サッカーボーイズ14歳 蝉時雨のグラウンド2011-09-13

はらだみずき    角川文庫    590円(別)

サッカーボーイズ ―再会のグラウンド
http://kumaneko.asablo.jp/blog/2009/08/08/4487988
サッカーボーイズ13歳 雨上がりのグラウンド  はらだみずき
http://kumaneko.asablo.jp/blog/2011/07/19/5962827
に続く第3作。

すでに次作「15歳 約束のグラウンド」も
この夏に単行本化されている。とても優れたサッカー小説。
少年たちのサッカーに対する思い、
うまくなりたい、勝ちたいという気持ちもよく伝わってくる。
一人一人の成長の過程も楽しみな作品となっている。

子供の本にとどまっていては惜しい。

本作での読みどころは、
野球部に入部した元キーパーのオッサが、
サッカーでし残したことがあると入部したものの、
意欲の割には集中力に欠き、
試合で致命的なミスを犯し負けてしまう。
そのオッサの悩みをめぐる仲間たちのあり方にある。

時に残酷な子供社会での仲間のありようが、
ちゃんとした道筋さえつけられたなら、
うまく収まることがある。
本作でも、野球部とサッカー部のリーダーたちが仲立ちをすることで、
余計な大人の鑑賞が最低限に抑えられた結果、
心の傷を最小に抑えた形で収束させている。
このあたりはよくできている。
著者自身の、今の世のありように対する皮肉とも受けとれる。

1964年生まれのおっさんなのに、子供の目線で書けてける。
自身も現役草フットポーラーということなので、
子どもとサッカーを通した交流から描けているのだろうか。