『自衛隊交戦!』2007-06-09

黒井文太郎+軍事ジャーナリスト会議 編著
宝島文庫 2002年刊 ¥600 

自衛隊が軍隊として働き出している。
 世界でも有数の装備と錬度を誇る軍隊として知られる自衛隊。
1990年の湾岸戦争以降、急速にその性格は変化してきている。
湾岸戦争以後、大きな事件だけでも
阪神大震災・オーム事件・全米同時多発テロなどがあった。
それらのたび自衛隊とその運用について、法の不備が問われ、
新しい法律がなんとなく成立し、
いつのまにか自衛隊が海外に出動する道が開いている。

この諾否についてはさまざまな考え方もあり、
ここで善悪を論じる事はしないが、
少なくとも起こった事件の性質と日本の外交方針を深く論じることなく、
なし崩し的に、
自衛隊の国際的位置付けを変えてしまったことは確かなようである。

 自衛隊が海外に出動できるという考え方は、
「集団的自衛権」という概念によって正当化されている。
「集団的自衛権」とは自国が武力攻撃を受けていなくとも
同盟国などが攻撃を受けた場合、
協力して防衛する権利があるということで、
自国のみを防衛する「個別的自衛権」とは異なる。
しかし「集団的自衛権」について日本は
その行使を一度も認めたことがないのである。
もっと言えば憲法9条の戦争放棄の条項に関しても
解釈で行ってきた経緯がある。
普通の人が普通に読めば自衛隊が存在することがおかしいのだが、
なにやら禅問答のようなわかりにくい解釈で正当化しているのである。
 本書はこうした歴史的経緯や現在の政治状況を簡単に眺められる。
護憲派・改憲派、右翼・左翼、防衛庁の制服組・背広組、
各政党入り乱れての混乱状況がつぶさにわかる。

言うまでもなく日本という政体は、
主権者であるわたしたちが、自ら望む方向を決めるものである。
今何が起きていてどこに向かおうとしているのかを知り、
自らの意思を明確にするときは迫っています。
それぞれの立場からの訴えに耳を傾け
何が望ましいのかを考えてみてください。
本書で自衛隊を勉強しよう。

コメント

コメントをどうぞ

※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。

※なお、送られたコメントはブログの管理者が確認するまで公開されません。

名前:
メールアドレス:
URL:
コメント:

トラックバック

このエントリのトラックバックURL: http://kumaneko.asablo.jp/blog/2007/06/09/1566034/tb

※なお、送られたトラックバックはブログの管理者が確認するまで公開されません。