午前零時のサンドリヨン/相沢紗呼2020-05-30

一年ぶりの感想になる。
この間も100冊以上は読んでいるのだが、
ほんま、ブログに飽きているのだろうなあ。
書けない。

アーカイブ化は、ほぼ4000枚までのなり、
犬遊びも充実しているが、
書けないのは、まあ飽きたのなら仕方なし。
気がむけば書いてみて、興が乗れば更新サイクルも短くできるかな。

さて、相沢紗呼だが、
「medium 霊媒探偵城塚翡翠」で注目されているのだそうだ。
そのためか旧作マツリカ・シリーズが山田の本屋で平積みされていて、
ラノベっぽいなあと思いながらも
なんとなく気になって購入、ちょいはまりして
「午前零時のサンドリヨン」「ロートケプシェンこっちにおいで」
シリーズにも手を出した。

こちらのシリーズは2010年と2011年に刊行され
創元推理文庫に収められている。
この後にマツリカシリーズが発表されている。
マツリカガ推定20才ノ美貌の女子高校生が探偵役、
こちらは高校一年生のマジックを愛する女子高生が探偵役となる。
助手役には、どちらも高校一年生男子が配され、
(どちらも過去に触れられたくないものを持つ)
探偵役に魅かれている設定になる。

どちらも学校の中で起きる小さな謎を中心に進む。
先行作品である「午前零時のサンドリヨン」が
須川君目線で書き進められていて、
一作ずつ独立した短編の連なりになっていた。

後発の「ロートケプシェンこっちにおいで」は
須川君目線が中心であるものの
短編と短編をつなぐブリッジが設けられ
一見。無関係な女子の独白が挟まれる。
最後に、それらが一体となり集約するという構図になっているので、
意外な展開につながっていておもしろい。

この二つの作品で描かれるのは基本、高校生だけであり、
執筆当時は20代後半だったらしい著者がためていたものが
それぞれの人物の上に現れているようだ。
男子に比べて女子の造形が際立っているので
あるいは著者は女性かと思ったが、男性だということだ。
男性の書き方はちょっと違うかなと思うが、
女子の描き方は、男子からは見えにくいところまで書き込まれている。
それが魅力になっている。


教室の中のサヴァイヴァル、
ちょっと軟弱な男子高生の恋心、
一人を恐れる女子高生の葛藤など、
同年代のものが読めば楽しめよう。

作中でキャラが際立っているのは八反丸芹華がダントツで、
主人公二人のキャラが控えめであるところが少し残念。

一面では明るかったり、活発だったりする少年時代の裏の側面、
孤独を恐れるこころ、みんなと一緒でなければとの観念
それらの悲しさのようなものが、
何十年も前になってしまったものにはまぶしく映る。

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