「はいら」の友達が逝く2022-04-06

とうとう「まこら」だけになってしまって2年半が経つ。
一頭だけになっても毎週のドギパ行きは続けている。
去年あたりから看板犬のジローが体調不良になり、
「まこら」を鬱陶しがるようになり、
個々のところは歩くのもしんどそうに見えた。

「はいら」と同年なので間もなく15歳になるが、
15才まであと少しのところで力尽きてしまった。
先週の木曜に息を引き取ったらしい。

「はいら」とはいい遊び仲間だったので
本当に寂しくなってしまう。

過去の写真や動画を見ると、
はいらとは、はた目には喧嘩かとも思えるような
ガウガウ遊びを飽きることなくしていた。

「はいら」とはあの世でも遊んでやってくれ。

こうしてはいらを知る犬がどんどん少なくなっていく。

「はいら」や「そらん」を知り「まこら」とも挨拶してくれるのは、
もはや数頭になった。

甘美なる誘拐2022-04-06

平井紀一

第19回「このミステリがすごい」大賞で文庫グランプリを受賞した作品ということで
結構期待して読んだ。期待に対しては十分満足して読み終えたけれど、
物語の中盤までがまどろこしくて、なかなかいっき読みとならなかったのが残念だ。

盃を受けていない見習いやくざ二人が
暴力団の雑用をこなすうちいろいろな案件にかかわり
殺人現場に出くわしたり、地上げ被害者を知ったり、右往左往するパートと
傾いた事業を維持しようと奮戦を続ける親娘が
地上げの嫌がらせに手形詐欺といたぶられるパートが描かれるのが前半。
後半に入り新興宗教団体の娘を誘拐する計画が明らかになる。
そこから物語はギアチェンジされ怒涛の展開となる。

誘拐のどさくさに当籤宝くじ横取りを企むチンピラ二人が
前半で起きるすべての事象を利用し、
華麗に身代金をかすめ取るは、宝くじ横取りに成功するは、
苦しむ親娘は救済されるは、誘拐された教祖の娘まで心の救済が得られるは、
後味が良い所に好感が持てる。

しかしなのである。チンピラ二人多額のお金を手にしたものの
組から足を洗えるのかい?些細だが疑問なのである。
こういう場合見過ごされる確率って高いのか?

「甘美なる作戦」が原タイトルであったということで
そちらのほうが内容にふさわしいような気がする。

翻弄2022-04-06

上田秀人

長宗我部盛親と徳川秀忠。元親と家康という偉大な父の跡を継ぐ二人、
関ヶ原の役で別れる二人の姿を描く。
英才教育を家康から施される秀忠の鬱屈、
元親が期待した長男の落命により、成り行きで家督を継ぐこととなった盛親。
盛親は落胆した元親からろくな教えを得ず家臣の助言に振り回される。
そうして改易の憂き目を見ることになる。

大阪の役に向けて二人の鬱屈と願望が語られていく。
秀忠と盛親を対比していることで、後継者がどうなっていくのかは
本人に訪れるほんのちょっとの運の違いだと知らされる。

どちらがより恵まれているというのか。読後に余韻を残す。

上田秀人は「天守信長 裏・表」を読んだ記憶がある。
本能寺の変を、信長の策士策に溺れる無様を描いた点で
とても面白い体験をさせてもらった。

本作品では「天守信長」に見るような壮大な創作はないけれど、
やっぱり独自性の強い所に好感を持った。
滅びる長曾我部家と栄える徳川家を扱うことで、
新しい読み心地を大阪の役に見いだせる。