オマタかおる2006-05-07

全2巻 鈴木由美子 講談社 各500円

『白鳥麗子でございます』でスターダムに駆け上がった鈴木由美子の作。
出世作が高慢なお嬢様を描いていたのに対して
こちらは徹底的にネガティブな思考をするお嬢様が中心に描かれる。
傾向としては同じようなコミックだといえそう。

9頭身で彫も深い美人。それが世良香である。
男という男が振り返る美人で、家庭も裕福。
ところが思い込みの激しい彼女は、
すべてを不幸に捉えてしまう一人不幸上手だった。
そんな彼女が、何の変哲もない『オマタ』君に一目ぼれ
そこから『オマタ』君は香の数々の勘違いに振り回されていく。
小俣くんと香は無事ゴールインできるのか。

徹底してネガティブに考える香の行動は抱腹絶倒。
対する小俣君の反応は信じられないほどポジティブ。
この落差を楽しめるなら、おもしろいだろう。

このマンガのもうひとつの軸が、言葉遊び。
文子さんが馬場君と結婚したら。芽衣子さんが王さんと結婚したら。
これはもうカビの出るほど使い古された遊びなのですが、
このねた一発で、このマンガが描かれたのじゃないかというくらいの重さです。
香の母が『世良千代』なのも遊びなんですが、
こうした遊びが女性読者に受け入れられるのか不明。
一部に猥談が大好きな女性がいるのは知っていますが、
どちらかというと少数派で、
私猥談なんてしません、ちゅう感じの人も多いから。
この徹底したおふざけ振りはおもしろいのですが、
男も女もすべからくこのような話題が大好きということでないと、
このコミックを絶賛することは難しいです。
環境型セクハラを恐れるあまり萎縮しすぎる必要はないとおもいますが、
実際にこの本を薦めて不快感を味あわせると
大きな問題になったりするのかもしれません。(ありえないことであれ)

鈴木由美子は少女系漫画誌に書いていたという風に思っていましたが
この作品に限っては青年コミック系だったということです。

5点