新型コロナ感染症から帰還しても2021-01-23


95歳の母がコロナ陽性反応が出たため入院、
19日間の隔離を経、先日退院してきた。

これrといった定説化された有効な治療薬がなく、
感染者自身の抵抗力に任せるしかない状態なので、
入院することが自宅療養やホテル療養と比べて
特別に優れたものであると言い切れないけれど、
さらなる感染を防ぐためには入院して観察するということが
おそらく最も確実な感染拡大を防止する手段であろう。

いつ重篤化するかわからない状態での自宅療養では、
家庭内感染が起き、家庭内感染がさらに次なる感染を生む。
健康で体力が十分にあり基礎疾患もなければ、
無自覚なまま、いつの間にか感染して治ってしまっている。
そういう例も多そうだ。
だけれど気が付いたら重篤になっていたなんて話も多い。

だから今の国内状況なら入院できただけで幸運であると承知する。

とはいうものの…

母の場合は熱があまり上がらず咳こみもほとんどない。
そういう容態を聞き取り
軽症と判断して後回しになったのだということなのか。
受け入れ先が満床だったため待機となったのか、
その両方が事情としてあったのだろう。
しかし高齢者施設で待機であれば、介護者との接触は絶対に避けられない。
非感染者に、さらに感染を広める危険はあるわけだ。
いち早い隔離ができる状況を国は作り出すべきだろうと感じる。
こちらは別項で意見を書きたい。

無事入院できたものの、いろいろと情報が得られず困ることは多かった。
家族であれ見舞いには行けないとされる。
看護士たちは、たぶんだが頑張ってくれているのだと信じる。
患者の要望にできる限り答えてくれていたものだと信じる。
でも、一度でも入院したことがあれば分かろうが、看護士たちは多忙だ。
一人の患者に掛けられる時間はさほど多くない。
そうはわかっていても介護士並みを期待してしまうのが高齢患者だ。
一般的な入院なら家族なりが看護士が賄いきれない部分を補助できる。
だから患者は心が和む。
それができない。だから患者の不満は高い水準に達する。
「このままここで殺される」それが当人にとっての現実だった。

おそらく説明は当人にはあったのだろう。
病院だってちゃんと説明していないわけはない。
コロナ以前なら訪れた家族に看護士から説明の機会もあろう。
不安に思う患者に医師。看護士からの説明、家族からの励ましなどあり、
頑張れるのだ。

さて、病院に行けない状況で、家族は情報が不足する。
電話をかけて病状を聞くというのも憚られる。
情報は病院側からの連絡で知るしかない。
その情報は、都合8度の電話から得られるだけだった。
8度のうち3度は施設にされ、2度は入院時・退院時の事務手続だ。
アビガンを使用すること。退院時期に関すること。
保健所の指示により経過観察を行うため一週間退院が遅れる。
退院後の諸注意などは施設にのみあり、
どういう状況であるかなどは家族にまで伝わらない。

本人の弁によれば
「湿度が30%台でのどが痛かった。」
「風呂に入れてもらっていない。」
「ほとんどほったらかされた」
恨みつらみに満ちた言葉ばかりが並ぶ。
よくよく聞けば湿度が低いのは歓喜重視だったためであり、
入浴がないのはコロナによる肺炎が起きているときは入れるはずもなく、
観察中となってからは自立歩行できない以上やむを得ない措置といえる。
清拭はされていたようだから、清潔を保つべく手当は受けている。
ほったらかされたと感じるのは、自分本位な要望への対処に対する不満で
これもやむを得ない。看護士は多数を看ているのだ。
医師の回診などあっても、高齢による記憶の混濁があるから
他の感情が事実を上書きしていく。
たぶん、そういうことなのだ。

コロナ感染症は、入院といっても病気のもとを直接たたくわけではない。
呼吸を確保する。肺炎・発熱等の症状を抑える。
そういった方向で治療・療養が行われる。自己免疫(自力)で快方に向かうしかない。
言い方は悪いが、病気を広めないための隔離がされるだけだ。
ほんとうに症状が重い時期を除けば、治療することはない。
そして回復期になっても、菌を輩出する間は隔離しておくしかない。
この保菌者になるということは、自由が制限されることでしかない。
そのことをみんなが理解しておく必要がある。

隔離が必要となることから、情報が本人が理解しがたい状況になっていれば、
家族に伝わる情報量はほんとに少ない。
携帯を持ち込んでいても、本人から情報がほとんど伝えられない。

退院後は、入院時に持ち込んだ物品は72時間袋に入れたまま保管する。
連絡手段はなくなる。
そういう事実を知ったのもかなり時間がたってからだ。

記憶に難が出始めている高齢者の場合、そのあたりは知っておくべきだ。

あと行動に手助けが必要となっている要介護者は
入院中に確実に身体能力が低下する。
リハビリは早期に計画しないと、本当の寝たきりになりかねない。

うちでは機能維持を行う補助を週4度お願いしていた。(介護保険)
それ以外に自費で訪問看護による機能回復・維持をお願いしようと思っている。
こちらは自費ということになれば、恐ろしく高額になると予想される。
(今わかっているのは1回4000円/30分)
リハビリで通院ということができれば、それよりは費用は抑えられるが、
通院となると介護者が必要になる。
要介護区分で様々な介護を受けていることから
介護保険点数は上限になっていては、ここも自費となる。
訪問看護と事実上大差ないことになる。

若くて体力があり持病がない人なら、たとえ後遺症が残ろうが、
いずれは元の状態に戻っていくだろう。
だが、高齢者で持病があるなど、すでに弱っている人は、
絶対にコロナになってはいけない。移してはいけない。

コメント

コメントをどうぞ

※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。

※なお、送られたコメントはブログの管理者が確認するまで公開されません。

名前:
メールアドレス:
URL:
コメント:

トラックバック

このエントリのトラックバックURL: http://kumaneko.asablo.jp/blog/2021/01/23/9340329/tb

※なお、送られたトラックバックはブログの管理者が確認するまで公開されません。