死者を起こせ2005-12-02

フレッド・ヴァルガス 創元推理文庫 760円

英米以外のミステリというと、あまり読んだことがない。
本作はフランス発のミステリだということで
英米ミステリとは少し匂いが違う。
そんなに深いミステリファンではないので
どこがどうとは言いがたいのですが。

フランスでいくつかの賞を受賞した作品とのこと。
読んで納得の受賞だと感心した。

職にあぶれて困窮中の歴史学者3人が探偵役。
先史時代の研究者マティアス
中世史専門のマルコ
一次大戦研究家のリュシアン
それぞれに研究分野に似合った特異な人物像として描かれていて、
その性格付けが愉快。
それぞれの性癖が事件の核心関わって行く様が、
著者自信が歴史学者ということからか、
みごとにはまっていて小気味よい。

引退したオペラ歌手の隣人となった3人の下に、
当のもと歌手から奇妙な依頼が持ち込まれる。
庭に突然埋められた木の下を調べて欲しい。
家人が知らないうちに一夜にして植えられた木に、
元歌手は不審帆を抱いたのである。

3人によって木の下は調べられたが異常はなかった。
ところがその後にもと歌手は失踪したのである。
その謎に3人は挑む。
相談相手にマルクの叔父で元警官のアルマンという魅力的な人物を配し、
繰り広げられていく物語は、意外な結末を見せる。

9点