『シンガー・ソングライター』2007-06-09

田川律 著  アップフロントブックス 発売 ワニブックス  ¥1,200

 1965年から1975年にかけての日本フォークロックシーンをたどる旅。
高石友也・岡林信康・吉田拓郎・荒井(松任谷)由美・井上陽水たちが
日本音楽シーンにもたらしたものとはなんだったのかを、
自らもミュージシャンとして活動した経験を持つ著者の田川さん
(現在は舞台監督や執筆翻訳などに活躍)が回想しています。
バックステージから見たシンガー・ソングライターの軌跡は、
同時代を生きた人にとっては懐かしい、
彼らの全盛期を知らない若い人にとっては
興味深い成功ストーリーと映るかもしれません。
日本ではそれまで、カレッジ・ポップスやロカビリーを除いて、
作詞家も作曲家もレコード会社に属していた。
浜口倉之助や筒見京平といったレコード会社を飛び越えた音楽家は、
GS(グループサウンド)の誕生で花開いた。
そして、GSが急速に浸透し、それを上回る勢いで衰退し、
フォークソングがムーブメントとして若者文化から大衆性を確立したのが
ちょうど本書が扱う時期になっている。
 自分で作って自分で唄う。
まさにこうした歌い手の登場は音楽産業に大きな衝撃を与えることとなった。
多くの若者がスターを夢見て、自分の言葉をメロディーに載せた。
そのことは、アイドルのあり方まで変えてしまったといわれている。
 1975年。最後の大物シンガー・ソングライター中島みゆきのデビューで
本書は終わる。この後も長淵剛が出現するなどシンガー・ソングライターは延々と生まれつづけている。だが、最も激動していた時代は間違いなくこの10年間だったろう。
 政治的にも、文化的にも激動の時代に生まれたシンガー・ソングライター。
彼らの多くはいまだに唄いつづけている。
大塚まさじ、早川義男、古川豪、高田渡、三上貫、加川良、友部正人
そしてもっと。
プロテスト・ソングといわれた時期もあった。
啓蒙的な歌が流行った時期もあった。
 …街角でギターをかき鳴らし歌う若者たち、
ある種現代と似た雰囲気に合ったのかもしれない。
そう考えると今も大きな変化のときなのかもしれない。
 ともあれ、フォークの巨人たちの足跡を辿ってみてください。

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