『この国のゆくえ教科書・日の丸・靖国』 ― 2007-06-09
梅田正巳著 岩波ジュニア新書 2001刊 ¥780
日本の敗戦から50年を過ぎる1995年前後から、
新しい“国家主義”のような考え方が台頭してきている。
それらはさまざまな周辺の考え方を飲み込み
学校という場所にも訪れてきている。
みんなにも見える変化は、国歌斉唱や国旗掲揚の強化、
『新しい歴史教科書』の記述の問題などである。
ひとつひとつを見れば意見が分かれて当然な事柄なのだけれど、
国家の介入の仕方に温度差が見られるような気がするのです。
それらがなぜ起きるのか、またこの国がどこに向かおうとしているのか、
しっかりと見極める必要があるように思います。
いまや世界有数の経済大国であり、
軍事大国でもある日本が進むべき道は、
日本に暮らすみんなの意思で決定されるのです。
もし日本が誤った選択をしつづけるなら、
新たな世界紛争を引き起こすことだって考えられるのです。
同時多発テロへの報復を行うアメリカに、
自衛隊という武力を派遣するという援助を行う日本は、
もう20年前の日本ではなくなっている。
さまざまなファクターが絡み合うものの、
こうした流れは福祉や教育への
予算低下を推進していく要因になっているようにも感じる。
市民主義の凋落が始まっているのかもしれません。
君たちが住みよい日本であり、世界にも貢献する日本になるためには、
どのような視点でこの国を見つめればよいのでしょうか?
本書は長年高校生向けの雑誌の編集に取り組んできた著者が、
特にこの10年の日本の動きを振り返りながら、
教科書問題、国家・国旗問題、日米安保を軸にして、
日本のゆくえを考えるきっかけを作ります。
この本で提示される問題は一つの考え方として知っておくことが、
これからの日本を創るうえで大切な視点になると思います。
巷間で語られる会話は
『国家主義』か『市民主義』かという二元論的な整理になりがちです。
ぜひ本書を読んで日本の進むべき理想を考えてみて欲しいと思います。
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