黎明に叛くもの2006-08-09

宇月原晴明  中央公論  952円

ぶ、分厚い。646ページもあったよ。
2006年度の「山本周五郎」賞を受賞した作家なんだそうだ。
戦国伝奇小説だそうだ。確かに伝奇小説だわな。
「魔界転生」なんかとおんなじだわな。

面白いよお。だけど、愉しくないよ。読んでいても。
たぶん順番が違ったのかな。
「信長」を読んでから本書を読めばよかったのかもしれない。
なんともいえませんが。。。

松永久秀が本書の中心だ。
戦国時代に最も怪しい光を放った男、弾正久秀。
彼はペルシャの暗殺法を体得していた。
後の斉藤道三を兄弟子に持ち、日の本を二分しようとの盟約を交わす。
道三が波山の法を捨て、美濃国守にのし上がるのに対し、
久秀は波山の法を縦横に使い、
三好長慶を将軍に代わるものに据えようとたくらむ。
しかし、波山の法の禍々しさは主家を滅ぼし、久秀は妖人となる。
道三が見込んだ信長に、一度は引かれながらも、
自らが日輪であるべきだとの思念から、日輪たる信長に取って代わるべく、
妖しい術を自在にこなし、信玄・謙信・光秀などを翻弄し、
信長に対抗する。

ペルシャの暗殺教団が、モンゴルに滅ぼされたものの、
日本にまで渡来し、その教団の復興を狙っていたとする。

光秀が久秀との邂逅によって己を喪っていくさまなどは、鬼気迫る。

虚と実が交錯する、狂った異形の戦国史。