キミとボク2011-07-30

柏木さくら   リンダ・パブリッシャーズ   571円(別)

映像作品のノベライズ。
原作はやまがらしげと。
自らのWebサイト『UNIVERSAL RADIO』で
実体験を基にしたWebアニメーション『キミとボク』を発表し、
静かな共感を生んでいたということのようだ。
2011年5月に窪田崇が監督した映画が公開された。

Webアニメーションは現在のものを視聴したが、
僕にはもひとつピンとこなかった。
猫の姿が僕好みではなかったのが原因かと思う。

このノベライズ版の著者・柏木さくらの経歴などは分からない。
この作品以外に著作は見当たらない。
とにかく犬猫物は衝動買いしてしまう傾向が強いので、
悔やむことが結構あるのだ。この本も衝動買いだった。
映像作品のノベライズ作品で感動することは少ない。
特に本作のように原作者がいて映画があり、
さらにそのノベライズというと、たいていは駄作になってしまう。
で、本作はというと、映画を見ていないので何とも言えないが、
動物を飼うものとしての共感はあれど、
どこか絵空事のように思えてしまうので、失敗作ではないかと思う。
それでも心惹かれるところはある。
動物ネタはとりあえず受け入れられやすいということだろう。

ストーリー自体は単純だ。
漫画家を目指し都会へと出てきた青年が、子猫と夜の公園で出会った。
七夕の夜に出会ったから銀王号。青年は子猫に名をつける。
しかし、一人で暮らす彼に猫は飼えない。懸命に里親を探す。
やっと里親が現れた時、青年は銀王号を手放せない自分に気づく。
その日から、銀王号と青年との2人の生活が始まる。
漫画化への夢を追う青年と、その横で見守る銀王号。
2人は心を寄せあい、お互いに支えあう大切な存在となっていく。
銀王号が不治の病に罹り、
青年の腕の中で星に帰るまでの10年を描いた心温まる物語。
ラスト出でくる編集者の優しさが心に痛い。
僕たちは優しくいられるのだろうか。

いろいろ文句を言ったが、
犬、猫と暮らす人なら読んで損はない。
たぶん映画のほうが心に残るのではないかとは思うが。