陽気なギャングが地球を回す ― 2006-09-25
伊坂幸太郎 祥伝社 880円(込み)
日本では、軽妙でユーモアを感じるような悪漢小説って、見かけない。
なんだか鬱陶しいしがらみにまみれた小説が多くて、
からっとした小気味良い物語が少ないように思う。
そうした中で本書は貴重な味を見せつける。
まるでアメリカ中西部ののり。映画化に最適。
現に映画化されて公開されたあとだし。
うそを見破る名人。演説が巧みなうそつき名人。
すりの名手にして自然至上主義者。体内時計を有し名ドライバーの子持ち女。
と、ある事件で結ばれた4人の特別の才能が、
銀行強盗をまじめに取り組むこととなった。
人を殺さず盗むためには、すばやく威圧、すばやく巻き上げ、すばやくずらかる。
成功率100パーセント。
ところが現金輸送車強奪犯とニアミスをし、せっかく奪ったお宝を横取りされる。
果たして4人組は奪回を計画し、活動を開始する。
入り組んだ人間関係というほどでもないが、
銀行強盗をする4人と、現金輸送車襲撃犯には人の接点がある。
この接点を見破るのに、人間嘘発見器とすりの名手の技が炸裂する。
スピード感に飛んだ話の展開は飽きさせない。
読むのが愉しくなる一冊だ。
日本では、軽妙でユーモアを感じるような悪漢小説って、見かけない。
なんだか鬱陶しいしがらみにまみれた小説が多くて、
からっとした小気味良い物語が少ないように思う。
そうした中で本書は貴重な味を見せつける。
まるでアメリカ中西部ののり。映画化に最適。
現に映画化されて公開されたあとだし。
うそを見破る名人。演説が巧みなうそつき名人。
すりの名手にして自然至上主義者。体内時計を有し名ドライバーの子持ち女。
と、ある事件で結ばれた4人の特別の才能が、
銀行強盗をまじめに取り組むこととなった。
人を殺さず盗むためには、すばやく威圧、すばやく巻き上げ、すばやくずらかる。
成功率100パーセント。
ところが現金輸送車強奪犯とニアミスをし、せっかく奪ったお宝を横取りされる。
果たして4人組は奪回を計画し、活動を開始する。
入り組んだ人間関係というほどでもないが、
銀行強盗をする4人と、現金輸送車襲撃犯には人の接点がある。
この接点を見破るのに、人間嘘発見器とすりの名手の技が炸裂する。
スピード感に飛んだ話の展開は飽きさせない。
読むのが愉しくなる一冊だ。
プチ哲学 ― 2006-09-25
佐藤雅彦 中公文庫 648円
「考える」ことを忘れていることがある。
新聞もテレビも口コミも、見せたいことを選んで伝えることが得意で、
僕たち一人ひとりは、見たい、事だけを見ようとしている。
情報だけは多いけど、一面だけしか見ていないことを忘れてしまう。
自分が何を見ているのか「考える」大切さを見失ってしまっている。
考えるということは、哲学の始まりといってよいらしい。
数学が哲学の一部というのは、なんとなくわかる気がする。
考えることで真理に近づこうとする人たちはつくづく偉大と思う。
僕などは、ヘーゲルやキルケゴールですら、
咀嚼できぬまま年を取ってしまった。
哲学なんてのは、できれば敬遠したいなと思っている。
だけど「考える」ことが大切だとはわかっているつもりなのだ。
「考える」ことが、相対的に苦手になってきているのが、
現代人なのかもしれないと思うことがある。
僕の生まれた時代に比べ、覚えなければならないことはどんどんと増え、
今の人は情報を追うだけで精一杯のようだ。
価値観が多様化し、情報は膨大になり、
何かを「考える」ことは、とても難しくなってしまったのだと思う。
だから、ろくに「考える」ことを試さず、安易に他者の意見に盲従し、
「考えた」気になって、最初に見えたものを結論と錯覚してしまっている。
このプチ哲学では思念をこねくり回したりせず、
他愛ない絵と文で、他愛のない話題を提供した上で、
ものの見方の多様性について「考えて」いる。
哲学の本が難しいと思う人ならば、「考える」時間が惜しいという人は、
本書に上げられる31の発見を読むとよい。
「考える」ことの大切さに、きっと気づくだろう。
ほんの少し見る位置を変えること、その風景から「考える」のは容易いのだ。
「考える」ことを忘れていることがある。
新聞もテレビも口コミも、見せたいことを選んで伝えることが得意で、
僕たち一人ひとりは、見たい、事だけを見ようとしている。
情報だけは多いけど、一面だけしか見ていないことを忘れてしまう。
自分が何を見ているのか「考える」大切さを見失ってしまっている。
考えるということは、哲学の始まりといってよいらしい。
数学が哲学の一部というのは、なんとなくわかる気がする。
考えることで真理に近づこうとする人たちはつくづく偉大と思う。
僕などは、ヘーゲルやキルケゴールですら、
咀嚼できぬまま年を取ってしまった。
哲学なんてのは、できれば敬遠したいなと思っている。
だけど「考える」ことが大切だとはわかっているつもりなのだ。
「考える」ことが、相対的に苦手になってきているのが、
現代人なのかもしれないと思うことがある。
僕の生まれた時代に比べ、覚えなければならないことはどんどんと増え、
今の人は情報を追うだけで精一杯のようだ。
価値観が多様化し、情報は膨大になり、
何かを「考える」ことは、とても難しくなってしまったのだと思う。
だから、ろくに「考える」ことを試さず、安易に他者の意見に盲従し、
「考えた」気になって、最初に見えたものを結論と錯覚してしまっている。
このプチ哲学では思念をこねくり回したりせず、
他愛ない絵と文で、他愛のない話題を提供した上で、
ものの見方の多様性について「考えて」いる。
哲学の本が難しいと思う人ならば、「考える」時間が惜しいという人は、
本書に上げられる31の発見を読むとよい。
「考える」ことの大切さに、きっと気づくだろう。
ほんの少し見る位置を変えること、その風景から「考える」のは容易いのだ。
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