Kiss+πr2 ― 2006-06-08
くらもちふさこ 集英社
『たいへんおまたせしました』と、その続編「Kiss+πr2」がカップリングされた、
「くらもちふさこ選集 第1巻』です。
発表は1986年。別冊マーガレット。
くらもちふさこは1955年生まれ。
1972年にプロデビュー。別冊マーガレットが発表の舞台だった。
「いろはにこんぺいと」や『東京のカサノバ』が
僕の記憶ではおもしろかったように思う。
『A-Girl]も、展開を楽しみにしていたが、
マーガレットを供給していてくれていた女性が結婚し、転居したため、
続きを読むにいたらなかった。
マーガレットから大人向け漫画雑誌として独立した『コーラス』に移籍し、
「天然コケッコー」という作品などを発表していたようだが、
21世紀にはいってからは、ほとんど新刊が出ていない。
さて「くらもちふさこ選集」は1992年に全5巻で発売された。
次々とヒット作を飛ばしていた時期のものだけに、
なかなか充実したラインアップとなっている。
『たいへんおまたせしました』は
小さい頃に母親が逃げ、テレビの公開捜査番組に父と出たものの、
母は帰ってこず、悩んだ父は狂言自殺に失敗、そのまま香らぬ人となり、
引き取り育ててくれた祖母の喪中という、
運に見放された高校生・雑賀喜由が主人公。
過酷な状況が暗い影を落としている。
そんな彼に、葵という女性がバレンタインにケーキを持って尋ねてくる。
話しているうちにちょっとした事故で、
ガスコンロから出火、火事にはならなかったものの、
彼の前髪が焼け、葵は責任を感じ修理代代わりに宝くじを託す。
この宝くじが当たって、彼の運が逆回転を始めるのだ。
女の子から言い寄られるは、生徒会長になってしまうは。
あこがれていたちょいと高慢な美人・冬子からも告白されるは。
冬子と恋人みたいな関係になったとき、冬子に求めていたものが違うと思い、
冬子とのキスより、葵のけなげさに惹かれる自分を発見する。
葵の自宅を訪れたとき、彼が欲しかったものが見つかってしまう。
ざっと荒筋はこんなところだが、
雑賀君の運命の転換点となった葵のような女性が描けたのは、
1980年代という時代ゆえだろう。
むしろ女の子の本質は冬子に近くなってすている。
そういう気がする。
「Kiss+πr2」は前作の登場人物に加え、
阿保という勝気なようで涙もろい、雑賀が気になる同級生と
氷見という一風変わったクールな男ともだちが絡んで、
雑賀の揺れる恋心と男との友情が語られます。
くらもちさんのこのあたりの心理描写は抜群で、
男が惹かれる危険な女としての冬子が実に魅力的。
冬子・葵・阿保とタイプの異なる女性の書き分けもうまいと思います。
こうして眺めると、作品世界では青いが一番安定した関係で
男は葵を選びそうに思えるのでしょうが、
実際には冬子に振り回されるほうが多いのでしょう。
残念ながら、僕には冬子のような人との出会いが無かったので分かりません。
いずれにせよ魅力的な女性陣です。
『たいへんおまたせしました』と、その続編「Kiss+πr2」がカップリングされた、
「くらもちふさこ選集 第1巻』です。
発表は1986年。別冊マーガレット。
くらもちふさこは1955年生まれ。
1972年にプロデビュー。別冊マーガレットが発表の舞台だった。
「いろはにこんぺいと」や『東京のカサノバ』が
僕の記憶ではおもしろかったように思う。
『A-Girl]も、展開を楽しみにしていたが、
マーガレットを供給していてくれていた女性が結婚し、転居したため、
続きを読むにいたらなかった。
マーガレットから大人向け漫画雑誌として独立した『コーラス』に移籍し、
「天然コケッコー」という作品などを発表していたようだが、
21世紀にはいってからは、ほとんど新刊が出ていない。
さて「くらもちふさこ選集」は1992年に全5巻で発売された。
次々とヒット作を飛ばしていた時期のものだけに、
なかなか充実したラインアップとなっている。
『たいへんおまたせしました』は
小さい頃に母親が逃げ、テレビの公開捜査番組に父と出たものの、
母は帰ってこず、悩んだ父は狂言自殺に失敗、そのまま香らぬ人となり、
引き取り育ててくれた祖母の喪中という、
運に見放された高校生・雑賀喜由が主人公。
過酷な状況が暗い影を落としている。
そんな彼に、葵という女性がバレンタインにケーキを持って尋ねてくる。
話しているうちにちょっとした事故で、
ガスコンロから出火、火事にはならなかったものの、
彼の前髪が焼け、葵は責任を感じ修理代代わりに宝くじを託す。
この宝くじが当たって、彼の運が逆回転を始めるのだ。
女の子から言い寄られるは、生徒会長になってしまうは。
あこがれていたちょいと高慢な美人・冬子からも告白されるは。
冬子と恋人みたいな関係になったとき、冬子に求めていたものが違うと思い、
冬子とのキスより、葵のけなげさに惹かれる自分を発見する。
葵の自宅を訪れたとき、彼が欲しかったものが見つかってしまう。
ざっと荒筋はこんなところだが、
雑賀君の運命の転換点となった葵のような女性が描けたのは、
1980年代という時代ゆえだろう。
むしろ女の子の本質は冬子に近くなってすている。
そういう気がする。
「Kiss+πr2」は前作の登場人物に加え、
阿保という勝気なようで涙もろい、雑賀が気になる同級生と
氷見という一風変わったクールな男ともだちが絡んで、
雑賀の揺れる恋心と男との友情が語られます。
くらもちさんのこのあたりの心理描写は抜群で、
男が惹かれる危険な女としての冬子が実に魅力的。
冬子・葵・阿保とタイプの異なる女性の書き分けもうまいと思います。
こうして眺めると、作品世界では青いが一番安定した関係で
男は葵を選びそうに思えるのでしょうが、
実際には冬子に振り回されるほうが多いのでしょう。
残念ながら、僕には冬子のような人との出会いが無かったので分かりません。
いずれにせよ魅力的な女性陣です。
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