掌の中の小鳥2006-03-22

加納朋子著 東京創元社  ¥540

小粋なスタンド・バー“エッグ・スタンド”で繰り広げられる、
お洒落な恋愛と小さな驚き。軽いタッチで楽しめる連作短編ミステリ。
 
  4年前に大切な恋人を失った“僕”は、彼女から『私殺されたの』という電話を受け取る。そして彼女の伴侶たる先輩と出会う。先輩と話すうち“僕”は昔日の出来事に疑念を抱く。
絵が好きな彼女の才能を信じてやまなかった“僕”が、彼女を失うきっかけとなった出来事に対しての。なぜ彼女は突然に電話をよこしてきたのか、その事実に思い至ったとき、“僕”は新しくなった。新しくなった“僕”は、とあるパーティーでとても惹かれる女性と出会う。今度は『掌の中の小鳥』を決して見失わない。
 その小鳥は自由に飛びまわる。彼女といれば退屈しない。いろいろな謎が、あちらこちらにちりばめられている。狂言誘拐。マンションの一室が消失するという奇談から、喫茶店での傘の盗難にいたるまですべてが驚きに満ちている。
“エッグ・スタンド”に集う登場人物たちの粋な会話も絶d品