むやみに餌を与えてはいけない。2010-09-22

こういう表示は動物園でも良く見られる。
自分がいい人にでもなったつもりで、
人里に出てきた野生動物に餌を与えて悦に入る人もいる。
確かに、餓えている動物に餌を与えるのは、
なんとなく自分が優しい人であると思わせる。
が、定期的に与えていては、それは餌付けと呼ばれる行為であり、
より多くの動物を呼び寄せる結果となる。
野良猫のために道路に餌をまいていたら、
からすまで来て、とんでもなく不自然な状況になる。
そのことで他人に迷惑を与え、批判されるようになってしまっても、
自身のヒロイズムに酔っていて、批判の本質に気づけないまま、
次第に孤立化してしまい、意固地になっていくこともあるようだ。

動物に対して優しいといわれる人々には、
いつだって心のバランスを崩しかねない隙がある。

その隙を、ともすれば狙い撃ちしてくるのが、
ネットであの手この手で寄付を募る一部の動物愛護の仮面をかぶったものたちだ.

保護しているから支援して欲しい。そういう発信をしている人の中に、
犬・猫を集めはするものの、虐待している人がいる。
過去に何度も何度も、そのような人物が現れている。
ほんとにあの手この手は複雑になってきている。
最近では、プリズンドッグプロジェクトなる意味不明な活動も見た。
↑正しくは『プリズンドッグ・ジャパン』
米国における刑務所での補助犬育成プログラムは、
1990年代に大塚敦子の著作でも紹介された。
最近になってマスコミが取り上げたもんだから、
そのプロジェクトを日本でも推進しようという主旨で、
なんか個人として保護活動をしているらしい人たちが、
にわかにHPを立ち上げ、署名活動しだした。
そのついでなのか寄付金も募っている。
が、よく読めば、内容が矛盾だらけ。
『プリズンドッグを育成する』なんてのが目標にあげられていたりする。
なんか批判が高まったから、一部を削除したのか、
今では署名活動が前面に押し出されているが、
受刑者が補助犬育成をするプログラムなのに、
プリズンドッグという補助犬を育成するから寄付頂戴という文脈が載っていた。
動物介在療法や動物介在活動と錯覚したとしか思えない主張だった。
そもそも、自分たちとは何の関係もない日盲と
鳥取県の関係を自分たちの成果のように書いてみたり、
 ↑島根県の誤り。波間信子の『ハッピー』33巻巻末参照。
自分たちが捨て犬から育成したプリズンドッグを
日本全国で採用するよう働きかけるとした主張に、心底びっくりした。
そういうことを警察庁なりが許可しているようには思えない。
いっぺん問い合わせたろかと思っていたら、
そういう文が消えてしまっている。

プリズンドッグ育成のための費用として寄付金を賜りたい。
本人たちは本当に大真面目で考えているのかもしれないが、
寄付金を募ってまで育てるプリズンドッグに何の意味があるのやら。
刑務所での動物介在療法のための犬を育てるのなら、
刑務所での服役者のための矯正プログラムとは何の関係もないですぞ。
こんな破綻した呼びかけに、よもや賛同する人がいるのか。
ろくすっぽ吟味せず、いいじゃんプリズンドッグと寄付しようなんていう人が多数いるなら、
これじゃ募金詐欺をなくそうと願うのは、無理というものだ。

寄付するのなら、一つ一つをよく吟味して、その活動の実体を見極めたうえで。
そう心がけないと、あそこで餌をくれるらしい。
そういうことになり、いつの間にやら多数の動物が集まってしまうのだ。
つまり金銭目的の悪人を付け上がらせてしまうということだ。
動物好きは、可哀想な犬を見せたら金だしよるで!。とね。

さて、エンジェルズが大阪府東大阪市の元ブリーダーの犬をレスキューしたと言う。
彼らのホームページに高らかに発表している。
いろいろな意味で不思議なケースだ。
頭数がおかしい。
新聞などのマスコミによれば、発覚当時には200頭いたそうだ。
それが
「7日に東大阪市が立ち入り調査した際には160匹ほどいた犬と猫(中略) 店の中に入ると犬82匹、猫8匹のあわせて90匹に減っていました。」
http://www.ktv.co.jp/news/date/main.html#0351819
と、関西テレビで報道されたようだ。
なのに、エンジェルズ活動日誌とずばり一言では
「犬75頭、猫7頭、合計82頭」
だ、そうだ。
活動日誌は前日に書いた頭数が間違っていたからか、
「犬75頭、猫8頭」から、黙って書き換えての数字だ。
関西テレビの記事と違う点は、
「当初、160頭余りが確認されました。
当日も、ご近所の方が犬の譲渡希望に来られました。
親戚や子供の友人など、一般の飼い主に、貰われていったそうです。」
と、いう文章を挿入して整合させている。
搬出当日に、犬7頭と猫一匹を、
引き取り手の的確性を吟味することなく渡したということのようだ。
そういういいかげんな譲渡をしたのでなければ、
闇に消えた犬地猫が瀬いるということになる。

そもそも、福岡や太宰府では何人足りと持ち出すなと張り紙までしたのに、
今回はやけに紳士的にしていることが不思議だ。

元ブリーダーが、親戚や子供の友人などに譲ったというのを、
なぜか全面的に信じているようだけれど、
それも今までの彼らの主張を聞いている限り、
納得できる説明になっていない。
全頭所有権放棄がレスキュー時の条件だったはずだ。
所有権放棄したからレスキューしているわけで、
これまでのエンジェルズの数え方でいけば、
所有権放棄後の犬たちは、エンジェルズの譲渡実績に組み入れられると考えられる。

福岡でも見られたように、今回の東大阪案件では、
元ブリーダーに対して、28名分の日当と移送費、
レスキュー後のワクチン代なども当然請求しているはずで、
この元ブリーダーは、民家を繁殖場に使っていたということなので、
当然ながら支払い能力は残していると思われる。

悪徳ブリーダーを懲らしめるためにも、
レスキュー費用を支払わせるのが当然と言い切ったエンジェルズなのだから、
当然請求していることは疑いない。

それより、より疑問に感じるのは、
わずか2週間で80頭の犬を引き取らせることができた元経営者なのだ。
なんで楽をさせてやる必要が在るのだろう。
最後まで譲渡の努力をさせるのが、
エンジェルズの主張から言って正しいのではないか。

そんなこんなで、今回のレスキュー劇は、
福岡や大宰府の時とは異なり、
繁殖場経営者をレスキューしたというように感じられる。
エンジェルズが介入したことで、
元経営者の罪が、動物愛護法違反が成立したとしても、
狂犬病予防を怠った罰金なりとあわせて100万円程度。
それ以外は、結局全頭を譲渡したというおかげで、
せいぜい書類送検のみで終わってしまうのではないかと思う。
これって誰を救ったことになるのかお分かりですよね。

こういう点への説明をきちんとしていないのに、
犬たちのえさ代がないとか、多額の医療費が掛るとかの、
そういった泣き言に反射的に寄付金を出すことは避けるべきだ。

少なくとも28人の会員がいて会費が入ってくる。
昨年の繰越金もあるはずだ。
フードは大手企業が支援してくれている。
協力獣医が損を承知で診てくれる。
なによりも時給1億円の社長も支援者にいる。
トラック一杯の『おやつ』を送ってくれる気前のいい社長だ。
さらに林氏のことを、杉本彩氏は「社会的に成功していて、働く必要がない」と保証した。
少なくとも数ヶ月は、林氏が辛抱したら、費用くらい捻出できる。
たった2年間で、ハーレーを2台購入する資力はあるのだ。

さまざまに彼らへの不信が広まっていること。
とりわけエンジェルズで支部長まで務めた人さえ、
彼らの姿に幻滅してしまっていることを肝に銘じて欲しい。

むやみに餌(支援金・支援品)を与えることが、
動物のために良いとは限りません。

コメント

コメントをどうぞ

※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。

※なお、送られたコメントはブログの管理者が確認するまで公開されません。

名前:
メールアドレス:
URL:
コメント:

トラックバック

このエントリのトラックバックURL: http://kumaneko.asablo.jp/blog/2010/09/22/5360401/tb

※なお、送られたトラックバックはブログの管理者が確認するまで公開されません。