オーディオ遍歴2015-09-12

半世紀前の少年、中でもナンパ系の男たちにとって、
憧れというか、ステイタスは
音楽関連、カメラ、バイクだった。
バイクはやや硬派寄り、
音楽関連はナンパの中のナンパ、
カメラはおたくのはしり。
そんな風だったような気がする。
スポーツに汗を流す男たちとは別な道にいた。

で、ケンカなどからきし、楽器はうまくないから、
おっつけ聞く側に回るしかなく、オーディオに興味津々だった。
まあ、カメラもいじくってはいたけれど、
どっちかというとオーディオ派だったのだ。

子供のころ家にあったのは
山水の家具調ステレオセット。
真空管アンプに、リムドライブのプレーヤー、
トーンアームはカートリッジ交換なんてできやしない。
プリメイン+チューナーが一つの筐体に入っているレシーバー。
スピーカーは見た目こそ立派なグリルがついているけど、
オールコーンの2ウェイで、ボイスコイルも小さく、
今思えば、いい音だったとは思えない。
それでも、子供が扱えるのはポータブルプレイヤーぐらいだったから、
とっても憧れていた。
初任給が一万円もなかった当時に
数万円もする機材だったから、
子供が勝手に触ろうものなら殴られかねない。
たまに聞かしてもらえるくらいのものだった。

CD4など4CHがはやったころ、
山水のものから音響のステレオセットに変わった。
アンプはソリッドステイトに変わり、
プレイヤーはS字トーンアームでカートリッジ交換も可能。
でも、やっぱり家具調のままだった。
単品コンポを組むというのは通人にのみ許された趣味の世界だった。
後年、壊れたときに調べてみたら、
スピーカーは吸音材は入っていたけれど
やっぱりオールコーンだった。

お年玉をため込んで、初めてコンポを買ったのは1972年か1973年。
世の中が急激な右肩上がりの時代。
友人たちも、ちらりほら、りコンポを買いだしていた。
僕の初めてのセットは、
プレーヤーがCEC STP-95(補記 型番はBD-200あたりのようだ。)
アンプがONKYO integraA-755(766だったような気もする。)
スピーカーがCORAL BL-3
全部で9万円くらいだったと思う。

このセットに決めるまで、
当時入り浸っていたレコード屋の対象から情報をもらい、
友人たちと情報交換し、あるいはセットを聞かせてもらい、
資金で買えそうな候補を絞り込み、
最後は日本橋に行って、店のオッチャンに頼んで聞き比べ、
数か月悩んで、悩んで、そして決めた。

ここから、無駄遣いと言われても仕方のない遍歴が始まる。