極楽にいった猫2007-01-30

エリザベス・コーツワース   清流出版   1200円

この話聞いた(読んだ?)ことあります。
記憶はあいまいになっていますが、
誰かに読み聞かせてもらったような気がする。
あるいはなにかの本で引用されていたのかもしれない。

日本が舞台となっています。
釈迦の入滅を描くこととなった絵師と猫の交流です。

12子に猫が含まれていないのは、
ねずみに嘘を教えられ、
猫は釈迦の入滅に間に合わなかったという説があります。
それとは別に猫は気位が高かったため、
釈迦の入滅に立ち寄らなかったという言い伝えもあります。
僕としては虎が入っているから、
猫は入っているのだと思うことにしていますが、どうもこの説は違うようです。
この物語では気位説が採用されています。

さてこの物語は、1931年にニューベリー賞で大賞を受賞しています。
物語の大筋は以下です。

ある貧乏な絵師が、
窮乏のさなかに小さな三毛猫を迎えたことから運が開け、
突然寺からの涅槃図製作依頼が舞い込みます。
涅槃図には主だった弟子や多くの動物が寄り添っているものですが、
入滅に駆けつけなかった猫は入れられていません。
猫は仏教徒にとっては忌むべき存在ということなのかもしれません。
涅槃図の構想を釈迦になりきって練る絵師は、
あるときは像に、またあるときには犬の忠義に感動し、
涅槃図の作成に没頭しています。
出来上がっていく涅槃図を前に、
福と名づけられた小さな猫は深く感じるように見えました。
いよいよ涅槃図が完成したとき、そこに自分がいないことに悲しむ猫を見て、
絵師は破滅を覚悟で、慈悲の心で最後に猫の姿を書き込みます。
その完成した絵を見た福は喜びのあまり息絶えてしまいます。
絵師の心には満足があるものの、
涅槃図を依頼した寺は激怒します。
こんな不浄な涅槃図は認められぬ、燃やしてしまうといいます。
絵師は絶望してしまいます。
しかし、翌朝絵師の涅槃図には偉大な奇跡がおき…

この物語はたぶん多くの人が知っていると思います。
しかし、オリジナルを読んだ人は案外少ないのではないでしょうか。
非常に格調ある児童文学なので、この機会に読むのはいかがでしょうか。