楊令伝 十 坡陀の章 ― 2009-08-11
北方謙三 集英社 1600円
前巻で梁山泊軍と宋禁軍の戦いは終結し、小さいながらも独立国の体裁を整えた楊令たち。遼を滅ぼした金と、清蓮時・李富の暗躍により建てられた南宋、童貫の死によって残存禁軍の岳飛や韓世忠、張瞬といった将軍たちは、それぞれに軍閥として根を張り始めている。金の内部には膨張圧力と内政重視の気分が拮抗している。傍目には攻める金、守る宋という形をとりながらも、微妙な均衡の中で梁山泊はつかの間の安寧を享受する。金と梁山泊の関係、岳飛や張俊たちと梁山泊の関係は不安定な要素を持ちながらも戦端を開いてはいない。
北方水滸伝は、岳飛伝を呑み込んだ形で進展していく。悲劇の英雄・岳飛と楊令の因縁をどのように北方謙三が料理していくのか興味深い。
次巻の発売を首を長くして待つ。
前巻で梁山泊軍と宋禁軍の戦いは終結し、小さいながらも独立国の体裁を整えた楊令たち。遼を滅ぼした金と、清蓮時・李富の暗躍により建てられた南宋、童貫の死によって残存禁軍の岳飛や韓世忠、張瞬といった将軍たちは、それぞれに軍閥として根を張り始めている。金の内部には膨張圧力と内政重視の気分が拮抗している。傍目には攻める金、守る宋という形をとりながらも、微妙な均衡の中で梁山泊はつかの間の安寧を享受する。金と梁山泊の関係、岳飛や張俊たちと梁山泊の関係は不安定な要素を持ちながらも戦端を開いてはいない。
北方水滸伝は、岳飛伝を呑み込んだ形で進展していく。悲劇の英雄・岳飛と楊令の因縁をどのように北方謙三が料理していくのか興味深い。
次巻の発売を首を長くして待つ。
十津川警部捜査行 みちのく事件簿 ― 2009-08-11
西村京太郎 双葉社 648円
5作品が納められた短編集。東北地方各県で一話という構成となっている。(山形秋田は1作品に)
どの作品も良くできている。いつもの西村京太郎である。ぞくぞくするほどではないけれど、失望することも無い。その中では「謎と憎悪の陸羽東線」に感心した。
中年男のばらばら死体が発見される。次々発見される各部位の検死から、被害者は肝臓に慢性疾患があり温泉療養う所にいた可能性が高いと判明する。そのほかに手がかりらしきものとしては紙片が一枚。その紙片を手がかりに被害者を特定する作業を開始する。そして被害者らしきものを発見する。その者は東京へ娘に会いにいくと告げていた。捜査を進めていくうち、被害者は状況前に弁護士と話しこんでいたこともわかった。そして、その弁護士も何者かによって意識不明の重体になっていた。弁護士はとある女性について調査していた。すべてが出揃ったとき事件の全貌が判明する。犯人の自殺によってママ区を閉じた事件は、遺書により真相が明らかにされる。
事件の原因を考えたとき、ある人は同情の余地を感じるだろう。著者はと津川に何も言わせていないが、遺書の内容からして無意識にせよ金がある者の傲慢さが犯罪を誘発させるというように読み取れる。
いつだって犯罪は欲から発生するということなんだろうね。
5作品が納められた短編集。東北地方各県で一話という構成となっている。(山形秋田は1作品に)
どの作品も良くできている。いつもの西村京太郎である。ぞくぞくするほどではないけれど、失望することも無い。その中では「謎と憎悪の陸羽東線」に感心した。
中年男のばらばら死体が発見される。次々発見される各部位の検死から、被害者は肝臓に慢性疾患があり温泉療養う所にいた可能性が高いと判明する。そのほかに手がかりらしきものとしては紙片が一枚。その紙片を手がかりに被害者を特定する作業を開始する。そして被害者らしきものを発見する。その者は東京へ娘に会いにいくと告げていた。捜査を進めていくうち、被害者は状況前に弁護士と話しこんでいたこともわかった。そして、その弁護士も何者かによって意識不明の重体になっていた。弁護士はとある女性について調査していた。すべてが出揃ったとき事件の全貌が判明する。犯人の自殺によってママ区を閉じた事件は、遺書により真相が明らかにされる。
事件の原因を考えたとき、ある人は同情の余地を感じるだろう。著者はと津川に何も言わせていないが、遺書の内容からして無意識にせよ金がある者の傲慢さが犯罪を誘発させるというように読み取れる。
いつだって犯罪は欲から発生するということなんだろうね。
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