「はいら」の友達が逝く ― 2022-04-06
とうとう「まこら」だけになってしまって2年半が経つ。
一頭だけになっても毎週のドギパ行きは続けている。
去年あたりから看板犬のジローが体調不良になり、
「まこら」を鬱陶しがるようになり、
個々のところは歩くのもしんどそうに見えた。
「はいら」と同年なので間もなく15歳になるが、
15才まであと少しのところで力尽きてしまった。
先週の木曜に息を引き取ったらしい。
「はいら」とはいい遊び仲間だったので
本当に寂しくなってしまう。
過去の写真や動画を見ると、
はいらとは、はた目には喧嘩かとも思えるような
ガウガウ遊びを飽きることなくしていた。
「はいら」とはあの世でも遊んでやってくれ。
こうしてはいらを知る犬がどんどん少なくなっていく。
「はいら」や「そらん」を知り「まこら」とも挨拶してくれるのは、
もはや数頭になった。
一頭だけになっても毎週のドギパ行きは続けている。
去年あたりから看板犬のジローが体調不良になり、
「まこら」を鬱陶しがるようになり、
個々のところは歩くのもしんどそうに見えた。
「はいら」と同年なので間もなく15歳になるが、
15才まであと少しのところで力尽きてしまった。
先週の木曜に息を引き取ったらしい。
「はいら」とはいい遊び仲間だったので
本当に寂しくなってしまう。
過去の写真や動画を見ると、
はいらとは、はた目には喧嘩かとも思えるような
ガウガウ遊びを飽きることなくしていた。
「はいら」とはあの世でも遊んでやってくれ。
こうしてはいらを知る犬がどんどん少なくなっていく。
「はいら」や「そらん」を知り「まこら」とも挨拶してくれるのは、
もはや数頭になった。
甘美なる誘拐 ― 2022-04-06
平井紀一
第19回「このミステリがすごい」大賞で文庫グランプリを受賞した作品ということで
結構期待して読んだ。期待に対しては十分満足して読み終えたけれど、
物語の中盤までがまどろこしくて、なかなかいっき読みとならなかったのが残念だ。
盃を受けていない見習いやくざ二人が
暴力団の雑用をこなすうちいろいろな案件にかかわり
殺人現場に出くわしたり、地上げ被害者を知ったり、右往左往するパートと
傾いた事業を維持しようと奮戦を続ける親娘が
地上げの嫌がらせに手形詐欺といたぶられるパートが描かれるのが前半。
後半に入り新興宗教団体の娘を誘拐する計画が明らかになる。
そこから物語はギアチェンジされ怒涛の展開となる。
誘拐のどさくさに当籤宝くじ横取りを企むチンピラ二人が
前半で起きるすべての事象を利用し、
華麗に身代金をかすめ取るは、宝くじ横取りに成功するは、
苦しむ親娘は救済されるは、誘拐された教祖の娘まで心の救済が得られるは、
後味が良い所に好感が持てる。
しかしなのである。チンピラ二人多額のお金を手にしたものの
組から足を洗えるのかい?些細だが疑問なのである。
こういう場合見過ごされる確率って高いのか?
「甘美なる作戦」が原タイトルであったということで
そちらのほうが内容にふさわしいような気がする。
第19回「このミステリがすごい」大賞で文庫グランプリを受賞した作品ということで
結構期待して読んだ。期待に対しては十分満足して読み終えたけれど、
物語の中盤までがまどろこしくて、なかなかいっき読みとならなかったのが残念だ。
盃を受けていない見習いやくざ二人が
暴力団の雑用をこなすうちいろいろな案件にかかわり
殺人現場に出くわしたり、地上げ被害者を知ったり、右往左往するパートと
傾いた事業を維持しようと奮戦を続ける親娘が
地上げの嫌がらせに手形詐欺といたぶられるパートが描かれるのが前半。
後半に入り新興宗教団体の娘を誘拐する計画が明らかになる。
そこから物語はギアチェンジされ怒涛の展開となる。
誘拐のどさくさに当籤宝くじ横取りを企むチンピラ二人が
前半で起きるすべての事象を利用し、
華麗に身代金をかすめ取るは、宝くじ横取りに成功するは、
苦しむ親娘は救済されるは、誘拐された教祖の娘まで心の救済が得られるは、
後味が良い所に好感が持てる。
しかしなのである。チンピラ二人多額のお金を手にしたものの
組から足を洗えるのかい?些細だが疑問なのである。
こういう場合見過ごされる確率って高いのか?
「甘美なる作戦」が原タイトルであったということで
そちらのほうが内容にふさわしいような気がする。
翻弄 ― 2022-04-06
上田秀人
長宗我部盛親と徳川秀忠。元親と家康という偉大な父の跡を継ぐ二人、
関ヶ原の役で別れる二人の姿を描く。
英才教育を家康から施される秀忠の鬱屈、
元親が期待した長男の落命により、成り行きで家督を継ぐこととなった盛親。
盛親は落胆した元親からろくな教えを得ず家臣の助言に振り回される。
そうして改易の憂き目を見ることになる。
大阪の役に向けて二人の鬱屈と願望が語られていく。
秀忠と盛親を対比していることで、後継者がどうなっていくのかは
本人に訪れるほんのちょっとの運の違いだと知らされる。
どちらがより恵まれているというのか。読後に余韻を残す。
上田秀人は「天守信長 裏・表」を読んだ記憶がある。
本能寺の変を、信長の策士策に溺れる無様を描いた点で
とても面白い体験をさせてもらった。
本作品では「天守信長」に見るような壮大な創作はないけれど、
やっぱり独自性の強い所に好感を持った。
滅びる長曾我部家と栄える徳川家を扱うことで、
新しい読み心地を大阪の役に見いだせる。
長宗我部盛親と徳川秀忠。元親と家康という偉大な父の跡を継ぐ二人、
関ヶ原の役で別れる二人の姿を描く。
英才教育を家康から施される秀忠の鬱屈、
元親が期待した長男の落命により、成り行きで家督を継ぐこととなった盛親。
盛親は落胆した元親からろくな教えを得ず家臣の助言に振り回される。
そうして改易の憂き目を見ることになる。
大阪の役に向けて二人の鬱屈と願望が語られていく。
秀忠と盛親を対比していることで、後継者がどうなっていくのかは
本人に訪れるほんのちょっとの運の違いだと知らされる。
どちらがより恵まれているというのか。読後に余韻を残す。
上田秀人は「天守信長 裏・表」を読んだ記憶がある。
本能寺の変を、信長の策士策に溺れる無様を描いた点で
とても面白い体験をさせてもらった。
本作品では「天守信長」に見るような壮大な創作はないけれど、
やっぱり独自性の強い所に好感を持った。
滅びる長曾我部家と栄える徳川家を扱うことで、
新しい読み心地を大阪の役に見いだせる。
ロシアの侵略に思う ― 2022-04-07
2月終わりから始まったロシアの侵略が終わらない。
戦争を仕掛けられたウクライナはたまったもんじゃない。
戦争に勝ったところでロシアが賠償に応じるとは思えない。
いのちを無慈悲に奪い取り、
国土を破壊される側はたまらない。
国内に騒乱を抱えていたとしたって、
それを複雑なものにしたのはロシアのちょっかいが原因に思える。
新ロシア派に武器供与しているのがロシアだと見えるだけに、
乗じるロシアに同調できることなんて何一つとしてない。
で、アメリカをはじめ西側諸国がロシアに制裁を科し、
経済的に追い込み国内に不満を高めさせ戦争を止めようとしている。
それくらいしかできないのも仕方ないことだし、
そうしなければならないのも理解ができる。
国連でのロシア代表の答弁する姿を見ていると、
他国代表と目を合わすこともなく原稿を読むだけに見える。
ウクライナの、あるいはNATO/アメリカの発表をフェイクだとし、
民間人への暴力は行われていないと強弁する。
ウクライナ指導部の自作自演なんて言う。
国内には厳しい言論統制で情報をねじ曲げ流布し、
政体への批判を封じ込め、異なる意見を弾圧する。
日本を含めロシア制裁に参加している国々が間違っているとは思わない。
でもよくよく考えれば
西側諸国と言われる国々もイラクやアフガンに武力介入してきた。
日本も直接武力は使っていなくとも後方支援している。
理由や目的が異なりはしても
自分たちの正義で戦争を行ったことがある。
ただただ正義のありように惑う。
民間人の殺害は悪質さに雲泥の差があるものの
アメリカだって介入した紛争地でしてしまった。
ロシアが今していることを批判するは当然だけど、
正義を騙るのはおかしくないかと小骨が刺さる。
北朝鮮も核保有国を振りかざしややこしいことを言い出した。
あちこちに飛び火しそうな状況にうんざりする。
独裁国家は、その政体保持のために無謀を無謀と思わないようになるようだ。
生きている間に破滅的な戦争は起きないと思っていたが、
雲行きが相当おかしくなってきたようだ。
とにもかくにもボールはロシアが握っている。
最後っ屁でビーンボールだけは投げないで欲しい。
この場での危険球は乱闘を生む。
日本は独裁国家のような言論統制はない。
だけれど国家主義的言論が力を持ち始めている。
ロシアの状況を他人事と思うのは平和ボケというものなのだろう。
戦争を仕掛けられたウクライナはたまったもんじゃない。
戦争に勝ったところでロシアが賠償に応じるとは思えない。
いのちを無慈悲に奪い取り、
国土を破壊される側はたまらない。
国内に騒乱を抱えていたとしたって、
それを複雑なものにしたのはロシアのちょっかいが原因に思える。
新ロシア派に武器供与しているのがロシアだと見えるだけに、
乗じるロシアに同調できることなんて何一つとしてない。
で、アメリカをはじめ西側諸国がロシアに制裁を科し、
経済的に追い込み国内に不満を高めさせ戦争を止めようとしている。
それくらいしかできないのも仕方ないことだし、
そうしなければならないのも理解ができる。
国連でのロシア代表の答弁する姿を見ていると、
他国代表と目を合わすこともなく原稿を読むだけに見える。
ウクライナの、あるいはNATO/アメリカの発表をフェイクだとし、
民間人への暴力は行われていないと強弁する。
ウクライナ指導部の自作自演なんて言う。
国内には厳しい言論統制で情報をねじ曲げ流布し、
政体への批判を封じ込め、異なる意見を弾圧する。
日本を含めロシア制裁に参加している国々が間違っているとは思わない。
でもよくよく考えれば
西側諸国と言われる国々もイラクやアフガンに武力介入してきた。
日本も直接武力は使っていなくとも後方支援している。
理由や目的が異なりはしても
自分たちの正義で戦争を行ったことがある。
ただただ正義のありように惑う。
民間人の殺害は悪質さに雲泥の差があるものの
アメリカだって介入した紛争地でしてしまった。
ロシアが今していることを批判するは当然だけど、
正義を騙るのはおかしくないかと小骨が刺さる。
北朝鮮も核保有国を振りかざしややこしいことを言い出した。
あちこちに飛び火しそうな状況にうんざりする。
独裁国家は、その政体保持のために無謀を無謀と思わないようになるようだ。
生きている間に破滅的な戦争は起きないと思っていたが、
雲行きが相当おかしくなってきたようだ。
とにもかくにもボールはロシアが握っている。
最後っ屁でビーンボールだけは投げないで欲しい。
この場での危険球は乱闘を生む。
日本は独裁国家のような言論統制はない。
だけれど国家主義的言論が力を持ち始めている。
ロシアの状況を他人事と思うのは平和ボケというものなのだろう。
なんか哀しいよね ― 2022-04-10
19年間ゴールデンを2頭飼っていた。
ゴールデンの魅力は染みわたっている。
いや、犬はすべてが、飼うものの接し方次第とはいえ、
どんな犬種・どんな容姿・どんな性格を問わず、
恋人や家族を超えるほどの、人への救いになる。
かけた物心に倍する豊かさが返ってくると知る。
でもあえて言う。中でもゴールデンは最高さ。
たぶん容姿が最たるも要因なんだろうとは思う。
丸っこい顔に、まあるい目、ふわふわとした被毛。
人懐っこく、適当に遊び好き、従順で荒ぶることが少なく、
ぬいぐるみより温かで、甘えたなうえ、訓練性能も高(賢い)、
いつだって寄り添う。飼いかたさえ間違わなければ、
人がリーダーとして君臨しなくとも、リーダー気分が味わえる。
そういう犬なのだ。
ボスも入れたらゴールデン6頭と付き合った、
他犬種も、実は6頭知っている。
記憶にある限り犬がいつもそばにいた僕が言うのだから、
間違いなどあるはずがない。
ゴールデン以外がだめな犬だというのではない。
ちゃんと理解していれば、土佐犬だってピットブルだって最高の友だ。
そんなペアをいくらでも見知っている。
それでも楽さでは群を抜く。おっとりとしだすのも早い。
ほとんど無駄吠えがない。多少の乱暴には辛抱する。
だから、大型犬なのに、子どもや犬が苦手な人にも受け入れらる。
まあラブの盲導犬像にも助けられてのことだとは思うが、
何度も何度も考えた。
人と犬が一人と一頭であるよりは
複数人,複数頭でいるほうがよりいいのだと。
僕が他人と共に暮らせない以上、
犬のほうだけでも複数にしてやりたい。
僕の健康寿命が、たぶんあと十年もない。
もう子犬を迎える時期ではない。
散歩中の他犬との接し方を見る限り
「まこら」は、もともと集団生活に慣れていただけに、
同族が傍らにいたほうが良さそうなのだ。
なのにもう一頭を迎えるのがむつかしい。
自分の体力が恨めしくある。
何度か保護犬を迎えることも考えた。
残念なことに譲り受ける資格がない。
高齢に分類されるし、単身除外が一般的な条件だ。
ゴールデン以外に目を向ければ条件を満たすものもあるが、
ゴールデンの魅力にはまり切った僕に他犬種は.考えられない。
「まこら」はずっと僕だけと暮らすしかない。
なんか申し訳ないように思える。なんか哀しいよね。
ゴールデンの魅力は染みわたっている。
いや、犬はすべてが、飼うものの接し方次第とはいえ、
どんな犬種・どんな容姿・どんな性格を問わず、
恋人や家族を超えるほどの、人への救いになる。
かけた物心に倍する豊かさが返ってくると知る。
でもあえて言う。中でもゴールデンは最高さ。
たぶん容姿が最たるも要因なんだろうとは思う。
丸っこい顔に、まあるい目、ふわふわとした被毛。
人懐っこく、適当に遊び好き、従順で荒ぶることが少なく、
ぬいぐるみより温かで、甘えたなうえ、訓練性能も高(賢い)、
いつだって寄り添う。飼いかたさえ間違わなければ、
人がリーダーとして君臨しなくとも、リーダー気分が味わえる。
そういう犬なのだ。
ボスも入れたらゴールデン6頭と付き合った、
他犬種も、実は6頭知っている。
記憶にある限り犬がいつもそばにいた僕が言うのだから、
間違いなどあるはずがない。
ゴールデン以外がだめな犬だというのではない。
ちゃんと理解していれば、土佐犬だってピットブルだって最高の友だ。
そんなペアをいくらでも見知っている。
それでも楽さでは群を抜く。おっとりとしだすのも早い。
ほとんど無駄吠えがない。多少の乱暴には辛抱する。
だから、大型犬なのに、子どもや犬が苦手な人にも受け入れらる。
まあラブの盲導犬像にも助けられてのことだとは思うが、
何度も何度も考えた。
人と犬が一人と一頭であるよりは
複数人,複数頭でいるほうがよりいいのだと。
僕が他人と共に暮らせない以上、
犬のほうだけでも複数にしてやりたい。
僕の健康寿命が、たぶんあと十年もない。
もう子犬を迎える時期ではない。
散歩中の他犬との接し方を見る限り
「まこら」は、もともと集団生活に慣れていただけに、
同族が傍らにいたほうが良さそうなのだ。
なのにもう一頭を迎えるのがむつかしい。
自分の体力が恨めしくある。
何度か保護犬を迎えることも考えた。
残念なことに譲り受ける資格がない。
高齢に分類されるし、単身除外が一般的な条件だ。
ゴールデン以外に目を向ければ条件を満たすものもあるが、
ゴールデンの魅力にはまり切った僕に他犬種は.考えられない。
「まこら」はずっと僕だけと暮らすしかない。
なんか申し訳ないように思える。なんか哀しいよね。
ハウ ― 2022-04-16
斎藤ひろし
犬物はこう書けという見本だね。
「迷犬マジック」の感想でも書いたように
犬物を数冊読んでいるなら、あえて読むものではない。
この手の物語は予想外の物語は生まない。
判で押したような物語ばかりになる。
中でも「ハウ」は奇跡をてんこ盛りにしてしまっている点で、
ちょっとばかり作者の勇気に感動してしまった。
犬物をあまり読んでいない人なら読んでも損はないと思うが、
あまりお勧めしたいものではない。
ちなみに「ハウ」はラブラドール・イエロー(白)だそうだ。
「ハウ」は、声帯切除された吠え声から名がとられている。
はじめに描かれる飼い主は、式前日に婚約者に逃げられた
それも紹介してくれた交配に寝取られたしがない公務員で、
上司から犬でも飼えとお躾けられた犬と暮らす男だ。
買い物中に係留していたものが子供たちと遊ぶうち
長距離トラックに乗り込んでしまい遠方へ。
さんざ苦労しながら帰巣本能を頼りに旅していく。
その過程でいくつもの出会いで人を救ったり。…
一方飼い主はペット・ロスで闇落ちしもがく。
カウンセリングで立ち直っていき、
立ち直った時に再会するが、名の変わった姿を知り別れを選択する。
そのあとには新しい人との関係が待っている。
ま。安定の王道だ。
類似小説にさえなじみがなければ読んで損なし。だろう。
犬物はこう書けという見本だね。
「迷犬マジック」の感想でも書いたように
犬物を数冊読んでいるなら、あえて読むものではない。
この手の物語は予想外の物語は生まない。
判で押したような物語ばかりになる。
中でも「ハウ」は奇跡をてんこ盛りにしてしまっている点で、
ちょっとばかり作者の勇気に感動してしまった。
犬物をあまり読んでいない人なら読んでも損はないと思うが、
あまりお勧めしたいものではない。
ちなみに「ハウ」はラブラドール・イエロー(白)だそうだ。
「ハウ」は、声帯切除された吠え声から名がとられている。
はじめに描かれる飼い主は、式前日に婚約者に逃げられた
それも紹介してくれた交配に寝取られたしがない公務員で、
上司から犬でも飼えとお躾けられた犬と暮らす男だ。
買い物中に係留していたものが子供たちと遊ぶうち
長距離トラックに乗り込んでしまい遠方へ。
さんざ苦労しながら帰巣本能を頼りに旅していく。
その過程でいくつもの出会いで人を救ったり。…
一方飼い主はペット・ロスで闇落ちしもがく。
カウンセリングで立ち直っていき、
立ち直った時に再会するが、名の変わった姿を知り別れを選択する。
そのあとには新しい人との関係が待っている。
ま。安定の王道だ。
類似小説にさえなじみがなければ読んで損なし。だろう。
幻想遊園地 ― 2022-04-16
堀川アサコ
「幻想郵便局」に始まる幻想シリーズの10作目になる。
何作か読み逃しているが大半は付き合っている。
その中で思うのは語り口がどんどん平易になってきているな、と。
読みやすいのはいいのだけれど、軽すぎてつまらないと感じる。
今回は第1作で顔を見せていた真理子さんがが主人公に設定される。
また歴代作品の主要人物も大挙して登場する。
初期のシリーズは一部で作中人物が交錯してはいても
独立した感であったが、もはや登場人物は固定化されている。
読み手には種ばらしをしているわけで、安定シリーズになってしまった。
とにかく軽い。ホラーというよりファンタジー。
怖くもないし驚きもない。新しさもなければ感動もない。
ないものばかりが多いけれど、妙に懐かしい語り口。
はまってしまえば読み続けることになるので
時間が有り余っている人以外は手に取らないほうが無難である。
「幻想郵便局」に始まる幻想シリーズの10作目になる。
何作か読み逃しているが大半は付き合っている。
その中で思うのは語り口がどんどん平易になってきているな、と。
読みやすいのはいいのだけれど、軽すぎてつまらないと感じる。
今回は第1作で顔を見せていた真理子さんがが主人公に設定される。
また歴代作品の主要人物も大挙して登場する。
初期のシリーズは一部で作中人物が交錯してはいても
独立した感であったが、もはや登場人物は固定化されている。
読み手には種ばらしをしているわけで、安定シリーズになってしまった。
とにかく軽い。ホラーというよりファンタジー。
怖くもないし驚きもない。新しさもなければ感動もない。
ないものばかりが多いけれど、妙に懐かしい語り口。
はまってしまえば読み続けることになるので
時間が有り余っている人以外は手に取らないほうが無難である。
ワゴンに乗ったら、みんな死にました ― 2022-04-18
黒田研一
最後まで読んで、それでバカ話にもなっちゃいないと文句を言う。
そういう類の稀にみる駄作じゃないかと思う。
密室で起きる連続殺人であり、その事件を起こす犯人の動機と手段、
被害者の集まる経過と、それぞれの罪、
もう少しすっきりと納得させてくれるのなら、
楽しく読み終えることができたのかもしれない。
決して秀作とは思わなかっただろうけれど。
この著者の作品は「カンニング少女」を過去に手に取ったことがある。
珍しく途中で中断したまま放り出した小説である。
なんかアイデア自体はよいのだけれど、ご都合主義的であり、
物語に同調できずにページを追うのがしんどくなった。
今回は最後まで読んだ点では、まあ及第点なんだろうか。
でも最後までなにひとつとして納得できる代物にならなかった。
友人に食事東京案内を頼まれ、就職面接に呼ばれて、
理由は様々だが呼び出された場所で薬物を吸わされ意識を失い
ワゴン車の中に拉致された6人の男女。
携帯電話などは持ちさられていて
ワゴン車は仕掛けがあるらしく外に出られない。
そして犯人からのメッセージが。
決められたルートを制限時間内で移動せよ。
時間をオーバーすれば仕掛けた爆弾が爆発する。
無理にこじ開け脱出しようとすれば、やはり爆発する。
時間内で指示をこなせれば生き延びられるかもしれない。
こうして地獄のドライブがスタートした。
途中でさまざまなアクシデントに会い、一人、また一人命を落としていく。
ドライブ中に6人の接点が少しづつ明らかになる。
犯人がどのようにして5人を特定し、どのようにして集めたのか、
まったくもって謎のままだ。手段は書かれているが無理がある。
ワゴン車は中型車という表記が途中であるが
トラックでなければバス(マイクロ)が考えられるが、
ドライブ中の表現で1.8メートルの高さや幅にぎりぎりとあり、
ハイエースなどが想定されているようにも思う。
なのに自由に広さを変えるワゴン車の構造にびっくりだし、
ワゴン車に仕掛けられた罠もでたらめに思う。
装置としては自作できるだろうが、
物語で示されるほどの改造なら、かなりな技術がいる。
絶対に脱出できない構造なんて無理がありすぎる。
度重なる衝撃で壊れないワゴン車にも驚きだ。
けもの道を走破する能力にも無理がある。装甲車かいなという感じだ。
タイミングよく作動するわなの存在で、
読者はすぐに気づくはずだ、犯人は集められた6人の中にいる。
最後に明かされる犯人の動機にも、まるで共感できない。
拡大自殺を企んだにしても無理がありすぎないか。
ミステリとしては失敗しているだろうし、
サスペンスとしても共感できない。
ましてホラーでもない。
せめて「王様ゲーム」くらいのレベルが欲しい。
最後まで読んで、それでバカ話にもなっちゃいないと文句を言う。
そういう類の稀にみる駄作じゃないかと思う。
密室で起きる連続殺人であり、その事件を起こす犯人の動機と手段、
被害者の集まる経過と、それぞれの罪、
もう少しすっきりと納得させてくれるのなら、
楽しく読み終えることができたのかもしれない。
決して秀作とは思わなかっただろうけれど。
この著者の作品は「カンニング少女」を過去に手に取ったことがある。
珍しく途中で中断したまま放り出した小説である。
なんかアイデア自体はよいのだけれど、ご都合主義的であり、
物語に同調できずにページを追うのがしんどくなった。
今回は最後まで読んだ点では、まあ及第点なんだろうか。
でも最後までなにひとつとして納得できる代物にならなかった。
友人に食事東京案内を頼まれ、就職面接に呼ばれて、
理由は様々だが呼び出された場所で薬物を吸わされ意識を失い
ワゴン車の中に拉致された6人の男女。
携帯電話などは持ちさられていて
ワゴン車は仕掛けがあるらしく外に出られない。
そして犯人からのメッセージが。
決められたルートを制限時間内で移動せよ。
時間をオーバーすれば仕掛けた爆弾が爆発する。
無理にこじ開け脱出しようとすれば、やはり爆発する。
時間内で指示をこなせれば生き延びられるかもしれない。
こうして地獄のドライブがスタートした。
途中でさまざまなアクシデントに会い、一人、また一人命を落としていく。
ドライブ中に6人の接点が少しづつ明らかになる。
犯人がどのようにして5人を特定し、どのようにして集めたのか、
まったくもって謎のままだ。手段は書かれているが無理がある。
ワゴン車は中型車という表記が途中であるが
トラックでなければバス(マイクロ)が考えられるが、
ドライブ中の表現で1.8メートルの高さや幅にぎりぎりとあり、
ハイエースなどが想定されているようにも思う。
なのに自由に広さを変えるワゴン車の構造にびっくりだし、
ワゴン車に仕掛けられた罠もでたらめに思う。
装置としては自作できるだろうが、
物語で示されるほどの改造なら、かなりな技術がいる。
絶対に脱出できない構造なんて無理がありすぎる。
度重なる衝撃で壊れないワゴン車にも驚きだ。
けもの道を走破する能力にも無理がある。装甲車かいなという感じだ。
タイミングよく作動するわなの存在で、
読者はすぐに気づくはずだ、犯人は集められた6人の中にいる。
最後に明かされる犯人の動機にも、まるで共感できない。
拡大自殺を企んだにしても無理がありすぎないか。
ミステリとしては失敗しているだろうし、
サスペンスとしても共感できない。
ましてホラーでもない。
せめて「王様ゲーム」くらいのレベルが欲しい。
早朝始発の殺風景 ― 2022-04-18
青崎有吾
青崎有吾は1991年生まれというので30歳を少し回ったところとなる。
初めて読んだのは「体育館の殺人」で、これは鮎川哲也生を受賞している。
その探偵役を務めた裏染天馬が活躍するシリーズ以外は読んでいない。
作風的にはパズラーに属するのかなと思う。
似鳥鶏の私立高校シリーズや米澤穂信の古典部や小市民シリーズと
舞台や事件解決の過程などで通ずるところがあるが、
もう少し本格寄りな気がしている。
6-7年前に「図書館の殺人」読んだを読み、続編を出版の旅購入した。
以降、書店で新刊を見かけることがなく、続編を期待していた。
(一度他のシリーズを見かけたが趣味が合いそうになく見送った。)
新聞広告で本文庫の発刊を知り、気になったものの。
なかなか書店で実物を目にすることがなく、
この間やっと見つけて買ってきた。
裏染め天馬シリーズではなく独立した作品だ。
「裏染天馬シリーズ」同様に高校生が登場するのだが、
誰かが殺されるわけではなく
まあちょっとした不思議を解こうという日常の謎解きに属するものとなっている。
それにしても殺風景が女の子の苗字とは意表を突かれた。
変な名前というのなら「海野藻屑」なんて超ド級の命名もあるが、負けてない。
で、性格のきつさはまさしくなのであるが、
美少女かつハードボイルドにして、相当にツンデレで、参った。
連作短編集になっていて最初と最後(エピローグ)に殺風景がいる。
間の4作は、それぞれ描かれる人物は異なるが、
微妙に交錯する関係性が示されていて、
足りない関係の補足はエピローグで示される。
いい感じなさわやかな結末を、それぞれで示しつつ、
エピローグではちょっぴり不穏な復讐の遂行が示されているが、
殺風景のさりげないデレぶりが、恋の季節を予感させ終わる。
青春小説として秀逸です。
青崎有吾に望んだものとは乖離していますが。
そこを無視すれば良質な読み物でした。
青崎有吾は1991年生まれというので30歳を少し回ったところとなる。
初めて読んだのは「体育館の殺人」で、これは鮎川哲也生を受賞している。
その探偵役を務めた裏染天馬が活躍するシリーズ以外は読んでいない。
作風的にはパズラーに属するのかなと思う。
似鳥鶏の私立高校シリーズや米澤穂信の古典部や小市民シリーズと
舞台や事件解決の過程などで通ずるところがあるが、
もう少し本格寄りな気がしている。
6-7年前に「図書館の殺人」読んだを読み、続編を出版の旅購入した。
以降、書店で新刊を見かけることがなく、続編を期待していた。
(一度他のシリーズを見かけたが趣味が合いそうになく見送った。)
新聞広告で本文庫の発刊を知り、気になったものの。
なかなか書店で実物を目にすることがなく、
この間やっと見つけて買ってきた。
裏染め天馬シリーズではなく独立した作品だ。
「裏染天馬シリーズ」同様に高校生が登場するのだが、
誰かが殺されるわけではなく
まあちょっとした不思議を解こうという日常の謎解きに属するものとなっている。
それにしても殺風景が女の子の苗字とは意表を突かれた。
変な名前というのなら「海野藻屑」なんて超ド級の命名もあるが、負けてない。
で、性格のきつさはまさしくなのであるが、
美少女かつハードボイルドにして、相当にツンデレで、参った。
連作短編集になっていて最初と最後(エピローグ)に殺風景がいる。
間の4作は、それぞれ描かれる人物は異なるが、
微妙に交錯する関係性が示されていて、
足りない関係の補足はエピローグで示される。
いい感じなさわやかな結末を、それぞれで示しつつ、
エピローグではちょっぴり不穏な復讐の遂行が示されているが、
殺風景のさりげないデレぶりが、恋の季節を予感させ終わる。
青春小説として秀逸です。
青崎有吾に望んだものとは乖離していますが。
そこを無視すれば良質な読み物でした。
オタクと家電は使いよう ミヤタ電器店の事件簿 ― 2022-04-20
田中静人
他人の心に疎い家電店長と、他人の事情に聡い店員が繰り広げる、
家電うんちくたっぷりの、人が死なないほっこりミステリ。
5つのエピソードからなっている。
笑わないけれどお客を笑顔にするため努力しているとする
電気店の求人広告に惹かれた森野美優嬢は、
笑うことができなくなった事情を抱えている。
なぜそうなっているのかはエピソードが進むたびに明らかになる。
なんでも対応する電気店店長は家電知識の豊富さで
客の悩みを解決しようとするが、他人の気持ちに気づけないため
些細な事実に気づけないところがある。
美優は、家電の知識はなくてミヤタの騙るうんちくと、
客の依頼内容と家電の働きとの微妙な目的の食い違いを感じ取り、
その違和感から隠された気持ちがあることに気づく。
元は笑えていた、笑わなくなった彼女だから見えるものが
心地よいものを読者に与える。
その他人の気持ちが見えないミヤタが、
美優の抱える問題を解決していく。
登場する人物はよい人ばかりで、甘いっちゃ甘い世界だけれど、
こういう物語は決して嫌いではない。
量販店との差別化を如何にするかという
町の小売店の悩みを題材にしている点でお仕事小説としても楽しめようが、
サービスの細分化で新たな仕事が発生している今、
ここに書くような戦略が有効なものか疑わしくなってきている。
伝説のような世界観が本当に続くか。
そうあってほしいとは思いつつも、やっぱり古い価値観になっているように思う。
他人の心に疎い家電店長と、他人の事情に聡い店員が繰り広げる、
家電うんちくたっぷりの、人が死なないほっこりミステリ。
5つのエピソードからなっている。
笑わないけれどお客を笑顔にするため努力しているとする
電気店の求人広告に惹かれた森野美優嬢は、
笑うことができなくなった事情を抱えている。
なぜそうなっているのかはエピソードが進むたびに明らかになる。
なんでも対応する電気店店長は家電知識の豊富さで
客の悩みを解決しようとするが、他人の気持ちに気づけないため
些細な事実に気づけないところがある。
美優は、家電の知識はなくてミヤタの騙るうんちくと、
客の依頼内容と家電の働きとの微妙な目的の食い違いを感じ取り、
その違和感から隠された気持ちがあることに気づく。
元は笑えていた、笑わなくなった彼女だから見えるものが
心地よいものを読者に与える。
その他人の気持ちが見えないミヤタが、
美優の抱える問題を解決していく。
登場する人物はよい人ばかりで、甘いっちゃ甘い世界だけれど、
こういう物語は決して嫌いではない。
量販店との差別化を如何にするかという
町の小売店の悩みを題材にしている点でお仕事小説としても楽しめようが、
サービスの細分化で新たな仕事が発生している今、
ここに書くような戦略が有効なものか疑わしくなってきている。
伝説のような世界観が本当に続くか。
そうあってほしいとは思いつつも、やっぱり古い価値観になっているように思う。
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