ニホンブンレツ ― 2009-05-19
山田悠介 文芸社 1100円
山田悠介の作品は、
なんかどこかで読んだなあとおもわせる作品の『親指さがし』
http://kumaneko.asablo.jp/blog/2005/12/09/171804
作家としてなっちゃいないと酷評された『リアル鬼ごっこ』
http://kumaneko.asablo.jp/blog/2006/09/20/530815
の二作品しか読んでいない。
『リアル鬼ごっこ』の場合、ぼくが読んだのは文庫版で、
大幅な構成が施されたものだということだが、
それでさえ隠しきれない矛盾や誤字が含まれていたので、
『なっちゃいないと』されたのも止むなしだろう。
他にもいろいろと作品を知っているような気はするが、
たいていの場合コミック化されたものという辺りが、
この作家の特徴を表しているという気がしないでもない。
文字であるよりも映像化したほうがわかりやすい。
山田悠介は頭に浮かんだ映像を文字翻訳する作家なのではないか。
原作より、漫画のほうがしっくりする稀有の作家だ。
と、褒め言葉にもならない言葉を、
成長していない作家への賛辞としてあげておこう。
さて、「ニホンブンレツ」は、近未来が舞台設定。
東京都知事が東京以外はみんな地方として、
大阪など黙って中央に従っていればよいとの発言に反発が起きる。
その上あろう事か現職府知事を過激派が暗殺する。
後継府知事は138度線で交通遮断、経済封鎖を断行し、
ここにおいいて東西分裂が開始となるわけである。
主人公は広島出身の小学校教諭・博文。
同県人の恋人が分裂により西日本に残ることとなり、引き裂かれてしまった。
会いたい思いが募る中、領有を争う島の奪還のため召集されることとなる。
心ならずも戦闘で他人の命を奪いつつ生き残るが、部隊は全滅、一人生き残る。
撤収すべきとき、天啓を得、西への帰還を試みる。
試みが成功し、福岡に降り立った博文は、正体の露見を恐れ逃走を開始する。
そして変わり果てた西日本の状況に驚くこととなる。
実験エリアとされた中国地方は無人となっていた。
そして西日本は貴族・平民・奴隷に峻別された階層社会となっている。
九州が平民、四国が奴隷、近畿が貴族の住処とされていた。
逃走する博文は逮捕されたものの、元広島知事の父親により救い出され、
貴族として四国に奴隷の監視を仕事として派遣されることとなる。
そこで恋人との再会を果たすことになるのである。
つかの間の逢瀬を楽しむ二人に明日はあるのか。
と、いったところがストーリー展開である。
はっきり言って、よいところのないつまらない作品というのが印象だ。
すべてにおいて平板で広がりがなく、人物の実在性にも乏しい。
登場人物も生きていない。
テーマもない。もともと山田作品にテーマを望みなどはしないが、
この物語を書く以上、もっと人間同士の感情を掘り下げる必要があろう。
とにかく細かなところの瑕疵を暴き出せば膨大になる。
だから詳しく書かない。
こんなに読み終えたとき空虚な思いを抱いたのは、ほぼ初めて。
けなす気にもなりやしない。
スピードだけで読ませるしか能がない。
「東海道戦争」とカ「決戦日本シリーズ」に感じた斬新ささえない。
それでも売れるのだから、もう終わっている。
山田悠介の作品は、
なんかどこかで読んだなあとおもわせる作品の『親指さがし』
http://kumaneko.asablo.jp/blog/2005/12/09/171804
作家としてなっちゃいないと酷評された『リアル鬼ごっこ』
http://kumaneko.asablo.jp/blog/2006/09/20/530815
の二作品しか読んでいない。
『リアル鬼ごっこ』の場合、ぼくが読んだのは文庫版で、
大幅な構成が施されたものだということだが、
それでさえ隠しきれない矛盾や誤字が含まれていたので、
『なっちゃいないと』されたのも止むなしだろう。
他にもいろいろと作品を知っているような気はするが、
たいていの場合コミック化されたものという辺りが、
この作家の特徴を表しているという気がしないでもない。
文字であるよりも映像化したほうがわかりやすい。
山田悠介は頭に浮かんだ映像を文字翻訳する作家なのではないか。
原作より、漫画のほうがしっくりする稀有の作家だ。
と、褒め言葉にもならない言葉を、
成長していない作家への賛辞としてあげておこう。
さて、「ニホンブンレツ」は、近未来が舞台設定。
東京都知事が東京以外はみんな地方として、
大阪など黙って中央に従っていればよいとの発言に反発が起きる。
その上あろう事か現職府知事を過激派が暗殺する。
後継府知事は138度線で交通遮断、経済封鎖を断行し、
ここにおいいて東西分裂が開始となるわけである。
主人公は広島出身の小学校教諭・博文。
同県人の恋人が分裂により西日本に残ることとなり、引き裂かれてしまった。
会いたい思いが募る中、領有を争う島の奪還のため召集されることとなる。
心ならずも戦闘で他人の命を奪いつつ生き残るが、部隊は全滅、一人生き残る。
撤収すべきとき、天啓を得、西への帰還を試みる。
試みが成功し、福岡に降り立った博文は、正体の露見を恐れ逃走を開始する。
そして変わり果てた西日本の状況に驚くこととなる。
実験エリアとされた中国地方は無人となっていた。
そして西日本は貴族・平民・奴隷に峻別された階層社会となっている。
九州が平民、四国が奴隷、近畿が貴族の住処とされていた。
逃走する博文は逮捕されたものの、元広島知事の父親により救い出され、
貴族として四国に奴隷の監視を仕事として派遣されることとなる。
そこで恋人との再会を果たすことになるのである。
つかの間の逢瀬を楽しむ二人に明日はあるのか。
と、いったところがストーリー展開である。
はっきり言って、よいところのないつまらない作品というのが印象だ。
すべてにおいて平板で広がりがなく、人物の実在性にも乏しい。
登場人物も生きていない。
テーマもない。もともと山田作品にテーマを望みなどはしないが、
この物語を書く以上、もっと人間同士の感情を掘り下げる必要があろう。
とにかく細かなところの瑕疵を暴き出せば膨大になる。
だから詳しく書かない。
こんなに読み終えたとき空虚な思いを抱いたのは、ほぼ初めて。
けなす気にもなりやしない。
スピードだけで読ませるしか能がない。
「東海道戦争」とカ「決戦日本シリーズ」に感じた斬新ささえない。
それでも売れるのだから、もう終わっている。
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