ちょっと気になるニュースが続いた。2006-09-11

この間犬を飼っているものにとっては気になるニュースが続いた。
一つ目は明るいニュース。(深刻なニュースでもある。)
医療過誤では珍しい高額賠償判決があったこと。
http://8525.teacup.com/dogcat1122/bbs
このBBS9月9日付に記事が引用されている。
このBBSには、訴訟まで行っていないものの、
多くの医療過誤、虐待治療と思える実態が投稿されている。
130万円に及ぶ賠償額が判決として出されたことが、
獣医師たちの説明責任を果たさせることにつながり、
また、技術習得に意欲をもたらせることとなればと期待する。
しかし、医療側とのトラブルを防止するためには、
飼い主自身が予算面をも含めた希望を伝えるだけの賢さを持つべきと思う。
特に、犬や猫以外のペットを飼うなら、最低治療実績程度は調べておき、
経験値の高い獣医を確保しておくべきだろう。

もうひとつは悲しすぎる事件だ。
北海道で起きた犬連れ去り殺害事件。
http://shadow9.blog54.fc2.com/blog-entry-336.html
上のブログに新聞記事が載っていた。
記事を読んでも、今は閉鎖された飼い主のブログを読んでも、
犯人とされる女性が何を考えていたのかはわからない。
想像するに、精神的におかしくなっていたのだろうと思う。
何か同情すべき事情があったのかもしれない。
だからといって、飼い主から許されるような事情たり得まい。
この事件で何よりも悲しかったのは、失意に沈む飼い主のブログや、
飼い主の友人のブログに多数のコメントが寄せられ、
その多くが悼みのコメントであっものの、
かなり表現の過激な非難の書き込みがあったことだ。
非難の書き込みだけでなく、興味本位に関係者たちの写真を公開したとも聞く。
その行為により関係者たちはブログを閉鎖するはめに追いやられている。
いつから日本人はやさしさを忘れ去ったのだろう。
自分が痛まない立場にいて、反撃されないと思ったら、
かくも無慈悲なことを平気でしてしまうのか。
こういう人たちが言うように、犬から目を離したことが油断だとしても、
その油断を非難することはフェアではない。
その証拠に、自宅であっても犬が連れ去られているケースも多い。
きょう近所で張り紙を見た。
ラブラドールが自宅からいなくなったというのだ。
家人がいて庭で遊んでいることを把握していたのに、
わずかな時間で消えたというのだ。
悪意に対しては人は無力だ。
悪意を前提にして生きていかねばならぬなら、
この世はあまりにさびしくて不毛なものだと思う。
僕にしたって、遊びに行ったとき、待機させているのは車の中だ。
窓を開けて待機させている。盗みの悪意に対抗するすべは無い。
にも拘らず、人の心をぐちゃぐちゃに崩してしまおうとする者たちがいる。
恐ろしくバランスの崩れた人であることよ。
犬を投げ落としたとされる女性より、罪深きものたちである。
僕たちは犯人の心の闇に向き合いしるべきである。
同時にこういうやからの闇にまで向き合わねばならない。
いよいよ世の中がいやになる。

Deep Love パオの物語((全2巻)2006-09-11

黒沢明世 画 YOSHI原作  講談社  各486円

ケータイから生まれたベストセラー小説のコミック化。

Deep Loveシリーズは、話題になっていても読む気にならなかった。
なんとなく周りにいる10代の子どもたち、
話題の本はとりあえず読んでおくという習性の知人たちから感想を聞き、
くだらないものという印象を持ってしまったのだ。
原作が単行本として発売されてから足掛け4年が経つ。
いまだに売れ続けていて、コミック化やドラマ化されている。
何がそれほど読者を惹きつけるのか、今頃、気になってきた次第である。
ウリ、援交、シングルマザー、AIDS、虐待など、
さまざまな社会不安を扱っているが、
その切り口が爽やかなものとは言えないというのが、わが知人たちの弁だ。
特別編の犬の物語はよかったけど。。。全体として吐き気が刷る物語との評価も聞いた。
一方で、高校生の評価はきわめて好意的なものが多く、
世代間格差が大きく、僕はもやもやとした思いでいた。

今回、その犬の話というのがコミック化されていると知り、買うことにした。

評価がざっくり分かれたのがなんとなく理解できた気がする。
この物語には救いが無い。夢も希望もない。
コミックで、しかも動物もので忠実さを売りにしているから、
少しくらい感動できるかと思い読み進めたものの、
設定が唐突で、しかも典型的に受ける話として成り立っていて、
みえみえに泣かせるようになってしまっている。
僕には受け入れることのできない作品世界になっている。

エピソードの一つ一つを見て悪いといっているのではない。
動物虐待の事実や、飼育放棄、愛護施設の現況などよく調べている。
ホームレスや老人介護の暗部を取り上げるなど啓蒙的な部分もある。
しかし、作品の最後に提示されている調和が、ありえない結論へと向かい、
救いが無い物語なのに、美談かのように錯覚させかねない。
なんだか、そういう作品の成り立ちを拒否してしまいたいと思うのだ。
涙は流せるだろう。そういう風に作られているから。

原作にも同じ感覚を覚えてしまうのか、
近いうちに本編を含めて読んでみようと思う。