下流社会2006-02-22

三浦展 光文社新書 819円(税込み)

『希望格差社会』が世に衝撃をもたらしてから、
現代日本の社会構造に言及した書が多く見られるようになっている。
本書もそうした書籍の一冊である。

高度成長期から1990年のバブル崩壊まで
日本の社会は一億総中流という、幻の世界に生きていた。
努力すれば報われる。
日々をこつこつとまじめに働き生きていれば、
家を建てて、平凡でも幸せな一生を過ごせる。
誰もが夢の中に生きていた。

バブル崩壊後、日本の産業構造、労働環境が激変し、
生涯賃金体系は崩壊し、能力の秀でたものが報われるべきだとする
社会構造に変化している。

生まれた家庭環境が、その人の将来を決定しかねない社会構造、
階層社会が現実のものとして見えてきている。
無駄な努力などせず、
自分に合った生き方が正しいと考える階層が現出しているのだという。

ある中高一貫校は、年間300万円の経費がかかるという。
そうしたエリート教育を受けることができるのは、
恵まれた家庭に生まれた一握りのものでしかない。
だが、産業界の要請によって成立した、
派遣労働者を巡る法律は、浮遊性の労働力の確保にあったため、
正社員からパート労働者を多数輩出させる構造となっている。
パート労働者が望まれる背景は、言うまでもなく経費削減にある。
いまの労働環境は、低賃金化を余儀なくさせる結果となっている。
こうした不安定かつ低賃金層の家庭に生まれた子供が、
300万円の学費を要する学校に進学することなどできはしまい。
社会の中枢にはびこるであろうエリート集団は
生まれたその日からエリートでありつづけるのだ。
今や『教育の機会均等』なんてことばはない。

『下流社会』では、高度成長期からバブル崩壊機に生まれた
現在働き盛りの人間の意識調査を基調にかかれている。
そうした世代別の意識構造は、著者自身が指摘しているように、
首都圏中心であり、サンプル数も少ないため、
統計的な錯誤の可能性もある。
しかしながら、現代日本で最も収入に恵まれた首都圏の調査なのだ。
地方に至っては、もっと深刻な意識構造の変化が見られるのかもしれない。

多くの方が本書なり『希望格差社会』を読むなりして、
現代日本の政治方向について考えるべきである。
アメリカが象徴する『新自由主義』がもたらすものは
僕には正しいものとは思えない。
なのに現在の政治情勢を支持するものは、
そういう社会の底辺層ほど高いという皮肉があるようだ。

15パーセントの上流意識に
40パーセントの中流意識、45パーセントの下流意識が
現実の世界で進行し、傾向としては下流意識は増加傾向にあるという。
この社会が正しいとは思えない。

恐ろしいけれど9点

あらためて紹介、ジョン2006-02-22

ジョン君だよ
ジョン君は、『いつでも里親募集中』に掲載されていた。
http://satoya-boshu.net/
このサイトに限らず、捨てられた犬や飼育困難になる犬と、
新しく飼う人とを結ぶサイトは数多い。
以前書いた記事
http://kumaneko.asablo.jp/blog/2005/10/25/119166
では『里子里親』というサイトを見たものだった。
かなりなサイトがあり、それなりに縁組がなされている。
(ここではサイト名のまま表記したが、次のサイトで動物へ
http://foster-family.jp/stop_pet/stop_pet.html
この言葉の使用することを控えて欲しいということが書かれています。
その趣旨には一理あると判断しています。以降別な表現を使用します。)

ジョンは戸建住宅に住んでいた人が飼っていたゴールデンで、
飼い主が事情により転居しなければならなくなり、
あいにく転居先がペット可能な住宅に行き当たらず、
新しい飼い主を求めることとなった犬である。
飼い主さんは、上手に飼っておられたようで、
温厚でおとなしく、人の言うことをよく聞くよい子である。
平成11年1月生まれというから現在7歳を少し回ったところと思うが、
飼い主さんは8歳といっているので、
あるいは証明に書かれているのは登録年月日かも知れない。
(今度聞いてみる。)
体重は33キロ。飼い主さんの話では30キロということなので、
新しい飼い主を探している間、
元の住居の隣人が世話していたらしいので
その間に少々おでぶになったらしい。
色の濃い子で、ちょっと見には『ボス』ちゃんと間違えそう。

病気や怪我をしたことがないとのことで、
泳ぎが好きだということだ。
月曜日に『ごお』君のためにおいてあった新しい未使用の首輪を
ジョンの我が家での首輪とした。
そしたら驚いたことに、な、なんとジョンは蕎麦が大好きだと判明した。
少し熱めの蕎麦湯ですらがぶがぶ飲む。
もっと寄越せとの主張は、まるで『ごお』の再来だ。

ジョンは老齢期にさしかかっているから、
瞳に濁りが少々ある。
後ろ足も少し弱くなっているかもしれない。
あちこちこれから悪いところが出てくるだろうけど、
うちで幸せを感じてもらえたらいいなと思っている。