新・世界の七不思議2006-08-18

鯨統一郎  東京創元社  700円

「邪馬台国はどこですか」
http://kumaneko.asablo.jp/blog/2006/07/15/445617
に続く、歴史ミステリーの第2集。
新進気鋭の世界史学者にして美人という早乙女静香と、
雑誌ライターの宮田六郎、バー「スリーバレー」の雇われマスター松永が、
相も変わらず、夜毎歴史解釈バトルで大忙し。
前作が松永の視点で書かれていたのが、
三谷教授に代わって登場する、
ペンシルバニア大教授ジョゼフ・ハートマンの支店で描かれる。

ピラミッドとかナスカの地上絵・アトランティスなどのなぞを、
宮田と静香のバトルで新解釈がなされる。
七不思議というだけあって、七つの短編が収録されています。

ハートマン教授は、学会で来日しています。静香に岡惚れしている模様。
学会終了後、スリーバレーに静香とともに立ち寄り、
宮田と静香の論争に立ち会う。当初、静香を応援していたジョゼフも、
毎夜繰り広げられる論争の帰結を見て、次第に宮田への見方を改める。
と、同時に静香の意外な一面を見出す。
ジョゼフの見立てだと、宮田と静香は案外いいコンビに映るらしい。
前作に比べると、静香がやや普通の人に近づいたように思います。

肝心の七不思議の解釈ですが、前回のものに比べると、
意外性・必然性ともに苦しいです。
毎夜1テーマという設定で、7夜目にトータルな結論が描かれますが、
そこでの結論はまさに我田引水。荒唐無稽。
それでも、薀蓄はいっぱい入っているし、
知ってるつもりの事柄の整理をされてみると、
僕たちは、何も知りはしないのだね、と気づかされます。
あほくさいながらも、大変愉しい一冊です。

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