さびしい。 ― 2007-06-01
MIXIを見ていたら、下に紹介するリンクがあった。
http://www.animalpolice.net/jititai/himawari/
どうやら、この内容に感銘を受けたらしい。
確かに、犬と一人のヒトとの関係だけを追えば美談である。
ところが視点を上げれば美談は醜聞にになりかねない危うさを持つのだ。
サイトを見ていただければよいが、
あえて文章にすれば以下のようになる。
ある野犬の親子がいた。母は捕獲に際し自分だけなら逃げられたのに、
幼い子を守るため共に捕獲され、愛護センターへと送られた。
母犬はヒトに対して攻撃性が強く譲渡にも適さず、
殺処分を待つだけの身の上となった。
だが、子を思う母犬の姿に感じ入る施設は、
せめて離乳までの期間、母犬を生かすことにした。
それでも日一日、殺処分の日が近づいてきた。
このままでは処分される。
しかし、ある日母犬の犬舎には「殺さないで」との掛札が、
職員の一人が、母犬を引き取る決意を固めたのだ。
攻撃的だった母犬は職員にこころ開き、
優しい表情を見せるまでになったのです。
一組の野犬が、「奇跡の犬」となったのです。
優しい職員がいてよかったね。命永らえてよかったね。
この後、幸せをつかむんだよ。
と、ばかりの感動をきっと感じるだろう。
ぼくだって、いい話だとは思う。不特定多数が見ないのであれば。
この物語は、語られない限りにおいての美談でしかない。
語った瞬間から、問題が生じてしまうのだ。
少し視点を上げてほしい。
一組の野良犬ではなく、愛護センターに集められた犬の集団にまで。
もっと多くの全国の散在するセンター全部にまで上げて欲しい。
そうすると物語はたちどころに変容していく。
この職員がとった行動は、人としてはいいのかもしれないが、
多数の問題を抱えてしまうのだ。
処分施設の運用に例外が存在することを知らせ、
施設の職員なら、殺処分の延期ができると錯覚させ、
職員が引き取ったことで、他の職員を相対的に貶めてしまう結果を招く。
身の親子以外の犬はどうして引き取らないのとの疑念も生まれる。
誰も救わないのは冷たい職員との誤解さえ与えかねず、
引き取った職員は人道的な存在で、
引き取らない職員は冷血漢のように捉えられる道を開く。
全国で働く施設の人たちにとっては、
この物語が、語られたがために、差別的に見られることすらあるのだ。
アニマルポリスを設置しようという人が、
こういうケースを美談の仕立て上げ、
人の目を処分場に向けざるを得ない現状というのは、
どこかおかしい。どこか間違っている。
捨てないこと、正しい飼育を心がけること。
これさえ守られていたなら不必要な美談。
こういう取り上げ方をしなければならない日本の現状、
さびしいね。
http://www.animalpolice.net/jititai/himawari/
どうやら、この内容に感銘を受けたらしい。
確かに、犬と一人のヒトとの関係だけを追えば美談である。
ところが視点を上げれば美談は醜聞にになりかねない危うさを持つのだ。
サイトを見ていただければよいが、
あえて文章にすれば以下のようになる。
ある野犬の親子がいた。母は捕獲に際し自分だけなら逃げられたのに、
幼い子を守るため共に捕獲され、愛護センターへと送られた。
母犬はヒトに対して攻撃性が強く譲渡にも適さず、
殺処分を待つだけの身の上となった。
だが、子を思う母犬の姿に感じ入る施設は、
せめて離乳までの期間、母犬を生かすことにした。
それでも日一日、殺処分の日が近づいてきた。
このままでは処分される。
しかし、ある日母犬の犬舎には「殺さないで」との掛札が、
職員の一人が、母犬を引き取る決意を固めたのだ。
攻撃的だった母犬は職員にこころ開き、
優しい表情を見せるまでになったのです。
一組の野犬が、「奇跡の犬」となったのです。
優しい職員がいてよかったね。命永らえてよかったね。
この後、幸せをつかむんだよ。
と、ばかりの感動をきっと感じるだろう。
ぼくだって、いい話だとは思う。不特定多数が見ないのであれば。
この物語は、語られない限りにおいての美談でしかない。
語った瞬間から、問題が生じてしまうのだ。
少し視点を上げてほしい。
一組の野良犬ではなく、愛護センターに集められた犬の集団にまで。
もっと多くの全国の散在するセンター全部にまで上げて欲しい。
そうすると物語はたちどころに変容していく。
この職員がとった行動は、人としてはいいのかもしれないが、
多数の問題を抱えてしまうのだ。
処分施設の運用に例外が存在することを知らせ、
施設の職員なら、殺処分の延期ができると錯覚させ、
職員が引き取ったことで、他の職員を相対的に貶めてしまう結果を招く。
身の親子以外の犬はどうして引き取らないのとの疑念も生まれる。
誰も救わないのは冷たい職員との誤解さえ与えかねず、
引き取った職員は人道的な存在で、
引き取らない職員は冷血漢のように捉えられる道を開く。
全国で働く施設の人たちにとっては、
この物語が、語られたがために、差別的に見られることすらあるのだ。
アニマルポリスを設置しようという人が、
こういうケースを美談の仕立て上げ、
人の目を処分場に向けざるを得ない現状というのは、
どこかおかしい。どこか間違っている。
捨てないこと、正しい飼育を心がけること。
これさえ守られていたなら不必要な美談。
こういう取り上げ方をしなければならない日本の現状、
さびしいね。
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