彩雲国物語 隣の百合は白2008-04-26

雪乃紗衣   門川ビーンズ文庫   514円

女性向けライト・ノベル。
『彩雲国物語』はメインストーリーと並行して、
いくつかのサイドストーリーが発表され、
一冊にまとめられてきている。
本作品も、メインストーリーとは外れたタイトルとなる。

彩雲国物語 白紅は天をめざす
http://kumaneko.asablo.jp/blog/2008/01/01/2540397
でも書いたが、
『彩雲国物語』は作家が上手くなってきているとはおもうが、
人気が出てきたため、
初期の設定が読者に迎合する形で崩れだしていると見ている。
読者に合わせて作品が換わっていくのが、必ずしも悪いとは思わない。
が、それにしてもここまで変化してしまうことはどうかと思ってしまう。
1巻、2巻辺りでは、中国古代王朝を意識させていたのだが、
最近では、完全な現代的な状況下に物語が置かれてしまっている。

ほんとにこんな作品になってしまっても良かったんだろうかと疑問に感じる。
見ただけで気絶する美貌の持ち主なんて、ほえっ?
十人並の容姿という主人公の設定だったのに、
いつの間にか『きれいなお姉さん』に変わっているし、
なんか隅々が初期設定と矛盾している。

まあ、面白ければよいといえばそれまでだが、
面白いというわけでもなく、
なんで読み続けているのかな。

読み続けているということは、どこかに感じるものがあるからなのだが、
なんでというのはわからない。

本作品集には3つのストーリーが収められている。
そのいずれもが時代設定から考えれば、
到底おきうるはずのない事件の連続なのだが、
そういうことを無視すれば、コメディーとしては良くできているのだろう。

毒にも、薬にも、決してならないと思うが、
然るべき年齢の、夢見がちな乙女心があれば、
いろいろ想像は膨らませるのだろうね。

大人が読んでいたら、恥ずかしい作品だと思う。