【動物虐待監視委員会】を読む2009-03-19

「動物虐待監視委員会」
http://kumaneko.asablo.jp/blog/2009/02/05/4100289
と、題して以前書いた。
そのとき時間があればとしていた記事となります。
とっても長い文になります。途中を読むのがめんどくさければ、
記事末から数えて5つくらいの塊だけ読んでください。
《ずばり一言で言おう》との部分以降です。
そこだけ空間を大きく開けています。

前回、記事にした折、指摘していた通り、虐待の定義はありません。
それだけですでにおかしいのですが、
仔細に読み込んでいけば、全体に首尾一貫性がなく、
これまで発信し続けていた発信にすら反することが書かれているなど、
もう、とても、語らずにいたほうが、どんだけましかという程度の代物となっています。

アークエンジェルズの活動趣旨などは、
それが心底からのものか疑わしい時もありますが、
文脈に揺れもなく、よくできたものになっていました。
定款も、将来のNPO法人化に向け準備していたものではあっても、
条文が欠落しているという欠陥を除けば、整合性のあるものでした。
用意した文言に対して活動が付いていけなかったというだけのことでしょう。
だから、司法の場において、団体として成り立っていないと判断されたわけです。

そのアークエンジェルズから独立させた「動物虐待監視委員会」の設立趣旨と会則は、
まさに疑問の宝庫と呼んでよい体裁になっています。
読み込んでいこうと思います。お付き合いいただく方は覚悟を決めて読んでください。

成立に至る経過。
12月5日付「ずばり一言」で、動物虐待監視委員会の創設が発表された。
その中で林代表は「諸悪の根源は、元から絶たなければ駄目です。」と述べている。その通りだ。
そして続けて書く。「アーク・エンジェルズは、こういった情勢から鑑み、民間レベルでどこまで実践できるかはわかりませんが、官民一体となって監視活動の強化を模索してまいりました。」と。
しかし、肝心の大阪・滋賀での官民共同作業の実績は、
これまで発信されていなかったと感じている。
むしろ官排除とも思える行動も多々見られる。
たとえば和泉市ブルセラ犬。たとえば福岡54頭。たとえば兵庫。
はっきりとした官との連携の証がない。
官民共同のモデルケースとするなら、
それらの官からの発信があるはずなのに、見受けられない。

そうした状況が背景にありながら、さらに続けて、
「このたび、団体の活動の延長として保護収容した犬は保護シェルターにて保護管理し、レスキュー活動は新たな組織でレスキューチームを組織し活動を分離させることとしました。無くならない劣悪環境の施設からの救済を第一目標として活動を今以上に強化いたします。」
と、するのである。
アークエンジェルズの活動趣旨からはなれたことを意味するものだ。

アークエンジェルズの活動内容
http://ark-angels.jp/associate02.html
では、「飼主が無く、捕獲・収監された犬・猫たちの最終処分施設からの救出を最重要課題として活動します。もう、彼らには生きる権利が無いのです。」と、していた。
こちらの路線が官民協力への近道だというのに、捨ててしまっている。

「悪質なブリーダーの監視も今後徹底し、併せて行います。繁殖場の施設監視を行い適切な飼育環境の指導を実施し、不適切な場合は改善要求をしていきます。施設改善を業者が受け入れない場合は毅然とした対応を行い告発も辞さない覚悟で監視活動を実践していき、劣悪環境から犬たちを救い出し健全な環境作りに貢献します。」
引用部分も12月5日付の発信だ。
捜査権はおろか立ち入り調査能権さえ付与されていない一民間団体が、ご大層に発表してもなんの強制力もない。
立ち入りを拒まれたらおしまい。
立ち入りを拒まれただけで告発なんてできるはずもない。
一民間人の訪問を断るのは罪ではない。
繁殖施設への立ち入り調査が官でさえできないのに、
なにを吠えているのかと思う。
結びの言葉
「アーク・エンジェルズは不遇な環境下にいる犬たちを救う為に、立ち上がります。」
もはや処分場の犬は眼中にないのですか?

2008年12月31日付でアップされた「新年のご挨拶」
http://angels1947.blog104.fc2.com/blog-entry-145.html
でも、「動物虐待監視委員会」について言及がある。
この中では次のように述べる。「アーク・エンジェルズは政府、環境省の動物愛護推進政策を支持し、本年より独自に「動物虐待監視委員会」を創設し、遺棄されたり虐待に遭っている動物たちを救うべく立ち上がりました。」とし、さらに「年末に市長と面談し、話し合い、真摯な謝罪を受け誤解が解けて、共に動物愛護活動の推進に理解を得ることが出来ました。本年は高島市、滋賀県共に官民一体となって活動を推進し全国初のモデルケースとなるべく活動を開始する運びとなります。
私、林 俊彦は一命を懸けて日本の動物愛護活動に精進いたします。動物愛護に関して尚、一層の邁進となりますように」と、述べている。
アークエンジェルズに謝罪したとされる市長は落選し新市長となり、
滋賀県は多頭飼育に関する条例が施行されるなど、
むしろ林氏の描く将来像とは異なった世界となっているやに見える。
そして推進のため精進の正体は、後ほど触れよう。

1月1日付で、【動物虐待監視委員会の創設】が立ち上げられている。
http://ark-angels.jp/topics14.html
1月1日が「動物虐待監視委員会」の正式発足となる。
この趣旨説明の中では、
これまで発信してきた内容と異なる発信が多数見られる。
「現在、遺棄や保健所に捕獲収容されている犬の半数は繁殖業者によるものだと言われています。」
などは、その一例である。
これままで一般家庭からの廃棄犬が多いと主張していたのに、
立ち位置を見事に摩り替えてしまっている。
長々と書かれている【動物虐待監視委員会の概要】は、
12月5日付の記事を要約したものとなっているにとどまっている。
捜査権も調査権もない民間団体に過ぎないものが、
「繁殖場の施設監視を行い適切な飼育環境の指導を実施」
と表現したり、
「ブリーダーの健全な施設維持監視と適切な繁殖を指導監視する」
とするのは、著しく誤解を持たせる表現となっている。
「動物虐待監視委員会」には、
そうしたことを行う権限は付与されていない。
ブリーダーが協議会を組織した上で、
掲げるべき程度の自主基準でしかない。
ブリーダーが全国的組織として、
適切な指標を示すことができないという点には同意するものだが、
動物保護団体の主張とするには無理がないか。個々人の判断を待つ。

ここで活動として挙げられているのは3点。
1 目標監視地域を限定し、その地域内の繁殖場を視察訪問し施設の環境を検分します。改善点を指摘し改善要求を行い3 ヵ月後に再度訪問し適切に改善がなされているかのチェックを行います。指摘どおりの改善がなされていた場合は、優良店としての認定を行います。
2 改善要求の拒否や適切な改善がなされなかった場合は、動物愛護に関する法律に基づき行政に通報し行政による指導、勧告、命令を要請し厳しく告発を行います。
3 また協力優良店に認定された業者には、団体より推薦を行い且つ優良店マークをつけ公表します。協力優良店には活動協力店として当会(動物虐待監視委員会)に入会して協力して頂きます。

僕の考えとしてはそれぞれに対して以下。
1 については、
本来なら保健所などの管轄であり、民間団体が代行をするためには、
法律の制定が不可分となる。
捜査権も調査権もない民間団体に立ち入りをする権限はない。
優良店認定に関しても、
繁殖工場の未来への営業が前提されたうえでのこととなり、
繁殖工場生産に対して反対を唱えていることと、
どのように整合性を建てるのか不明だ。
そもそも適正施設の定義が明らかにされていないため、
「動物虐待監視委員会」の恣意性が、
入り込むようになっているところで、優良店認定に効力が存在しない。

2 についても同様である。
適切、適正な施設の定義がない以上、
告発はすれど効果は挙がらずとなる。
調査に行ったものの気分ひとつで決まるなんてことでは意味がない。

3 優良店認定をしたらどこの団体に推薦するのか。
優良店マークはどこが発行するのか。説明がない。
さらに「動物虐待監視委員会」への入会を義務付けていると読める。
推薦するべき「団体」は「動物虐待監視委員会なのであれば、
どういうことであるかわかりますよね。

僕の見解を加味して文を再構成すれば聖者は別としてこうなる。
1 目標監視地域を限定し、その地域内の繁殖場を【地域の保健所などと連携を取り】視察し施設の環境を検分します。【保健所等に】改善点を指摘し【ていただき】改善を【指導していただきます】。【保健所等は】3 ヵ月後に再度視察し適切に改善がなされているかのチェックを行います。指摘どおりの改善がなされていた場合、【また【動物虐待監視委員会が設定する施設用件をクリアしていれば】優良店としての認定を行います。
2 改善指導の【効果が見られなかった場合は】、動物愛護に関する法律に基づき【保健所等と連名にて所轄上級官庁と警察に告発し、速やかなる捜査を求め、施設管理者に対し法に則った処罰を含めた措置が図られるよう取り組みます。】。
3 また協力優良店に認定された業者には、【動物虐待監視委員会】より推薦を行い且つ【動物虐待監視委員会が発行する】優良店マークをつけ【動物虐待監視委員会のホームページ、会報などに】公表します。協力優良店には活動協力店として当会(動物虐待監視委員会)に入会して協力して頂きます。
1と2にか書かれている内容と、
3に書かれている内容は異質すぎて繋がりません。

【動物虐待監視委員会】は
「発起人 
動物愛護団体「アーク・エンジェルズ」代表 林 俊彦 
動物虐待監視委員会」
として結ばれています。
設立発起人だけが記されているのだが、発起人としていながら、
設立する団体の名を記載するという意味不明なものが入っている。

それに寂しい限り。
発起人代表が林代表であるのはともかくとして、
発起人・賛同者は一人も連名していない。
賛同者が一人もいなかったということなのか。
いるが林代表と一緒に名を連ねるのを拒んだのか、
どうとでも取れる。
【動物虐待監視委員会】は結構大掛かりな仕組みのものといえる。
これまでアークエンジェルズの活動を、
影に日向に支えてきた多くの団体代表者たち。
【ひろしまドッグぱーく】での協力団体なども多い。
日本にアニマルポリスを誕生させよう!!、千葉ワン、
またたび獣医師団、大波の会、動物命の会いわて、
財団法人どうぶつ基金、くすのき動物病院、
その他錚々たるメンバーが、
アークエンジェルズにエールを送り続けている。
そうした者はアークエンジェルズが正しい活動と認識しているはず。
賛同していたとしても不思議はない。
なのに、それらの方は賛同者・会員としてひとりも参加されていない?
会費が高額だから賛同者・会員に入れないのかもしれない。
が、それにしても不思議な「動物虐待監視委員会」である。

勘ぐれば
『* ペット購入者への推薦
* リタイア犬の引き取り(有料)
* 全国ペット小売業協会、JKCへの推薦
* ボランティア紹介
* ドッグフードの販売
* 広報誌発行}』
との活動内容も怪しく見えてくる。
AAで募って、販売するなんてことだけはしないで欲しい。

まあ、他にもいろいろ変なところがあるが、
このページについての読み込みはここまでにしておく。

動物虐待監視委員会 入会申込書
http://ark-angels.jp/kansiiinkai-mousikomi(net).pdf
先の【動物虐待監視委員会の創設】と合わせて読むと、
ますますわけがわからなくなること必定。

「動物の遺棄、虐待を未然に防ぎ劣悪な環境下に飼養されている動物を救い出し、治療を行い健康体に戻し一般家庭にて終生飼養されるように活動します。
繁殖施設の改善及び動物取扱業者の資質向上、飼い主のマナー向上を推進し動物愛護に関する法律の遵守を監視、指導し殺処分ゼロを目指します。」
しつこく指摘しておくが【動物虐待監視委員会】には、指導する権限はない。監視はできるが市指導する権限がないのに指導と書くのは誤解を招く。これも何度も言うが、五階を招くよう文を配列していると考える。殺処分ゼロを目指すために行うのではなく、殺処分ゼロを目指すから行うのである。
書くとしたら、
「動物の遺棄、虐待を未然に防ぎ劣悪な環境下に飼養されている動物を救い出し、治療を行い健康体に戻し一般家庭にて終生飼養されるように活動します。
また、殺処分ゼロを目指し、動物愛護に関する法律の遵守を監視し、飼い主のマナー向上と繁殖施設の改善及び動物取扱業者の資質向上を推進させるよう取り組みます。」
似たような文面でも、少し違う。わかるかな?







ずばり一言で言おう。
【動物虐待監視委員会】は、体裁を急いで作り上げたのはよいが、本音が透けて見えすぎ。
繁殖工場のための救済機関でしかない。

<悪質繁殖業者からのレスキュー白書>
http://ark-angels.jp/resukyu-hakusyo(net).pdf
林代表の書いた報告に、次の文が載せられている。

~略~ 長い歴史をもつJKC、ペット小売業協会が犬の血統を守るだけではなく全ての愛玩動物の愛護に向けて奮起されることを願っております。
私たち民間動物愛護団体でもシェルター施設を持ち、出来うる限りの救済活動を継続しておりますが、全体的には微々たる活動にしか過ぎません。
動物愛護に携わる業界として、動物愛護団体とペット関連業界とは敵対関係ではなく相好に協力しあう必要が急務であり、動物虐待を監視する組織として悪質業者の淘汰を実施することが求められるのです。<アニマルシェルター新設への協力>
非営利目的のシェルターを支援し、動物管理センターで殺される犬猫の保護・飼育・譲渡活動を支援することでブリーダーのイメージと動物愛護の向上を図る。
非営利事業をブリーダー事業の中に位置させることは、今までの劣悪業者のマイナスイメージを払拭させ、動物の命を売買するペット小売業界にも有利に働き、飼い主意識の向上に繋がり、動物愛護に寄与することにも繋がる。強いては将来の日本を背負っていく子供たちへの「生き物の命を大切にする」という情操教育にも貢献することになる。これが本来の動物愛護であると確信しています。

この文に、
「また協力優良店に認定された業者には、団体より推薦を行い且つ優良店マークをつけ公表します。協力優良店には活動協力店として当会(動物虐待監視委員会)に入会して協力して頂きます。」
を並べてみれば見えてくるものは一つだ。

いつまで言葉遊びに振り回されていくのだろう。

この記事を最後に27日まで冬眠いたします。
アークエンジェルズ関係から離れて心のケアを行います。
次に書くのは裁判傍聴記になると思います。
AA関連でお越しの皆様、しばらくお休みなさい。