秀吉の枷 下巻 ― 2006-05-31
上巻は22日に読み終わっているから、
下巻は一週間かかった勘定になる。
僕の本の読み方は、コミックは除いても、
常に5-6冊並行して読んでいるケースが多い。
興が昂じた時点から一気読みというケースがほとんどだ。
下巻は今日、240ページ読んだことになる。
120ページ過ぎから、
著者が用意した豊臣政権崩壊の黒幕についてのアイデアが出される。
このアイデアは過去に幾人もの作家が、
疑念として提示していたもので、
秀吉には結局実子は一人としていなかったとするものだ。
実子ではないという疑念を持ちつつも、
疑念を打ち消し、実子として扱い続けねばならないという
あまりにも哀れな秀吉像が、下巻で展開される。
朝鮮出兵、関白・秀次殺害など
陰惨な晩年の秀吉の行動の裏に潜む謎に迫る後半は圧巻。
特に秀次の狂いの元凶について知るとき、
秀吉の英雄増は完全に崩壊する。
前野将衛門の述懐が「夢のまた夢」の言葉となろう。
著者が俗説をかき集めて構成しなおした衝撃的結末から推測すると、
光秀=僧天界説につながる伏線を途中で放棄しているし、
本能寺の謎の一部を知る徳川の行動についての記述も中途なので、
このテーマでもう一作ものするように感じる。
上巻の感想は↓
http://kumaneko.asablo.jp/blog/2006/05/22/374759
下巻は一週間かかった勘定になる。
僕の本の読み方は、コミックは除いても、
常に5-6冊並行して読んでいるケースが多い。
興が昂じた時点から一気読みというケースがほとんどだ。
下巻は今日、240ページ読んだことになる。
120ページ過ぎから、
著者が用意した豊臣政権崩壊の黒幕についてのアイデアが出される。
このアイデアは過去に幾人もの作家が、
疑念として提示していたもので、
秀吉には結局実子は一人としていなかったとするものだ。
実子ではないという疑念を持ちつつも、
疑念を打ち消し、実子として扱い続けねばならないという
あまりにも哀れな秀吉像が、下巻で展開される。
朝鮮出兵、関白・秀次殺害など
陰惨な晩年の秀吉の行動の裏に潜む謎に迫る後半は圧巻。
特に秀次の狂いの元凶について知るとき、
秀吉の英雄増は完全に崩壊する。
前野将衛門の述懐が「夢のまた夢」の言葉となろう。
著者が俗説をかき集めて構成しなおした衝撃的結末から推測すると、
光秀=僧天界説につながる伏線を途中で放棄しているし、
本能寺の謎の一部を知る徳川の行動についての記述も中途なので、
このテーマでもう一作ものするように感じる。
上巻の感想は↓
http://kumaneko.asablo.jp/blog/2006/05/22/374759
銀のロマンティック…わはは ― 2006-05-31
何度読んでも色あせることのない作品は、そう多くない。
『銀のロマンティック』は、そういう何度も読むのに耐えうると思う。
いつ読んでも目頭が熱くなるのだ。
初めて読んだのは10年ほど前だ。
タイトルにつけられた『…わはは』に興味を覚えたのだ。
『銀のロマンティック』なら読まなかっただろう。
この作品は現在でも入手できる。下記文庫本に収録されている。
『甲子園の空に笑え』 白泉社 630円
この文庫については次のサイトが詳しい。
http://sawagani.blog45.fc2.com/blog-entry-65.html
川原泉と言う書き手は少女漫画家ということになっているが、
当時の少女漫画にはあまりないスタイルを持っている。
『銀のロマンティック』は
一流バレリーナの父を持つ由良更紗と
スピードスケートの有望株だったが事故で選手生命を絶たれた景浦が
フィギアスケートのペアに挑戦する物語だ。
二人は抜群の身体能力と互いの負けず嫌いによって、
衝突を繰り返しながらも急速にペアとして成長する。
しかし、ペアとして完成しようという矢先、
景浦の事故の古傷が再発、フィギア選手としての生命も絶たれる。
更紗は景浦と歩き、景浦の弱音を聞いたときに、
最初で最後のパートナーだと景浦に告げ、
ただ一度の奇跡を目指し大会への出場を決めるのだ。
上に書いたあらすじを槇村さとるあたりが書いたら、
スポ根の要素を取り入れた、
もう匂いプンプンの恋愛マンガになってしまうのだろうが
川原ワールドでは、スポ根の部分も犬の『ぽち』を登場させることで
ゆる~く表現され、
恋愛の部分もきわめてクールに表現する。
『銀のロマンティック』は川原作品としては珍しい情熱系作品で、
そうした題材を選んだ自分への照れが
タイトルを『銀のロマンティック…わはは」とさせたのだろう。
川原泉の代表作は『笑う大天使』だろう。
その「笑う大天使」が映画化されるという。
http://plaza.rakuten.co.jp/dokusyojump/diary/200605200000/
川原ワールドの心地よさが実写で表現しうるのか興味いっぱなのである。
なお、『銀のロマンティック』の更紗も、
『甲子園の空もに笑え』の広岡真理子も、
聖ミカエル学園出身である。この学園こそが『笑う大天使』の舞台だ。
お嬢様の中身はなかなかに複雑なのである。
更紗もダミアンを見たのだろうか。
『銀のロマンティック』は、そういう何度も読むのに耐えうると思う。
いつ読んでも目頭が熱くなるのだ。
初めて読んだのは10年ほど前だ。
タイトルにつけられた『…わはは』に興味を覚えたのだ。
『銀のロマンティック』なら読まなかっただろう。
この作品は現在でも入手できる。下記文庫本に収録されている。
『甲子園の空に笑え』 白泉社 630円
この文庫については次のサイトが詳しい。
http://sawagani.blog45.fc2.com/blog-entry-65.html
川原泉と言う書き手は少女漫画家ということになっているが、
当時の少女漫画にはあまりないスタイルを持っている。
『銀のロマンティック』は
一流バレリーナの父を持つ由良更紗と
スピードスケートの有望株だったが事故で選手生命を絶たれた景浦が
フィギアスケートのペアに挑戦する物語だ。
二人は抜群の身体能力と互いの負けず嫌いによって、
衝突を繰り返しながらも急速にペアとして成長する。
しかし、ペアとして完成しようという矢先、
景浦の事故の古傷が再発、フィギア選手としての生命も絶たれる。
更紗は景浦と歩き、景浦の弱音を聞いたときに、
最初で最後のパートナーだと景浦に告げ、
ただ一度の奇跡を目指し大会への出場を決めるのだ。
上に書いたあらすじを槇村さとるあたりが書いたら、
スポ根の要素を取り入れた、
もう匂いプンプンの恋愛マンガになってしまうのだろうが
川原ワールドでは、スポ根の部分も犬の『ぽち』を登場させることで
ゆる~く表現され、
恋愛の部分もきわめてクールに表現する。
『銀のロマンティック』は川原作品としては珍しい情熱系作品で、
そうした題材を選んだ自分への照れが
タイトルを『銀のロマンティック…わはは」とさせたのだろう。
川原泉の代表作は『笑う大天使』だろう。
その「笑う大天使」が映画化されるという。
http://plaza.rakuten.co.jp/dokusyojump/diary/200605200000/
川原ワールドの心地よさが実写で表現しうるのか興味いっぱなのである。
なお、『銀のロマンティック』の更紗も、
『甲子園の空もに笑え』の広岡真理子も、
聖ミカエル学園出身である。この学園こそが『笑う大天使』の舞台だ。
お嬢様の中身はなかなかに複雑なのである。
更紗もダミアンを見たのだろうか。
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