犬吉 ― 2006-05-09
諸田玲子 文春文庫 514円
諸田玲子という著者は始めて読む。
どちらかというと女性作家の作品を読む頻度が少ないのに、
この本を手に取ったのは、表紙に因がある。
黒鉄ひろしの筆による、パッと見にはハスキーに見えなくもない、
愛嬌溢れる犬が気に入ったのである。
タイトルもよい。「犬吉」。なんかデザインが大吉に点が加わった感じ、
結構予定調和かア?
わし、安心して読める著作も好きだもんね。
ちょっと引っかかったのが帯。
『一途な思い。これがあたいの恋。』
もしかしたらべたべた?
犬たちの世話をする娘犬吉の波乱に満ちた一夜
その言葉が続いていたので大丈夫だろう。
そして見極めは正しかった。
かなりスリリングな展開に満足している。
物語は元禄年間、生類憐みの令が暴走した江戸が舞台である。
お囲い馬で犬の世話をする一人の女性・犬吉が主人公だ。
犬吉は仲間がつけたあだ名であり、
犬狂いのお吉といった意味がある。
お吉は郭で太夫のかむろをしている折、
旗本の若に目をかけられ『雷光』言う犬の世話をしばしばしていた。
将来の美貌を見込まれ、和歌に身請けをされ、
やがて女にされることとなる。
かぶきを標榜する若は、やがてお吉に乱暴をするようになり、
『雷光』はお吉を守るようにして若に惨殺される。
そのことにより見受け先は断絶、若は切腹となり、
行き場を失ったお吉は、お囲い場に身を寄せている。
幻の『雷光』にのみ語りかけるお吉は、
心を閉ざしていて、誰とも打ち解けずにいる。
そんなお吉が、赤穂浪士の吉良邸討ち入りがあった日の朝、
一人の武家・依田に出会い、その瞳に『雷光』を見出す。
お吉は心惹かれ、その心の行方がメインストーリーとなる。
一方、生類憐みの令が生んだ諸矛盾は
江戸市中に憤懣を蓄積させていた。
その憤懣が吉良邸討ち入りにより、お囲い場でも爆発する。
その一夜の男たちの狂乱にお吉は引きずり込まれる。
巧みな回想シーンと一夜の出来事を通した
お吉の再生がスピーディーでスリリング。
一気読み間違いなし
諸田玲子という著者は始めて読む。
どちらかというと女性作家の作品を読む頻度が少ないのに、
この本を手に取ったのは、表紙に因がある。
黒鉄ひろしの筆による、パッと見にはハスキーに見えなくもない、
愛嬌溢れる犬が気に入ったのである。
タイトルもよい。「犬吉」。なんかデザインが大吉に点が加わった感じ、
結構予定調和かア?
わし、安心して読める著作も好きだもんね。
ちょっと引っかかったのが帯。
『一途な思い。これがあたいの恋。』
もしかしたらべたべた?
犬たちの世話をする娘犬吉の波乱に満ちた一夜
その言葉が続いていたので大丈夫だろう。
そして見極めは正しかった。
かなりスリリングな展開に満足している。
物語は元禄年間、生類憐みの令が暴走した江戸が舞台である。
お囲い馬で犬の世話をする一人の女性・犬吉が主人公だ。
犬吉は仲間がつけたあだ名であり、
犬狂いのお吉といった意味がある。
お吉は郭で太夫のかむろをしている折、
旗本の若に目をかけられ『雷光』言う犬の世話をしばしばしていた。
将来の美貌を見込まれ、和歌に身請けをされ、
やがて女にされることとなる。
かぶきを標榜する若は、やがてお吉に乱暴をするようになり、
『雷光』はお吉を守るようにして若に惨殺される。
そのことにより見受け先は断絶、若は切腹となり、
行き場を失ったお吉は、お囲い場に身を寄せている。
幻の『雷光』にのみ語りかけるお吉は、
心を閉ざしていて、誰とも打ち解けずにいる。
そんなお吉が、赤穂浪士の吉良邸討ち入りがあった日の朝、
一人の武家・依田に出会い、その瞳に『雷光』を見出す。
お吉は心惹かれ、その心の行方がメインストーリーとなる。
一方、生類憐みの令が生んだ諸矛盾は
江戸市中に憤懣を蓄積させていた。
その憤懣が吉良邸討ち入りにより、お囲い場でも爆発する。
その一夜の男たちの狂乱にお吉は引きずり込まれる。
巧みな回想シーンと一夜の出来事を通した
お吉の再生がスピーディーでスリリング。
一気読み間違いなし
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