孟嘗君 12007-08-17

宮城谷昌光  講談社  1553円

食客を多数抱えたことで有名な孟嘗君の生涯を描いた大作。
第一巻では誕生か数奇な運命へと巻き込まれる幼年時代を描く。
5月5日生まれの子は不吉として、父から死を命ぜられながらも、
母親の忍びなさに同情した人物により助けられ、命永らえ、
斉の皇室の血を引く女児と共に預けられる。
しかし、女児の命を奪おうとする陰謀があり、
それに巻き込まれる形で養父母は殺害される。
そのとき、男児を探していた風洪により助けられ、
やがて数奇な運命の変転を経ることとなる。
この巻は孟嘗君=田文の育ての親となる風洪の人となりに焦点を当てている。
風洪の周りに集まる
綺羅星のごとき時代の寵児となる人物たちとの邂逅を描く本巻は、
一時代を描く者たちが田文に与えるものを提示している。
風洪という人物のさわやかさが心地よい。

楊令伝 二 辺烽の章2007-08-17

北方謙三  集英社  1600円

漸く楊令と出会えた燕青と武松。幻王となった楊令と語り合う。
梁山泊の志は楊令に伝わっているのだろうか?
緊張感漂う中、燕婿は楊令に棟梁の資質を感じ取る。
梁山泊は楊令の帰還を信じて再び戦い始める。
 宋と燕と金、国同士の関係は送金が手を結ぶなど緊張感が漂っている。一方、江南では宗教を母体とした独立国構想が進捗している。
呉用は単身乗り込み、江南の情勢を梁山泊に役立てようと目論んでいる。梁山泊は中華が緊張をはらむ中、雌伏しつつ時を待っている。
替天の旗を高らかに挙げる日を待っているのだ。
梁山泊は大規模な南北の争いの最中、いよいよ立ち上がる。
楊令と史進たち梁山泊主力が出会うとき、何かが起きると予感させる。

犬と私の10の約束2007-08-17

川口晴  文藝春秋  1143円

2008年3月に映画が公開されるらしい。
犬が好きで感の良い人なら、
タイトルから『犬の十戒』がテーマに絡んでいると見破ろう。
著者は『映画『クイール』や『子ぎつねヘレン』をプロデュースしており、こういう物語のつぼを個心得ていると見える。
たいへん優しい絵に描いたような清々しいできばえになっている。
別に文句を言うわけではないが、
その物語が清々しいほどに、僕の味方は辛くなってしまう。

この物語は犬が介在する恋愛物語だと読んでしまう。
『犬の十戒』は小道具としては輝いているが、
タイトルにしてしまうほどに消化されてないじゃないか。
ご丁寧にも虹の橋まで引用しているが、
安易な結末を計算づくで演出しただけのことなんて思ってしまうのだ。

僕が捻くれているからか、泣けもしないし、感動もできない。
主人公の犬への思いは嫌味に感じてしまうところもあった。
その一方で素直に読みたいと強く思っていたりもして、
複雑な読後感となった。

父が医師、母は元看護婦。母の勘違いで結婚してしまって自分がいる。
忙しい父は敬愛はしていても、家族として物足りない。
母はよく笑う変わり者。だけどいつでも癒されている。
その母が病に倒れ還らぬ人となる。
1頭のゴールデンの子犬を残して他界する。
子犬にソックスと名づけ大切に育てる。
 
学校ではギターを愛する少年と出会う。ソックスを通じて彼とは交流が続く。
その彼がギター修行で海外に出るとき、
父と見送りとソックスの引き取りに向かう。
そのとき父が緊急手術で呼び出され、
彼の見送りに間に合わず、ソックスとも出会えない。
ソックスを引き取るとき、父への憎悪する感じるのだ。
この出来事で父は病院を退職、
そのことで父娘は和解し、ソックスと一緒の生活を始める。
高校を卒業し短大へと進学したとき、
音信不通となっていた彼が日本に戻っていてリサイタルをすると偶然知る。
そうして再開し、自然に付き合いを始める。
だが彼は事故で指を怪我し、ギター奏者としての限界を感じる。
落ち込む彼にソックスを与えることで立ち直りを促す。
そして、それぞれが新しい夢を追い始めるのだ。
獣医を目指しソックスのことを時折思い出しながら月日が過ぎる。
そのソックスが元気がない。
ある日父から電話が。ソックスが立てなくなったという。
いそぎ帰るも、ソックスは息を引き取っていた。
自責にとらわれている彼女に、ソックスが隠していた母からの手紙が。。。

よくできた泣かせ話である。
でも多分作者の仕掛けに泣いてしまうことでしょう。

『ボス』ちゃんたちが来ていたのだ。2007-08-17

12日から『ボス』ちゃんとジャジャが来ていた。
一時的とは言え、我が家は犬の天下となっていたのである。

見事なまでにジョンがV字回復していてくれたから、
散歩など大変といえば゜大変だけれど、楽しく過ごせた。
『ボス』チャンはあと2月で満13歳。
すっかりばあさんしていて、一日の大半を寝ているばかり。
おきていると思って呼んでみたらぐっすりと寝入っていたなんんて、ざら。
そこにもってきてこの夏一番の暑さだったから、
お散歩も嫌だとばかり、門扉を出たらすぐ排便・排尿、
一目散にクーラーの聞いた室内に入るとのたまう。
病み上がり(闘病中とも言う)のジョンも『ボス』を見習いすぐ還ろうとする。
元気なのは『そらん』とジャジャ。
『そらん』は散歩というと30分はとにかく歩く。
『そらん』の舎弟然としたジャジャは、
『そらん』の周りをちょこまか走り回って着いてくる。
でも調子に乗って着いてきてみても、プードルにとって2キロは長かったよう。
途中で日陰に入り込んで『もう歩けないの』と座り込んでしまう。
7キロぐらいの重さだから抱えて帰ってきたけれど、
『ボス』ちゃんが同様なことになったら笑うしかないよね。

ジャジャは『そらん』がお気に入り。
小さな犬がジョンは好きなのに相手にしてもらえなくてうろうろしていた。
なんかうろうろしているうちに、いつの間にやら階段も登れるようになった。
がんと戦っているなんて思えないよな元気さだった。

次は10月に『ボス』とジャジャがお泊りに来る。
今度こそ、しっかり写真を撮るぞ。