犬を飼う人(飼おうとする)が勘違いしてしまいがちなこと。 ― 2021-03-21
先日朝の散歩中に出会ったケース。
貸農園の作業をするため、飼い犬を歩道に係留している。
犬から完全に目を話している状況だ。
歩道は1.8メートルほどの幅。
1メータほどのリードをつけている。
そのリードを農園の周りに建てられた木の柵にひっかけている。
知らない犬なので側方を通過するのをためらった。
様子を見るとこちらをガン見している。
まあこういう犬の場合良くないことが起きる気がする。
で、自分の犬に話しかける要領で「挨拶してもらえそうかな」と
大きな声で言ってみた。
すると菜園で作業をしていた男が、
うちの犬はほかの犬が近づくとかかっていくので避けて通ってくれっていう。
吠え掛かる犬なら側方通過できる余地などないぞ。
飼い主が側にいて制御してくれているなら
そういう譲り合いも可能ではある。
互いにリードを短く持ち替え速やかに通り過ぎる。
そういうことで話はつきそうではある。
その場の状況をもう少し書いておくと
歩道の横は片側1車線の、それなりの通行量のある道路である。
見通しの良い道路なので車は結構なスピードで走っている。
普通に50キロは出している。
早い車だと70キロくらい出している。
制限速度は40キロ規制なので、違反なのではあるが。
たいていの車は結構早いと思ってもらえばよい。
車道側に回り込むのは、十分に安全確認をしたうえでないと危険だ。
信号は近場にはなく、横断歩道であっても止まる車など皆無のあり様。
最初に述べたように歩道幅は大人二人がすれ違うには十分だが
犬連れの同士のすれ違いは、どちらかが譲らないとできない。
どちらかがガウガウ犬なら事故必至と考えればよい。
さて、ここで問題です。
こういう場合は係留されている犬を避けて、
散歩中の人がコース替えしなければならないか。
答えはNOです。
おそらく多くの人はトラブルが嫌で道を変える選択をするだろうが
実際にはコースを変更する責務はない。目を離してしまっている人が
自由な通行を守る義務を放棄しているのが問題となる。
付け加えれば係留しているといっても、
犬を直ちに制御できる状況にないので
飼い主としての責務を守っていないということになる。
非常に大きなリスクを自らしょい込んでしまっている。
そのことに気づいていない。
昨今の裁判では、自宅で鎖などで係留していても、
その長さが適切ではなく、公道にぎり届いてしまうようなら、
建物の構造上の問題を放置していたりしたなら
吠えて驚かせただけで犬の飼い主が責任を問われている。
犬の飼い主の安全確保義務は重くなってきている。
それどころかガウガウ犬の飼い主へは
適切な飼養・しつけを行っていなかったとされる傾向が強い。
公道等では、相手に多少の非があっても、
問題行動を起こした犬の側の責任が問われてしまう。
猟犬や闘犬などは、他人が容易に近づける飼い方をしていれば、
やはり大きな責任が課せられてしまう。
鍵等が掛けられ、十分に頑丈な犬舎にするべきとされてしまう。
犬を飼うというのは、実にめんどくさいものなのだ。
義務や責任がいっぱいついて回る。
ワクチン接種の義務、畜犬登録義務、適切な犬にするよう躾ける義務、
悲しくても、つらくても、犬を飼う以上課される義務なのだ。
友好的に人と接することができて、
友好的に犬と接することができるよう育てる。
それが前提にされてしまっているのが昨今だ。
そこに届いていない犬が問題を起こせば、
どんなに理屈建てしたって裁判には勝てない。
あまりにも厳しすぎると思うような判決がある。
問題を抱えてしまった犬を飼われているなら
一度じっくり調べられることをお勧めする。
僕でもそんなのいちゃもんやないかと思う案件でも
裁判では負けてしまっている。
子供が制止しているのに駆け寄り嚙まれた。
それでも賠償責任を負わされた例がある。
(確か過失相殺はついていたやに記憶する)
散歩中に犬が吠えて驚いた人が転倒してケガをした。
こんなものであっても訴えられれば、
吠えた犬の飼い主は賠償責任を負わされている。
たしか後遺障害が残ったケースなんかでは
数千万円という判決が出ていたように思うぞ。
もちろん同じ犬飼だから、
ガウガウ犬の飼い主との間でトラブルにならないようにしたいとは思う。
だからこそ意思疎通が肝要なんである。
問題を抱えている犬なら、やみくもに避けるだけではなくて
ほかの犬と仲良くできないと伝えるようにしないといけない。
そう聞けば、よほど意地悪な人でない限り、
接近することがないよう配慮する。
なにも伝えていなければ、問題のない犬と判断され配慮はしてもらえない。
できれば幼犬の時から他の飼い主と仲良くなって、
問題を抱え込まないように助言を受けるなりしておくことだ。
もしもガウガウしてしまう犬になりそうで、
自分でしつけできないなら、とっととプロについて教えてもらうことだ。
プロに犬を躾けてもらうのではなく
自分が適切に犬をコントロールできるよう教えてもらうのだ。
そういう努力ができないなら犬など飼ってはいけない。
ガウガウ犬に育ててしまっては、
犬がガウガウするたび謝りまくる羽目になり、
他の犬が来たらあわてて方向を変えるなりしなければならず、
肩身の狭い思いをし、本来犬を飼っていて感じられる癒しは皆無で、
犬も人もストレスばかり抱える羽目になる。
さらに悪いことにストレスは次のストレスを拡大生産していくのだ。
肩身が狭い思いをしながらでも平身低頭していれば
同じ犬飼なら、たいていはガウガウする機会がないよう配慮する。
配慮してもらえるといったって、
何もその人のためにしているのではなく
無用のトラブルを避けたい、自分の犬を歪めさせないためであって、
本心では、そんな犬にするなら飼うなよと侮蔑的にみられていると知るべきだ。
さらに配慮なり助言しようにも、
飼い主がちゃんとついている限りにおいてでしかない。
よほどの希少犬種でなければ、犬だけで判断はむつかしい。
犬だけを係留していたなら問題のない犬と判断されるぞ。
もう少し現代のペットトラブルの顛末を知るべきだろうと思う。
先日あったケースでは目が届くところで待機させるなどしないといけないと伝えた。
すると逆上して食って掛かってこられた。
曰く先に来てつないでいるのだから、あとから来たものが避けて通ればいい。
いつでも近づけてくるやないか。←僕が認識していない限り意味なき主張になる
なんでそんなこと言われなあかん。←油断が大きな悔やみとなるから伝えているだけ
別にいいけど。困った事態になるのはあなたであって僕ではない。
僕はその犬が問題ありと認識できたから、今後はできる限り避けて散歩する。
でもうっかり近づくことがあっても、わざわざ引き返すようなことはしないだろう。
せいぜいがリードを短く持ち替えすれ違いを図る。
避けようのない所で出くわしたくないなと思っている。
こういう人に限って、すれ違い時でもリードを短く持ち替えたりしない。
飛び掛かって後、あわててリードを引くのだ。
ほんとうなら他の犬が来たらリードを短く持ち、
犬の自由度を制限し、座らせるか伏せさせるか、あるいは静止し、
声を出せば鋭くしかり、静かにしていればほめる。
そんな日常を作り出さないといけない。
たとえ挨拶が上手な犬になっていたって、
他の犬と触れ合わせるなら初回は互いにリードを短くしてあいさつさせ様子を見る。
落ち着いてあいさつできる犬にしないといけない。
友好的な犬でも最初から大はしゃぎするのは危険なんだ。
さて今回であった人は、たぶん今後も同じように油断して(自分本位な解釈)で、
また自分の犬から目を離してしまうのだろう。
でも問題を抱えた犬と認識していない人なら
僕の様に声を掛けることなく通り過ぎようとされるかもしれない。
その時吠え掛かれば、運が悪ければ事故が起きる。
その方たちが自身の考えで責任はないと主張されても、
その主張は却下されると考えてよい。
結果、著しい不利益を被る羽目となったって、おら知んね。
可愛いから飼うなんて気楽に考えているととんでもないことになるかもしれない。
ちゃんと躾けていたって刑法にはかからなくたって、
民事では損害賠償を求められる。
完全無欠でいられる飼い主は少数だ。ほとんどいないだろう。
犬を飼い始めるなら、個人賠償責任保険には加入したほうがいい。
大きな賠償責任が課せられても助けになる。
加入にあたっては、免責事項をよく確認しておくのも忘れずに。
著しい過失(重過失)などには免責事項が設けられているかも。
今回の僕が出会った事案なら、重過失と認定されるかもしれない。(未確認)
(他の犬にかかると知っているのに、公道上で管理を怠ったという)
長年犬と暮らしていて知っているつもりの人でも、
40年前と今じゃ判断が随分と厳しくなってることに気づいていない。
40年前なら飼い主に責任はないとされていたことが、
今では責任があるとされていることが多い。
どうか今一度自分たちの普段の行動に油断がないか確認されるよう。
この僕にしたところで、普段している行動のいくつかで油断がある。
推して知るべし。
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