はるがいったら2006-02-23

飛鳥井千砂 集英社 1300円(税抜き)

第18回小説すばる新人賞受賞作だそうだ。
妙に頭のでかい犬が寝ていて、その犬の周りに桜の花びらが散る
表紙に惹かれて買ってみた。

『さくら』でも感じたことだが、犬好きの僕の心には響ききらない作品です。
でも作品としては気に入りました。
『さくら』よりこの作品のほうが素直に染み込んできます。
人好き好きとは思いますが…

『園』と『行』という名を持つ姉弟の物語です。
弟の『行』は、自己主張を控え、人を気遣い、人に合わせてしまう高校生。
なんでもそつなくこなし、熱いものはない。
姉の『園』は、完ぺき主義者で自分を大切にしている。
こだわったものには熱情を見せるが、それは内に向いている。

二人は幼いころ両親が離婚したため別居しているが、
仲のよい兄弟で、時々会って食事したりしている。

『行』は姉弟で拾った犬を、両親の離婚後も世話しつづけている。
その犬は「はる」という。『はる』は老齢のため寝たきりとなって、
部屋に吸水シートを敷き詰めながら介護してやらねばならない。
だが、もともとからだの弱かった『行』は肺炎を患い入院することとなる。
『はる』の世話は『園』が引き受けることとなった。

『園』はデパートに勤めている。スレンダーで個性的な女性である。
人と群れたり、合わせたりすることを嫌う『園』は、
友人は少なく、付き合うのは『行』と女友達一人と幼馴染の『恭二』くらいだ。
『恭二』を『園』は愛しているらしい。しかし『恭二』には愛する女性がいる。
『はる』の面倒を見るようになったころ、
『園』は無言電話や差出人不明の手紙を送りつけられる。
その嫌がらせの犯人を『園』はさまざまに想像し、
想像することで自らの原罪らしきものに目を向けるようになる。

一方入院中の『行』も、継母の連れ子『忍』や、
入院中の教師などと会話するうち、
自分自身のことに気づいていくのだ。

病状の安定した『行』が外泊することとなる。
『行』は『はる』に会いたくて『園』の元にいく。
そして姉弟がそろったとき、『はる』が逝く。
この先は『さくら』にも通じる展開となる。

『園』と『行』の奇妙な過剰感と不足感が
この作品のよさなのだろう。
いろんなエピソードが姉妹の視点でかかれているが、
そのどれもに実在感がある。

物語の語り手が交互になって補完しあう形を取っているところは
どこかで見る手法だが、この作品は単なる猿真似ではなく、
必然となっているところもよい。

シャンプーしてみた。2006-02-23

ちょっとばかしジョンがにおっているみたいだから、
今日、我家ではじめてのシャンプ゜ーしてみた。
さすがに緊張している。
それでもあっちこっち向けてもじっとさせている。

『ごお』はシャンプーのとき「ねんね」と言えば
おなかを見せて洗わせてくれた。
ジョンもそれに近いフィーリングがある。
まだ、完全に安心しているわけではなさそうで、
横になったものの、緊張からか手足が縮こまっている。

ドライヤーまでの過程で、それは一貫している。
シャンプー後は、バリケンまですたこらと逃げるように行ってしまった。

そのうちに緊張せずに洗わせてくれるようになるのだろう。