今日の一枚 ― 2006-06-05

後姿だけど、かっちょいいぞ。「そらん」。
ミミズクとオリーブ ― 2006-06-05
芦原すなお 創元推理文庫 580円
芦原作品を読むのは『青春デンデケデケデケ』以来である。
学園祭でベンチャーズの楽曲に挑戦する高校生を描いた青春小説は、
おもしろいと思いつつも、微妙な世代ギャップがあり、期待はずれであった。
こういう世界を描く人なんだという固定観念ができ、
まったく注意せず、以後の芦原作品を読むことはなかった。
先日、たまに行く書店で物色していると、
創元社の『未来の古典フェア』の一冊に本書があり、
平積み展示がなされていた。
表紙は和服の女性が木に止まっているふくろうに手を差し出していて、
懐かしい感じのする家屋(縁側)に座る男性が描かれている。
いい感じだ。芦原さんってミステリも書くのか、と驚いたのだ。
とりあえず表紙と題名に惹かれて買ってみたが、
これが実におもしろい。
表紙の二人は、作家とその妻なのだが、
その妻がホームずばりの推理力の持ち主なのだ。
表題作ほか7つの短編が本書には収められているが、
その推理振りには感心させられる。
ついでに香川のうまい料理の数々が、
これでもかとばかりに紹介され、ついつい食べに行きたくさせるのだ。
表題作は、作家の大学時代の友人が、
なぞめいた書置きを残し蒸発した妻の気持ちが分からず、
女性としての意見を聴きに来る物語だ。
手料理を給仕しながら話を聞くだけで、
失踪した妻の居所の見当もつけ、その原因も言い当て、
危機にある夫婦を救ったのである。
この物語に続いては、この一連の連作を盛り上げる脇役が登場する。
作家の高校での友人で警部の職にある河田だ。
この河田と作家の会話が以後の連作にかるみを生み出している。
『紅い珊瑚の耳飾り』では、遊びに来た河田と話すうち、
最近手がけた殺人事件が話題になる。
解決の自慢をするか綿の説明に、妻が疑問を呈する。
そして妻の疑問どおり真犯人が別にいることが判明するのだ。
河田は妻の助言を受け、再捜査を行う。
このとき作家は妻の眼となって操作に同行する。
作家の報告を手がかりに核心に迫る妻の推理は冴え渡るのである。
以後、このパターンが踏襲される。
続編に『嫁洗い池』があるらしい。
ぜひ読もうと思っている。
7点
芦原作品を読むのは『青春デンデケデケデケ』以来である。
学園祭でベンチャーズの楽曲に挑戦する高校生を描いた青春小説は、
おもしろいと思いつつも、微妙な世代ギャップがあり、期待はずれであった。
こういう世界を描く人なんだという固定観念ができ、
まったく注意せず、以後の芦原作品を読むことはなかった。
先日、たまに行く書店で物色していると、
創元社の『未来の古典フェア』の一冊に本書があり、
平積み展示がなされていた。
表紙は和服の女性が木に止まっているふくろうに手を差し出していて、
懐かしい感じのする家屋(縁側)に座る男性が描かれている。
いい感じだ。芦原さんってミステリも書くのか、と驚いたのだ。
とりあえず表紙と題名に惹かれて買ってみたが、
これが実におもしろい。
表紙の二人は、作家とその妻なのだが、
その妻がホームずばりの推理力の持ち主なのだ。
表題作ほか7つの短編が本書には収められているが、
その推理振りには感心させられる。
ついでに香川のうまい料理の数々が、
これでもかとばかりに紹介され、ついつい食べに行きたくさせるのだ。
表題作は、作家の大学時代の友人が、
なぞめいた書置きを残し蒸発した妻の気持ちが分からず、
女性としての意見を聴きに来る物語だ。
手料理を給仕しながら話を聞くだけで、
失踪した妻の居所の見当もつけ、その原因も言い当て、
危機にある夫婦を救ったのである。
この物語に続いては、この一連の連作を盛り上げる脇役が登場する。
作家の高校での友人で警部の職にある河田だ。
この河田と作家の会話が以後の連作にかるみを生み出している。
『紅い珊瑚の耳飾り』では、遊びに来た河田と話すうち、
最近手がけた殺人事件が話題になる。
解決の自慢をするか綿の説明に、妻が疑問を呈する。
そして妻の疑問どおり真犯人が別にいることが判明するのだ。
河田は妻の助言を受け、再捜査を行う。
このとき作家は妻の眼となって操作に同行する。
作家の報告を手がかりに核心に迫る妻の推理は冴え渡るのである。
以後、このパターンが踏襲される。
続編に『嫁洗い池』があるらしい。
ぜひ読もうと思っている。
7点
最近のコメント