チェンジ2018-11-29

柴田よしき  ハルキ文庫   660円

心斎橋・喜久屋書店で物色していて目についたのが本書だ。
へぇ。スポーツ小説も書くんだと、読むことにした。

柴田よしきは人気作家である。著作も多い。50冊ほどあるんだろうか。
が、僕は彼の作品は話題になった「激流」しか読んでいない。
なんとなくミステリ作家と理解をしている。

ミステリとスポーツ小説をまたにかける作家といえば
まず思いつくのが堂場舜一だ。
両ジャンルで成功し続けている点で、そうした作家の代表格かと思う。
では柴田よしきはどうなのか。
ちなみに堂場作品は、警察小説よりスポーツ小説のほうが僕は好きだ。

野球というスポーツ界が舞台だが、
壁に突き当たった選手たちの心の動きを描いている点で、
スポーツ小説というより、ヒューマンドラマであり、
わざわざ野球に題材を求めなくたって、
この作家ならいくらでも題材があるだろうにと思ってしまった。。

本作品集では、スポーツそのものの緊張感や躍動感はない。
だけれど選手としての曲がり角に立つ者の、
それぞれに苦悩する心の動きは読ませる。
今後も書き続けるとしたら、
ゲームそのものの躍動感を盛り込み臨場感を現せば、
長編化もしやすく、群像化も可能で、
スポーツ小説の王道に近づくと思う。
堂場舜一のような作風につながるかな。
同じような作家はいらないのだろうけど。

本作品集では、あえて選手たちのその後を示していないため、
読者に成功への期待を持たせて終わっている。
この手法が、読み終わった時に、読み手を満足させる。

いろいろ書いたけれど、こういうの好きだ。

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