので二つに分けます。

だから動物愛護って (その2)2020-10-04

ピースわんこのHPから(会計報告)を見たら、
特定非営利法人の会計報告として2018年度のものが載せられていた。
それによると、経常収益径が47億を超えている。
ふるさと納税交付金だけで約5億6700万円。
そのほかに助成金が約4億4千万ある。なんか47億円ってけた違いに大きい。
経常費用では人件費が事業で9億7千万円。管理費で3000万記載されている。
これ、ほんとにピースわんこの会計と思って最初から見たら
ピースウィンズジャパンのものだ。

次のページから第20期財務諸表の注記というのがあって、
そこではピースウィンズジャパンの各事業ごとの収支も示されている。
事業は5類に分類されている。
全体の収益は機種前残金が3300万円ほどあり、
当期収益が41億3千万あまり、当期減少額が41億5千万で
当期残高が約1500万と記載される。
当期収益には会費・寄付及びふるさと納税交付金(保護犬事業)11億円弱が含まれる。
監査法人がいるので記載は事実なのだろう。
会計報告では齟齬があるはずがないとはいえ、何かひっかりがある。

事業内訳から保護犬事業にあるものだけを拾えば
経常収益が11億2500万円余り 経常費用が9億8千万円あまりとなる。
経常収益には会費4億5千万、助成金等4億8千万強が記される。
助成金にふるさと納税交付金が含まれるのだろう。
だからふるさと納税交付金は保護犬事業にだけと限定れているわけではないらしい。
ちなみに保護犬事業とここで記しているが事業内訳では猫にも言及している。
経常費用では 人件費で給料に2億円あまり、賃金で2500万円弱。
直接事業費として2億1500万、ふるさと納税お礼関連費用に3360万円。
そしてその他の費目として3億3600万が挙げられている。
なおふるさと納税お礼関連費用は、
地域活性化といえる事業と紛争予防等制度構築に関する事業でも記載がある。
二つ合わせて100万に満たないので、ここから類推すると
ふるさと納税交付金は主として保護犬事業に充当されているのが筋のように思う。
経常費用の直接事業費とは保護犬事業にかかわる直接経費と思われるので、
シェルター運営費(食費・医療費含む)が充当指定されているのだろう。
人件費は含まれることは絶対にないはず。
その他の費目はなにかはわからない。
もしかしたら施設拡張準備金などが当たるのだろうか。
それとも救助犬育成、セラピー犬育成。アラート犬育成などがあたるのか。
これら育成事業ならば配備先などについて
つぶさに読めば記載されているのだろう。
育成事業は長期にわたり訓練を行い続けないと、まず実働できないし、
実働しなければNPOの事業として適正を欠く。
実働実績がなければ、単に名誉実績でしかなく個人の趣味だ。

なんせ素人なので諸表を正確に理解することはむつかしい。
ただ、巨大愛護団体であるということは確かだ。

なんだか現状は一件落着となっているようだが、
原因が巨大団体ゆえのやっかみに起因するだけとは思えない。
見直すべきところは見直し、単純に善人たちの期待をぶち壊すことのない
HP通りの実のある活動を期待したい。

と期待感を示していながらなんだけれど、
やっぱり動物愛護・保護団体には関らないでいようと、再確認するのだった。

ふるさと納税は社会に必要なの?2020-10-04

ふるさと納税は
「ふるさとで医療や教育等様々な住民サービスを受け育っても、
多くが都会で雇用されるため、地方の人口流出を生み
地方自治財政がひっ迫するなか、
地方活性化に資するよう設けられた制度である。

総務省ではその制度概要を次のように記している。
「都道府県・市区町村に対する寄附金のうち、2,000円を超える部分について、一定限度額まで、原則として所得税と合わせて全額が控除されます。」
無尽蔵に寄付できるわけではなく、
所得・家族構成により上限が定められる。
上限額の目安は単身世帯で、
年収300万円なら2.8万円、年収550万円なら6.39万円、
年収1000万円なら17.6万円、年収2000万円なら56.4万円となっている。これらは寄付能力という点で見れば妥当なのかもしれないが、
逆進性を疑う人もいる。
特に返礼品が豪華になることで批判がより強くなっている。
年収300万の人なら7千円の、
年収1千万円の人なら5万円の返礼品を受け取り可能なのだ。
たった2000円の実費で。
寄附金の使い道について特段の制約はなく、
自治体によっては目的別に募集するなどされ、
ふるさと納税を行う人が使途を選択できる例もある。

ふるさと納税は制度発足からしばらくは寄付額は低迷していたが、
2014年ごろから飛躍的に拡大し、
2018年には5700億円を集めるまでに成長している。
その経過の中で返礼品の豪華さが際立つようになり、
ついに総務省が返礼品競争に対して黙視しきれず、
大阪府泉佐野市などに制度から除外の鉄槌を下すことになった。
だが、その国の除外措置が法廷で否定されるという落ちまでついた。
ふるさと納税の持つ制度的安定のなさが産み落とした笑えない話だ。

ふるさと納税が急伸することは、
国税・地方税がそのぶん失われているということでもある。
このことを危ぶむ自治体首長も、都市部を中心に生まれている。

実のところ、僕は制度への関心が薄かったので、
適用範囲が助成などは可能となるだろうくらいは想像できたが、
産業誘致のための補助金も可能だとは知らなかった。
無知は怖いし、無知からの錯誤も生じる。
先の二つの記事は、そういったものが含まれる。
だけれど考えのベースは、錯誤なりがあっても変わらない。
だから訂正もしない。お叱りを受けるのは仕方がない。

総務省の支援事業には、次の2点が2017年度に書き加えられている。
<ふるさと起業家支援プロジェクト>
地域経済の好循環の拡大が図られるよう、地方団体がクラウドファンディング型のふるさと納税を活用し、起業家に対して資金提供を行う。
<ふるさと移住交流促進プロジェクト>
ふるさと納税をきっかけとした継続的なつながりを持つ取組を通じて、将来的な移住・定住につながる。

後者のほうなら、地方活性化の手段としてあるだろが、
前者のほうは企業誘致など行われることで
地方の雇用増が図られるなど、相当の効果はあるだろうが、
果たして性善説が通用するのかと思う。

復興予算では利権化した補助金を団強盗の事実をもって搾取、
素晴らしい活動を約束だけしたや巨額の詐欺的行為が起きている。
ふるさと納税の利用状況の拡大が、
同様の事例を生み出しそうなことが分かろうものだ。

ピースわんこ・ジャパンへのふるさと納税交付は、
交付自治体による継続的な冷徹な監視・観察と調査がないならば、
極めて不明瞭な会計を生み出す土壌を内包させないかと思う。
同様の事案はすべてに共通する課題と思われる。
NPOであれ、なんであれ、起業は常に成功するとは限らない。
失敗もあれば、成功していたところで事業主体が変わり
運営がまるっきり変貌することだってある。
そもそも理念あれど実態が伴わぬことだってあり得よう。
ここに述べられている起業などとは全く異なるものだが、
富岡操動物基金などは、その設立趣意とは別な方向にかじを切った。
富岡操動物基金の場合、
運営方針を変更したことは賢明な判断だったと信じるが
結果として活動の本拠が変更されている。
今助成・補助を受ける事業が、その地域に根を張り続けているか、
将来にわたり予測可能とは思わないのだ。
公的資金をつぎ込んだのに事業が地域に定着させられないなら、
ふるさと納税の理念が、泣くに泣けない。
弱者救済の道は、どんどん細っていく日本の現状で、
投機的投資が優先されるのなら、どこか歪だ。

ふるさと納税の本来の趣旨が担保し続けられるのだろうか。
相当に疑問を感じる。

もともとは税として、広く国民生活に還元されるはずの原資が、
無駄に溶けるだけの結末に至らないか危惧する。
法人の資産に化け、法人の従業員給料に化けでは、
なんか納得できそうにない。
ましてや使用用途が不明ななってしまうなら闇が深すぎる。

2018年に起きたピースわんこ・ジャパンに対する疑念は、
国・自治体などに要望書が提出され、
団体には公開質問状が送付された。
なのに団体の釈明に納得できる点は少ない。
要望書を受けた後に国なり地方自治体の調査した結果などは、
少なくとも僕の目では探せなかった。
これが事実だというなら、
ふるさと納税の使途に正義などないということになる。
告発した団体側も、なぜか追及が及び腰になっている。
そこに闇がないと言い切れない。それが印象として残る。

税金ならば相当に使途の透明性が求められる。
寄付金だからと甘い運用を許してはならないと思う。
交付するにしても適正さや公益性を十二分に吟味し、
常に行政の責任として寄付金交付の有効性を証明できるよう、
自治体・事業者とも毎年度ごとに
使用細目を公表するべきではないのか。
交付したから、あとは交付先の自由ですを許してはならないと信じる。

和歌山市の例は、たまたま発覚しただけ、
でないことを祈るばかりである。

そもそもふるさと納税って必要なのかな。
興味を持ってもらうためという理念はわかる。
わかるが、現実は返礼品目当と映る。
地方税の在り方・仕組みを検討して、
税の分配方法を見直すことのほうが、本当は効果的ではないのか。
もっとも小さな政府を志向している流れの中では
国の権限が強化されることになりかねないから、
逆行との指摘がありそうなのが難点だが。
ならば、ふるさと納税の急伸は、
寄付文化が日本で定着した結果と考え、
返礼品をやめるのが正しくないか。
現にGCFへの寄付では返礼品がないものもあるが、
それぞれに、それなりの達成率がある。
別に返礼品がなくとも、賛同できる事業には寄付するようなのだ。
返礼品をやめたほうが、ずっとすっきりとした制度だと思う。

どう考えったって、税という重い義務が枠組みなものと、
寄付という、あいまいになりがちな在り方を共存させる必要があるの。
だいたい寄付の税額控除なら、
ふるさと納税以外でもある。
こちらは税額控除などが同様に可能な酒でなく
所得に応じた限定なども緩やかである。
節税効果はふるさと納税に劣っているようだが。

自治体への応援として発足した制度が、
いつの間にやら一法人への助成が可能な制度になった。
失われる側の自治体のほうは
社会基盤維持経費・社会保障費などの増大に苦しむ中、
今のママが本当に正しい在り方なのか首をひねるばかりだ。