泣き虫弱虫諸葛孔明 第弐部2007-03-07

酒見賢一   文藝春秋  1905円

出たよ。出た。
http://kumaneko.asablo.jp/blog/2005/10/18/111800
あの『泣き虫弱虫諸葛孔明』の第弐部が!
待ってたんやあ。楽しみやあ。
読んだ。読みました。
間違いなく絶品です。笑いました。起こりました。
なんて無責任なんだ劉備。
なんて粗暴なんだ!張飛。
気味こそ宇宙だ!孔明。

前作が孔明の嫁取りから三顧の礼を扱っていた。
第弐部は長坂波の戦いが中心です。

大言壮語の変奇郎。「口げんか無敗。いざとなったら火計の策」とは、
前作での帯のキャッチですが、
第弐部ではいよいよ放火魔・孔明の本領が発揮されるか、と思っていたら、
見事な肩透かしを食わされます。
その詳細は実際に読まれて、笑い転げることがよいでしょう。

魔性の男・劉備。はた迷惑な扇動者・劉備は、
宇宙的な策士・孔明の予想をも超える無軌道振りです。
こうなってくると予測不可能魔性の男と宇宙的大言壮語放火魔に関わる、
曹操・魯粛ほか脇役の皆さんは哀れとしかいいようありませんし、
劉備の義兄弟、はた迷惑な原理主義者・関羽、ただの殺人嗜好者・張飛、
純情可憐な殺戮マシーン・超雲のとばっちりで、
軽く殺害される曹操の部下や劉備を慕う民衆に救いはありません。

酒見賢一氏、陳寿の『三国志』や羅貫中の『三国志演義』を、
縦横に引用しながら、矛盾点やら何やらを引っ張り出してきては、
なかったものはなかったけど、面白いから解釈してますよという態度である。
だから、魔性も宇宙も異様に輝きを増している。

この第弐部から、孔明は宇宙的軍師としての全貌を明らかにしてくる。
早く第三部がまとまらないかなあ。

首を鶴のごとく伸ばしつつ、待つ。

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