落花 ― 2022-03-18
澤田瞳子
澤田瞳子は読んだことがあるように思っていたがはじめてのようだ。
澤田ふじ子と混同しているのかも。
天皇の従兄で真言宗の声明の大成者僧・寛朝が語り部となり、
平将門の人物を浮かびあがらせていく。
寛朝の声明を求めての東北下向中に将門との邂逅があって、
将門の姿に理想の音を見出し、音を求めての交遊を描いている。
「将門記」が下敷きとしてある。
作品中では寛朝従者に千歳という卑賎の出の音曲の天才を配し、
その野望が人々を惑わせていき、将門の反乱が大きくなっていく仕掛けが施される。
寛朝は後に千歳の中に自分を見る。
坂東に生まれた気風が、寛朝に新たな風を感じさせて終わる。
将門の造形は反逆者でも英雄でもない。
坂東という地域の持つ荒々しさの中で、
ただ自分の周りの者の幸せを与えんと欲した、
政治感覚の欠如した
お人好しで力に依存するものとして描かれる。
彼の懐に入れば、無垢な者はさわやかさを感じるのだ。
そのありように寛朝は強く惹かれる。
己が欲望に利するため嘘を並べ立てる輩が、
将門の力を利用しようとし、
さらに千歳が欲望の成就に向け親王を巫告し、
将門周辺が親王を寿いだがため朝廷と対立することになる。。
政治的な危険を知らせる寛朝に対し、
将門は懐にいるものを見放せぬと言い、破滅に向かう。
この辺りの描き方は、他の作品にない新しさといえる。
澤田瞳子は読んだことがあるように思っていたがはじめてのようだ。
澤田ふじ子と混同しているのかも。
天皇の従兄で真言宗の声明の大成者僧・寛朝が語り部となり、
平将門の人物を浮かびあがらせていく。
寛朝の声明を求めての東北下向中に将門との邂逅があって、
将門の姿に理想の音を見出し、音を求めての交遊を描いている。
「将門記」が下敷きとしてある。
作品中では寛朝従者に千歳という卑賎の出の音曲の天才を配し、
その野望が人々を惑わせていき、将門の反乱が大きくなっていく仕掛けが施される。
寛朝は後に千歳の中に自分を見る。
坂東に生まれた気風が、寛朝に新たな風を感じさせて終わる。
将門の造形は反逆者でも英雄でもない。
坂東という地域の持つ荒々しさの中で、
ただ自分の周りの者の幸せを与えんと欲した、
政治感覚の欠如した
お人好しで力に依存するものとして描かれる。
彼の懐に入れば、無垢な者はさわやかさを感じるのだ。
そのありように寛朝は強く惹かれる。
己が欲望に利するため嘘を並べ立てる輩が、
将門の力を利用しようとし、
さらに千歳が欲望の成就に向け親王を巫告し、
将門周辺が親王を寿いだがため朝廷と対立することになる。。
政治的な危険を知らせる寛朝に対し、
将門は懐にいるものを見放せぬと言い、破滅に向かう。
この辺りの描き方は、他の作品にない新しさといえる。
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