わが身世にふる、じじわかし2008-01-01

芦原すなお    東京創元社   552円

ミミズクとオリーブ  
http://kumaneko.asablo.jp/blog/2006/06/05/394274
嫁洗い池  
http://kumaneko.asablo.jp/blog/2006/07/26/462503
に続くシリーズ第3作。

作家の悪友、河田警部が持ち込む事件を、
家から一歩も出ずに妻が推理する安楽椅子探偵ものといえる。

この作品集の魅力は、料理の数々と、
作家と警部の掛け合い漫才のような会話。
で、さまざまに脱線しながらも、事件を語るうち、
女性ならでは気づける些細な事実から、
事件が解決に導かれていくのが心地よい。

芦原作品に共通するのは、事件が軽いという点があるものの、
本来後手後手とかけるトリックや謎解きを、さらりと流す点だ。
結構トリックとしては難しいもので、
いろんな要素を加えたら、長編になろうかという題材を、
30ページから40ページで描いているところだ。
心理描写もくどいことはせず、さらりと語らせるから、
陰惨な事件なのに残酷さは希薄。後味も悪くない。
次回作品集が出版されるのが待ち遠しい。

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