パリの獣医さん (上)2007-03-15

ミシェル・クラン  早川書房  640円

獣医ものといえば、ドリトル先生が一番に思い起こされ、
それからしばらくしてヘリオット先生ものを思い出す。
ドリトル先生シリーズは、子どものころに呼んで感動した覚えがあるが、
どんな内容だったのかは霧の中にある。
ただ、動物語を解する不思議なお医者さんと動物たちの交流に
わくわくしたのは覚えている程度だ。
ヘリオットものは、現実の獣医現場で出会った動物治療を物語風にしていて、
人と動物の心温まるあったかい物語となっている。
どちらも心に何かが残るすばらしい著作だ。

さて、「パリの獣医さん」はフランスでも有数の獣医であるクラン氏が、
日々の現場での出来事をエッセイとしてつづっているものである。
ドリトル先生のような娯楽性、ヘリオット者のような交感劇とは、
少し様相を異にする。
もちろん、こころが温かくなる話もわんさかと書き込まれているが、
クラン氏とペットの微妙な関係に部分が割かれていたり、
ペット業界の裏側や家畜業の実態なども描かれている。
また、ペット・ポーターや零細ブリーダーへの批判的な分析も含まれている。
先に挙げた作品とは違った意味で、ためになる著作となっている。

上巻での読みどころとしては、個人的に、以下が読み応えがありました。
クラン氏は患畜をたびたび自宅に預かったり、引き取ったりしています。
そのとき、新参者がどのようにクラン氏一家の仲間入りをするのか。
リーダーとしての力量とはどこにあるのか、など
多頭飼育現場で観察されたことをそらっと記しているところ。
新参者はクラン夫人になつき、何故かく乱しになつかない。
その原因を理性的に、多分に嫉妬交じりに、分析しているところが注目です。

パリといっても郊外の家畜を扱うクラン氏の活躍はすごい!

これで訳文がもっと柔らかだったら、万人に勧めるのに。
翻訳ものが苦手でなく、動物好きさんがいたら、花丸をつけて薦めます。

会計報告が載せられた2007-03-15

ひろしまドッグぱーくの会計報告がアークエンジェルズのHPに掲載された。
http://ark-angels.jp/associate05-2.html
細かな不思議は置いておくにせよ、とりあえず発表した。
この発表を12月か1月にしていたなら、
それで人のいい支援者は納得しただろうに、
今頃になって出すから、税理士がまとめていたって信じない。
これで終わりにしたいのだろうけど、
騙されたと思っている人たちは追及の手を緩めてくれないと思うよ。
僕もその行動を支持したい。
日本での疑わしい募金活動を根絶させるためにもね。

うちの死んだ親父は税理士だったから、
会社から出された資料が法律の範囲にあれば、依頼者の申告に従って会計処理し、
不自然な経理処理がなされていないかは見ても、
資料が揃えられていたら、違法性を発見しない限り、
顧問先の利益になるよう処理すると知っている。
税理士は、基本的に税務処理として適切であるかを見極める職業だ。
収入と、経費が正しく、税務申告上正しければそれでいいのである。
もちろん粉飾等あれば是正するのだろうが、
今回の募金については、総額に偽りがなければ、
項目まで入金状況を調査しているかまではわからない。

まあ、税理士ともあろうものが、団体の虚偽報告に協力するとは思えないが、
シェルター基金と一般募金・ひろしまドッグぱーく基金に分けるのは、
事実上は不可能に近いと思うので、
過去の募金額から見て振り分けたか、
単にAAの申告に基づいて仕分けしたに過ぎないのだろうと思っている。
寄付金の総額と、会の経費とが合い、税務申告上違法とはいえなければ、
税理士としての職責は全うしているのだと思う。

10月の入金が9000万円に達するといっていたが、
この段階ではシェルター基金は大きく宣伝していなかったので、
ホームページを隅から隅まで見た人でも、
ひろしまドッグぱーくの犬を助けたいと思ってAAのサイトを見ていたので、
募金に対するシェルター基金が4割にも達するとは思えないのである。
税理士の職業観から見たら、寄付がなにに対してなされたかは、
大きな問題とまで認識して仕分けを求めるとは思わない。
誤解なら税理士には、とても申し訳ないことだが…

大体AAはシェルター基金の目標額も掲げていなかったし、
会計報告にシェルター準備金の残高も提示されていなかったのである。
そんなにたくさん突然理解してもらって増えるはずはないだろう。

それにしても、マスコミ会見で行った1000頭規模のシェルター構想はどこに行ったのだろう。
依然僕は荒唐無稽な大言壮語と断言している。
http://kumaneko.asablo.jp/blog/2007/02/08/1170742
林代表は620坪の土地を用意して、すでに犬舎を建てているそうである。
名義も気になるところだが、
わずか2000平米ちょいでは、100頭規模でも難しい。
人間の居住スペースや駐車場などなければ、
ぎりぎりの大きさだとは思うが、
そんな近所迷惑はできないでしょ。

特に、ブルセラ感染犬を隔離して治療する施設として発表されているから、
かなり土地としては手狭と思いますが?