君の名残を 下巻 ― 2006-02-28
大作である。が、内容は乏しいと思ってしまう。
オセロの松嶋尚美が「いたるところで泣きました」とか
仏文学者が「果敢な思想小説である」とか
感想を述べたようで、帯にそれが使われているが、
泣けないし、思想も見えない。
思想はあるにはあるのだろうが、
この娯楽小説に持ち込む必要があったとは思えないし、
却って変に中途半端な輪廻思想とか
無常観を持ち込んでしまっていて、いらいらさせられる。
と、文句をつければいくらでもつけられるのだ。
貴族誠治から武家政治へのターニングポイントに
現代から入り込んだ知識が、大きな役割を果たしたとする設定。
現代の剣道の技が、平安末にもたらした革新。
ちょっとした史実の歪曲をさらりとしている点などは好感が持てるが、
全体としての印象は、これまで様々な作家が創造した
アイデアの変容にとどまっていると感じる。
それでもなんとか最後まで読む気にさせたところは
力量なのだとは思う。
4点
オセロの松嶋尚美が「いたるところで泣きました」とか
仏文学者が「果敢な思想小説である」とか
感想を述べたようで、帯にそれが使われているが、
泣けないし、思想も見えない。
思想はあるにはあるのだろうが、
この娯楽小説に持ち込む必要があったとは思えないし、
却って変に中途半端な輪廻思想とか
無常観を持ち込んでしまっていて、いらいらさせられる。
と、文句をつければいくらでもつけられるのだ。
貴族誠治から武家政治へのターニングポイントに
現代から入り込んだ知識が、大きな役割を果たしたとする設定。
現代の剣道の技が、平安末にもたらした革新。
ちょっとした史実の歪曲をさらりとしている点などは好感が持てるが、
全体としての印象は、これまで様々な作家が創造した
アイデアの変容にとどまっていると感じる。
それでもなんとか最後まで読む気にさせたところは
力量なのだとは思う。
4点
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