さよなら、星のむこうへ2006-08-16

シルヴィア・ウォー  ランダムハウス講談社  760円

メニム一家シリーズという人気作品たちがあるそうだ。
残念ながら未読で、なんともいえないが、各種のレビューを見る限り、
相当にひねりの効いた夢に溢れる世界のようだ。
40年間人間に気づかれずに生きてきた人形の一家の物語、
何だそうである。

そんな著者が次に描いたのが「オーミンガット3部作」です。
地球にやってきたオーミンガット星人たちの物語です。
3部作は主人公を変えて、「永遠の別れ」をテーマとしているそうです。

「さよなら、星のむこうへ」は、
オーミンガット星から地球に調査にやってきた親子が主人公です。
トーマスとパトリック手いう仮の名で、
ダルリンブル夫人やミッキー少年と心温まる交流をしていたのに、
突然パトリックからオーミンガット星へと戻ると告げられたトーマスの物語だ。
永遠の別れはさびしいが、父親との別れはもっとつらい。
オーミンガットへの帰還を決意したトーマスだったが、
いざ宇宙船に行こうとした矢先、交通事故により、
トーマスはパトリックと離れ離れになってしまう。
地球を離れる日はクリスマスの日。
その日までに親子が再会を果たさねば、親子の永遠の別れとなる。
強い意志を持ち、パトリックを待つトーマスだが、
ダルリンブル夫人やミッキー少年の親愛の情にゆれながらも、
旅立つ日をずっと待つトーマス。親子は再会を果たすのか。

トーマスをめぐる人たちの優しさが心地よく、
親子の絆の強さが胸にしみる。
子供に語る本。

ぬすまれた放課後2006-08-16

松本洋子  講談社漫画文庫  600円

「死者の学園祭」(赤川次郎原作)をコミック化した作品で、
1985年から1986年にかけて「月刊なかよし」に連載された。
手元の文庫は1998年刊行で現在は絶版。オリジナルコミックも廃刊。
僕は例によって古本で購入した。

10年ほど前、やたらと子どもが赤川作品に興味を示した時期がある。
教科書に何かの文が乗ったという噂も聞いたこともあるが、
実はこういうコミック化が大きく影響していたのだなということがわかった。

赤川次郎らしく、たくさん人が死ぬし、身近な人が犯罪者だったりと、
スピード感とスリルはたいしたものなのだが、
本格ミステリ好きには物足りないだろうね。
かなり人気がある原作のようで、
本作のほかにもコミック化されているし、フカキョンで映画化もされた。
ずいぶんと長い間支持されているということだ。

本作は人によれば原作より優れていると評価する。
確かにコミック化しても違和感がない。
赤川作品の特徴から考えたら当然か。