彼女の知らない空 ― 2022-06-27
早瀬耕
ロシア軍に抵抗するウクライナ軍はドローンを使う攻撃をする。
それは、常に生命のやり取りをし、死の恐怖と向き合う戦争の姿を変えた。
戦争の姿がこのように変化した例を知ったのは
湾岸戦争が最初だった。
その後の戦争は、モニター上で破壊を行うゲーム画面になってきた。
だからそこに人を殺す実感がるのかとの疑問を感じていた。
この優れた短編集は表題作において、ある思考実験をしている。
そこが無性に怖い世界に思える。
収められる他の6篇いづれも、
21世紀が抱える危機的混沌に抗う術があるのかの問いかけだ。
何かしら小説を読むことに深さを求める人には良品。
字面の面白さにのみ酔いたいのなら手を出すものじゃない。
ロシア軍に抵抗するウクライナ軍はドローンを使う攻撃をする。
それは、常に生命のやり取りをし、死の恐怖と向き合う戦争の姿を変えた。
戦争の姿がこのように変化した例を知ったのは
湾岸戦争が最初だった。
その後の戦争は、モニター上で破壊を行うゲーム画面になってきた。
だからそこに人を殺す実感がるのかとの疑問を感じていた。
この優れた短編集は表題作において、ある思考実験をしている。
そこが無性に怖い世界に思える。
収められる他の6篇いづれも、
21世紀が抱える危機的混沌に抗う術があるのかの問いかけだ。
何かしら小説を読むことに深さを求める人には良品。
字面の面白さにのみ酔いたいのなら手を出すものじゃない。
孤闘 立花宗茂 ― 2022-06-27
上田秀人
東の本田忠勝、西の立花宗茂。秀吉に剛勇を称されたた武士。
関ヶ原の役で西軍に就き改易された将のうち
ただ一人旧領を復した宗茂の生涯を描く一品。
まあ普通に楽しんで読めばいい。
面白さに不足はないけれど、新しくもなければ
視点に新機軸があるのでもなし。
後世に残るようには思わないけれど、読めば面白い。
上田作品では「翻弄 盛親と秀忠」
http://kumaneko.asablo.jp/blog/2022/04/06/9479326
のほうが比較しているところが楽しめると思う。
東の本田忠勝、西の立花宗茂。秀吉に剛勇を称されたた武士。
関ヶ原の役で西軍に就き改易された将のうち
ただ一人旧領を復した宗茂の生涯を描く一品。
まあ普通に楽しんで読めばいい。
面白さに不足はないけれど、新しくもなければ
視点に新機軸があるのでもなし。
後世に残るようには思わないけれど、読めば面白い。
上田作品では「翻弄 盛親と秀忠」
http://kumaneko.asablo.jp/blog/2022/04/06/9479326
のほうが比較しているところが楽しめると思う。
暑い‼ ― 2022-06-27
夏だろうが、冬だろうが、雨が降ろうが、強風であろうが、
犬を飼えば、何があっても守らなければならないのが日々の散歩。
辛いのは、飼い主が年々暑さに弱くなってきたところ。
冬の寒さは着込めば、たかだか大阪の寒さなんて知れたもの。
雨だって、たとえ記録的降雨量であっても、
ドライヤの面倒などが生じるかもだが、まあ対応できる。
が、暑さだけは何ともならない。
そもそも犬は暑さに弱いので、
これまでの犬たちは夏場の散歩は控えめだった。
だから体力的に厳しいと思うほどの散歩はしていない。
体調に不安を覚えることはなかった。
在職中は夕方の散歩は土日くらいしかしていないし、
土曜日はたいていドッグ・ランに連れて行ってるし、
(犬は水浴びができるのだ。人にはない。水を飲んでごまかす。)
ほぼ日曜だけ夕方の散歩をする。
夜の散歩をたっぷり長めにしてきた。
それもまた夏場の不安を感じない理由だった。
さて「まこら」だが、5回目の夏を迎えるが、
きゃつの散歩は夏でもたっぷり歩くのだ。
長い時には1時間半以上、短くても40分。
朝も夕も同じようなもの。夜の散歩が短め(30分)なのだ。
で、毎日散歩疲れしているが、夏場以外は運動不足解にちょうどいい。
でも夏場の日差しの残る中での1時間半は厳しい。
体調によっては視覚がおかしくなってしまう。
今年は夏の暑さが早く来た。
このところ連日30度越え。大阪の暑さはねっとり。
それなりに汗が出たところで、排熱は間に合わない。
60代男性、犬の散歩中に熱中症のため救急搬送、
そんなことにならない保証なし。
暑い夏を無事に過ごせるか、不安がいっぱいである。
犬を飼えば、何があっても守らなければならないのが日々の散歩。
辛いのは、飼い主が年々暑さに弱くなってきたところ。
冬の寒さは着込めば、たかだか大阪の寒さなんて知れたもの。
雨だって、たとえ記録的降雨量であっても、
ドライヤの面倒などが生じるかもだが、まあ対応できる。
が、暑さだけは何ともならない。
そもそも犬は暑さに弱いので、
これまでの犬たちは夏場の散歩は控えめだった。
だから体力的に厳しいと思うほどの散歩はしていない。
体調に不安を覚えることはなかった。
在職中は夕方の散歩は土日くらいしかしていないし、
土曜日はたいていドッグ・ランに連れて行ってるし、
(犬は水浴びができるのだ。人にはない。水を飲んでごまかす。)
ほぼ日曜だけ夕方の散歩をする。
夜の散歩をたっぷり長めにしてきた。
それもまた夏場の不安を感じない理由だった。
さて「まこら」だが、5回目の夏を迎えるが、
きゃつの散歩は夏でもたっぷり歩くのだ。
長い時には1時間半以上、短くても40分。
朝も夕も同じようなもの。夜の散歩が短め(30分)なのだ。
で、毎日散歩疲れしているが、夏場以外は運動不足解にちょうどいい。
でも夏場の日差しの残る中での1時間半は厳しい。
体調によっては視覚がおかしくなってしまう。
今年は夏の暑さが早く来た。
このところ連日30度越え。大阪の暑さはねっとり。
それなりに汗が出たところで、排熱は間に合わない。
60代男性、犬の散歩中に熱中症のため救急搬送、
そんなことにならない保証なし。
暑い夏を無事に過ごせるか、不安がいっぱいである。
事故物件いかがですか 東京ロンダリング ― 2022-06-28
原田ひ香
「三千円の使い方」が平積みされえいるのを見て、
少し気になっていた作家です。
で、本屋で見ていてタイトルに惹かれて手に取ったのが本書です。
事故物件…殺人事件・自殺・孤独死など心理的な瑕疵を持つ不動産。
所有者にとってはそうした瑕疵があることは死活問題となる。
その問題を解決するのがルームロンダリングという手法。
そういう闇の商売があったとしても不思議やないと思うし、
もしオーナーの立場であったなら使いたくなろうというもの。
また作中で闘争する【失踪屋】なるものもあっても不思議やない。
この作家面白いやないか。
独立した短編ともなる8小品が、絡まり合いながら進行していく。
「三千円の使い方」が平積みされえいるのを見て、
少し気になっていた作家です。
で、本屋で見ていてタイトルに惹かれて手に取ったのが本書です。
事故物件…殺人事件・自殺・孤独死など心理的な瑕疵を持つ不動産。
所有者にとってはそうした瑕疵があることは死活問題となる。
その問題を解決するのがルームロンダリングという手法。
そういう闇の商売があったとしても不思議やないと思うし、
もしオーナーの立場であったなら使いたくなろうというもの。
また作中で闘争する【失踪屋】なるものもあっても不思議やない。
この作家面白いやないか。
独立した短編ともなる8小品が、絡まり合いながら進行していく。
平均寿命 ― 2022-06-29
ゴールデンの平均寿命は10~12才。
このデータは20年間動いていないようだ。
大型犬の寿命が短めなのは承知している。
でも知る限りでは15才声のゴルも数頭知っているし、
もっと長生きのように思う。
僕がかかわる5頭のゴルも
10歳目前で力尽きたのが2頭。
12才9か月に14歳8か月、14歳5か月。
平均すれば13歳に近い。
6頭目の「まこら」は現在4歳9か月。
今度こそ15歳を超えてくれと思っている。
ドッグランでの走りっぷりを思えば、
(3時間くらいは知りまくる。おそらく10キロ近くなる。)
そんなに高くないハードルのように思うが
スポーツマンの早死にも多々見られるので
こればっかは天のみぞ知るってか。
このデータは20年間動いていないようだ。
大型犬の寿命が短めなのは承知している。
でも知る限りでは15才声のゴルも数頭知っているし、
もっと長生きのように思う。
僕がかかわる5頭のゴルも
10歳目前で力尽きたのが2頭。
12才9か月に14歳8か月、14歳5か月。
平均すれば13歳に近い。
6頭目の「まこら」は現在4歳9か月。
今度こそ15歳を超えてくれと思っている。
ドッグランでの走りっぷりを思えば、
(3時間くらいは知りまくる。おそらく10キロ近くなる。)
そんなに高くないハードルのように思うが
スポーツマンの早死にも多々見られるので
こればっかは天のみぞ知るってか。
八本目の槍 ― 2022-06-29
今村翔吾
『塞王の楯』が直木賞を受賞しますます人気が出ている今村さん。
著者の作品を読むのは『童神』に次いで2冊目となる。
その時の感想はこちら↓
http://kumaneko.asablo.jp/blog/2020/09/24/9298713
この小説は石田三成を、賤ケ岳7本槍を通して描き出す趣向となっている。
従来の作品では三成を含む文治(官僚)派と武断(軍人)派との確執が
豊臣家臣団の分裂を生んだとする。
中でも加藤清正と福島正則が三成を憎み対立するのが鉄板となっている。
それを覆すのが今村作品の面白さである。
加藤清正に始まり、糟屋武則、脇坂安治、片桐且元、加藤嘉明、平野長泰と続き
最後に福島正則が三成との関係を騙る。
そこから滲みだしてくるのは三成という大才の仁気あふれる姿なのである。
そして清正にせよ、正則にせよ、に次なりを決して厭うのものでなかったとする。
たしかに確執はあり、東西に分かれた三成と清正、正則であるが
それは豊臣家をどう守るかという路線対決であり、
対人関係のまずさにのみが原因とはしていないのだ。
だから、官名で呼び合わず小姓時代の名で語り合わせる。
誰もが三成を認めている。が、ある者は敵対し、ある者は殉じていく。
このありようが美しくないわけがない。
新たな彼らの姿は、凄絶に美しい。
できれば事実もこの作品のようであれかしと願う。
従来の作品群より、それぞれが人間らしくていい。
最後に配された正則が淀殿に放つ言葉が、
この作品のタイトルとなった肝であり、本作を一級品足らせたすべてだ。
七本槍と三成の真の形が、これにある、と思わせる力作だ。
『塞王の楯』が直木賞を受賞しますます人気が出ている今村さん。
著者の作品を読むのは『童神』に次いで2冊目となる。
その時の感想はこちら↓
http://kumaneko.asablo.jp/blog/2020/09/24/9298713
この小説は石田三成を、賤ケ岳7本槍を通して描き出す趣向となっている。
従来の作品では三成を含む文治(官僚)派と武断(軍人)派との確執が
豊臣家臣団の分裂を生んだとする。
中でも加藤清正と福島正則が三成を憎み対立するのが鉄板となっている。
それを覆すのが今村作品の面白さである。
加藤清正に始まり、糟屋武則、脇坂安治、片桐且元、加藤嘉明、平野長泰と続き
最後に福島正則が三成との関係を騙る。
そこから滲みだしてくるのは三成という大才の仁気あふれる姿なのである。
そして清正にせよ、正則にせよ、に次なりを決して厭うのものでなかったとする。
たしかに確執はあり、東西に分かれた三成と清正、正則であるが
それは豊臣家をどう守るかという路線対決であり、
対人関係のまずさにのみが原因とはしていないのだ。
だから、官名で呼び合わず小姓時代の名で語り合わせる。
誰もが三成を認めている。が、ある者は敵対し、ある者は殉じていく。
このありようが美しくないわけがない。
新たな彼らの姿は、凄絶に美しい。
できれば事実もこの作品のようであれかしと願う。
従来の作品群より、それぞれが人間らしくていい。
最後に配された正則が淀殿に放つ言葉が、
この作品のタイトルとなった肝であり、本作を一級品足らせたすべてだ。
七本槍と三成の真の形が、これにある、と思わせる力作だ。
密室黄金時代の殺人 雪の館と六つのトリック ― 2022-06-30
鴨崎暖炉
このミス2021年度文庫グランプリ受賞作品
このミス大賞新人作家の登竜門ではあるが、受賞作品は完成度の高いものが多い。
で、結構手に取る。本作品も結構楽しめた。
過去の密室トリックを系統だて定義しているあたりが興味深いが、
犯行の動機や犯人像には飛躍がありすぎてついていけないし、
また、本作中の事件のトリックについては机上の空論のような気がします。
それらの部分は会話のテンポというか、著者のセンスでカバーされています。
まあ、先行する密室トリックもほとんどが現実には実現性が低いので
たいして問題とはならないのでしょうが。
物語の設定は、事件現場に対して不在照明がされれば
いかなる動機を持っていようと見に問えないのと同じで、
いかなる動機を持つ者がいようと、密室状況の下で事件があった時、
その密室のからくりが解き明かされなければ、
その者の犯行を問えないという判決がなされたとしている。
そのため密室事件が多発している日本が舞台。
人里離れた場所にある、かつての人気ミステリ作家の別荘雪白館。
現在はホテルとして営業している。
このホテルの売りはオーナーの料理と作家の密室を使った未解の謎。
そのホテルを舞台に連続して起きる密室殺人。
犯人は誰。閉ざされた空間での事件であり、
そこに居合わせた12人の誰が犯人なのか。
探偵役が多いうえに、探偵役と犯人と黒幕が一緒だとか、
探偵役の一一人は早々に殺されるなど、手が込んでいる。
ノックスの十戒とモーセの十戒を並べていたり、
他の作品群をさりげなく引用したりと小ネタも多彩。
主要登場人物のキャラもたっているし、会話も軽妙。
液体窒素を用いたトリックなどは頭でっかちな気がするが、
全体としてよく考え抜かれた印象がある。
考え過ぎが瑕疵と思うのだが、ま、これもアリか。
このミス2021年度文庫グランプリ受賞作品
このミス大賞新人作家の登竜門ではあるが、受賞作品は完成度の高いものが多い。
で、結構手に取る。本作品も結構楽しめた。
過去の密室トリックを系統だて定義しているあたりが興味深いが、
犯行の動機や犯人像には飛躍がありすぎてついていけないし、
また、本作中の事件のトリックについては机上の空論のような気がします。
それらの部分は会話のテンポというか、著者のセンスでカバーされています。
まあ、先行する密室トリックもほとんどが現実には実現性が低いので
たいして問題とはならないのでしょうが。
物語の設定は、事件現場に対して不在照明がされれば
いかなる動機を持っていようと見に問えないのと同じで、
いかなる動機を持つ者がいようと、密室状況の下で事件があった時、
その密室のからくりが解き明かされなければ、
その者の犯行を問えないという判決がなされたとしている。
そのため密室事件が多発している日本が舞台。
人里離れた場所にある、かつての人気ミステリ作家の別荘雪白館。
現在はホテルとして営業している。
このホテルの売りはオーナーの料理と作家の密室を使った未解の謎。
そのホテルを舞台に連続して起きる密室殺人。
犯人は誰。閉ざされた空間での事件であり、
そこに居合わせた12人の誰が犯人なのか。
探偵役が多いうえに、探偵役と犯人と黒幕が一緒だとか、
探偵役の一一人は早々に殺されるなど、手が込んでいる。
ノックスの十戒とモーセの十戒を並べていたり、
他の作品群をさりげなく引用したりと小ネタも多彩。
主要登場人物のキャラもたっているし、会話も軽妙。
液体窒素を用いたトリックなどは頭でっかちな気がするが、
全体としてよく考え抜かれた印象がある。
考え過ぎが瑕疵と思うのだが、ま、これもアリか。
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