信長の原理2020-12-29

垣根涼介 著  

垣根さんの作品は「光秀の定理」と「狛犬ジョンの軌跡」の
2作品を読んだだけだ。
「狛犬ジョンの軌跡」はファンタジーとして秀逸だったように記憶する。
「光秀の定理」は、モンティホール問題等の確率論を
物語の中心において光秀の織田軍団の中での軌跡を描く。
数学の考え方は、説明で分かったつもりにはなれるが、
すぐに理解は明後日のほうに行くので、
読んでいて不思議な気分にさせられたものの
新しい歴史小説の在り方かと感心させられたものだ・

「信長の原理」は「働きアリの法則」として知られるものがベースとなる。
いわば常に頑張るものは少数で、
多くの引っ張られていくものと、
頑張るものと同じ程度にさぼるものがいるという観測結果を
歴史小説に落とし込んだものだ。

いやはや、信長というリアリストの在り方に、
このような光の当て方があったとは。

のぶながが「働きアリの法則」を考え抜いた末、
発見していくさまが読ませる。
そして松永久秀の裏切りの不可解さなども
筋が通て行くのだから見事。

本能寺の変まで、信長が見出した原理で解釈してしまえるのも
とても興味深い点だった。

次は宇喜多直家を主人公に据えた物語を書いているという。
どんな仕掛けであるか興味津々。、

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